[マレーシア] 2021年も不動産オーバーハング続く

2021/02/12

[マレーシア] 2021年も不動産オーバーハング続く

Rahim & Co International Sdn Bhdによると、所得レベル、ロケーション、価格帯に基づくと、完成済みにもかかわらず売れ残っているオーバーハング状態の物件数は、2021年も高止まりするのではないかとみられています。


Rahim&Coの「不動産マーケットレビュー2020/2021年」によると、ジョホール、スランゴール、クアラルンプールの3地域が最もオーバーハングが多く、それぞれ33,000戸、8,700戸、7,800戸だったということです。


ペラ、ペナンといった州でも増加し、それぞれ約4,000戸が記録されています。


2021年1月末、レポートのリリース後に行われた会見で、リサーチダイレクターのスレイマン・サヘー氏は、価格が調整されれば、都市部の物件は力強い需要を呼びこみ、オーバーハングの数も減ってくるだろうと述べています。


同氏によると、5月31日に終了予定の持家キャンペーン(Home Ownership Campaign (HOC))に加えて、デベロッパー各社がより多くの割引を出していると言います。しかし、2021年のオーバーハングは、安定化するだろうが高止まりし、大幅に改善することはなさそうだとも話しています。


一方で、Rahim&Coの不動産エージェント・チーフ・エグゼクティブ・オフィサーのシヴァ・シャンカー氏は、Covid-19ワクチンが展開され、2021年市場心理が回復してきたら、オーバーハングを減らすことができるだろうと述べています。


「かなりのオーバーハングがありますので、大幅に減らすことができないというスレイマン氏に賛成ですが、ワクチン接種プログラムが成功し、市場心理が回復してくることで、レジデンシャル市場はやや回復するだろうと期待できます。」と述べています。


レポートに基づく値と、サービスアパート、SOHOタイプも含めたオーバーハング状態のユニット数は55,415戸、396.9億リンギット相当に達しています。


この問題を解決するため、Rahim&Coのぺタリンジャヤ事務所長チョ・ユエ・クォン氏は、オーバーハングの根本的な原因を探るための深堀した検証が必要だと提案しています。


「完成したのに売れ残っているユニットの問題に複雑さを増しているのは、建設中または建設前の売れ残りユニットには改善が見られていることです。解決策のひとつとして、独立した市場調査を通したプロジェクト企画・承認段階で、十分な情報に基づいた決定が行われることでしょう。またしっかりとした透明性の高いデータシステムも市場には必要です。」


プレゼンテーションの中で、スレイマン氏は、2020年は全体として、人々がパンデミックの脅威、成長率の落ち込みと高まる失業にも見られるような、不安定な経済状況に直面する中で、再調整、技術の採用、そして忍耐力を試す年となったと述べています。


「しかし、水面下にはちゃんとレジリエンスと意思の強さが存在し、活動制限が緩和されたら、需要と言う形で、ロックダウンや守らなければならない標準作業手順(SOP)にもかかわらず、市場は確かにそこにあるのだと証明されてきました。」


「ワクチンの展開で、2021年後半にはターニングポイントが訪れるのではないかという楽観的な見方がありますが、直近で感染者数が増えていること、ロックダウンが再導入されていることを鑑みると、さらなる回復が2022年にずれ込むのは驚きではない」と述べています。


パンデミックがなかったとしても、値ごろ感のなさ、過剰供給および物価に対する所得レベルといったパンデミック以前から存在した問題はいまだ残っており、国の不動産市場に長期的な持続可能性を確保するためには、このような問題に効果的かつ全体的に取り組んでいかなくてはならない、ともコメントしています。

(出所:The Star

(トップ画像:Photo by Zukiman Mohamad from Pexels)