[マレーシア] Covid-19住宅市場への影響は短期的か

マレーシアは、新型コロナウィルス(Covid-19)の流行を受けて、前代未聞の変化に直面しています。先行きが不透明な中、人々は不動産のような大きな買い物よりも、生活必需品を優先していますが、これも短期的なものだとみられています。

[マレーシア] Covid-19住宅市場への影響は短期的か


マレーシアは、新型コロナウィルスCovid-19の流行を受けて、世界の他の多くの国と同様、社会、政治、経済において前代未聞の変化に直面しています。先行きが不透明な中、人々は不動産のような大きな買い物よりも、生活必需品を優先していますが、これも短期的なものだとみられています。

本日は、New Straits Times(オンライン)に掲載されていたこちらの記事を紹介していきましょう。同紙によると、アナリストは、マレーシア国内だけでなく世界的な不況を予測していますが、不動産についていうと、市場関係者は、住宅を買い求める人の心理への影響は短期的なもので、回復をみせるだろうと予測しています。

シンガポール発プロップテック企業プロパティグル・マレーシアのカントリーマネジャー、シェルドン・フェルナンデス氏は、Covid-19による市場心理の冷え込みは年後半まで持ち越しそうだとする一方で、経済刺激策パッケージ(Economic Stimulus Package(ESP))やマレーシア中央銀行の打ち出した6か月の金銭債務の支払い猶予などが、市場回復に向けの基礎を固めるだろうと話しています。

フェルナンデス氏は、プロパティグル・マレーシアの消費者心理調査2020年前半期のレポートで不動産心理インデックスは前年同期の44ポイントから42ポイントに下がったことに言及し、住宅を買い求める人々の心理は年初からすでに冷え込み気味だったと話します。

フェルナンデス氏は、これにより、マレーシア中央銀行が翌日物の政策金利(Overnight Policy Rate(OPR))を2.50パーセントに見直すなどのテコ入れを行ったものの、住宅ローンの申請件数は減少するだろうとみています。

同じようにCovid-19の影響を受ける国々の中には、住宅ローンの申請件数が30%も落ち込んだところもあるとフェルナンデス氏は言います。

また同氏は、不動産データ分析とソリューションを提供するマイ・プロパティ・データ社(MyProperty Data Sdn Bhd)のリサーチから、過去の不況や2002年のSARSの流行以降も、不動産市場は短期的な影響を受けた後に回復していることを強調していると言います。

「価格にせよ、取引額にせよ、取引量にせよ、不動産市場は、低迷直後には立ち直りを見せる傾向にあることが分かっています。1997年のアジア通貨危機、二パウィルス、SARSの流行、2008年世界通貨危機、H1N1の流行、それぞれの発生後数年、取引量、取引額ともに急増しました。」

フェルナンデス氏は、2001年、2006年、2009年以降、国内住宅価格成長率には同様の回復が見られたと言います。

「価格成長率、取引量および取引額は、ここ数年低迷しています。これは、レジデンシャルのオーバーハング(建物使用許可が下りているのに売れ残りとなっている状態)に対応するための施策が公示されているからです。これが市場へのインパクトを和らげることになりそうです。」


■不動産の回復力


フェルナンデス氏は、不動産取引量も取引額も、不確定な時期を乗り切ってきたと言います。(グラフA)

▼グラフA:マレーシアの不動産取引量 vs 取引額の推移(出所:Property Guru)

1998年のアジア通貨危機と二パウィルスの流行が追い打ちをかけて、取引量は32.3%、取引額は47.6%も減少、ここ数十年で最大の減少となりました。しかし、その後不動産業界は全身を続け、取引量186,000件、取引額は279億マレーシアリンギット(約7,000億円)を記録しました。さらに、住宅価格は全体として過去数十年成長を続け、資産クラスとしての不動産のメリットを強調させてきました。

マレーシア国家不動産情報センター(NAPIC)によると、国内の住宅価格インデックスは、2001年には1.1%と成長率は伸び悩むものの、1999年以来全体としての減少はないようです。


不動産タイプ別では、1999年から2009年にかけて、高層物件が最も価格変動が大きく、最高では2003年の15.1%、最低ではその前年の‐5.9%でした。(グラフB)

▼グラフB:マレーシア住宅価格インデックス(2000年~2009年)(出所:Property Guru)

※青:全体、赤:テラスハウス、グレー:高層、黄:デタッチト(一戸建て)、紺:セミデタッチト


2009年から2018年には、この変動が戸建やセミ・デタッチト・ハウスなど他の住宅タイプにも波及しました。1999年以降、テラスハウスが最も安定的で、2018年には6.5%の価格成長を見せました。(グラフC)


▼グラフC:マレーシア住宅価格インデックス(2010年~2018年)(出所:Property Guru)

※青:全体、赤:テラスハウス、グレー:高層、黄:デタッチト(一戸建て)、紺:セミデタッチト


「プロパティグル・マレーシア・消費者心理調査2020年上半期によると、マレーシア人の間では、テラスハウスが最も好まれているようだということが分かります。」


マイプロパティ・データのリサーチによると、テラスハウスは1999年から2004年にかけて、クアラルンプール首都圏で最も好まれる物件タイプであったことが取引量から分かります。

「クアラルンプールの高級コンドミニアム・サービスアパートはこのような危機的な年でも高い需要を維持しました。高層物件はペナンでも人気で、特に価格帯の低めのものが売れました。セランゴールは、スバン・ジャヤ、USJ、プトラ・ハイツなどの中心から少し離れたエリアのテラスハウスが最もホットでした。」

「1999年には220,000マレーシアリンギットであった中間価格は、2004年に400,000リンギットになっています。同じ時期に、セティア・アラム、クラン、その他周辺地域でも2012年にかけて需要は同様に上がってきています。」とマイプロパティ・データのCEO、ジョー・ホック・トー氏は話しています。

ジョー氏は、サイム・ダービー、SPセティア、ガムダ・ランド、IOIプロパティーズなどのデベロッパーはその時流に乗り、都市部に近い価格で、マスタープランのもと開発したタウンシップに大きめの住宅を建設しました。


「クアラルンプールにおける高層物件人気は、2003年以降加速しました。投資家たちが華々しい高級物件をディスカウント価格で買い求めようと大挙したことによるものが大きいでしょう。これにより、価格は大幅に上昇、2003年第4四半期には、350,000マレーシアリンギットだった高層物件の中間価格は、2009年の第4四半期には765,000リンギットまで上昇しました。」

フェルナンデス氏は、不安定な時期には、投資家たちはリスクマネジメントのために、ポートフォリオの再編を行う傾向にあると言います。その中で、不動産は今後の利益を生む可能性がある投機とみなされます。

これは、市場が均衡を保とうとして自然と働く修正作用と相まって、危機的な年の後に国内不動産で起こるような急激な回復につながるとしています。

(出所:New Straits Times