[マレーシア] 150億リンギットの景気刺激策

2021/01/29

[マレーシア] 150億リンギットの景気刺激策

マレーシアは、国内での感染者数の再増を受けて、経済がその荒波を乗り切れるように、150億リンギット(約3,827億円)の追加景気刺激策を発表しました。


これには、貧困層への現金支給、税の減免、賃金補助などが含まれており、パンデミックの経済への影響を鈍らせるための既存の取り組みを支える狙いです。


これらの措置が発表されたのは、マレーシアが非常事態宣言を発令した翌週のことです。政府は、パンデミックを封じ込め、経済を支えるために、直ちに法を制定しました。この動きは、財政余地が限られ、かなり巨額の借金を抱える中、政府の能力に関する懸念を高めていました。


今回のパッケージは、GDPの1.1%に相当し、オーバーシー・チャイニーズ銀行のエコノミストであるウェリアン・ウィラント氏は、「比較的コンサバな金額なのは、大規模な景気刺激策を行うような財政余地が限られていることの表れ」だとして、「全体的な財政赤字の数字に影響するようなことはしないでしょう。」と述べています。


今回の刺激策のハイライトは以下の通りです。

・Covid-19検査のための税減免の延長
・1,110万人に対する現金支給
・タクシー、バス運転手は、総額6,600万リンギットの現金一時支給
・携帯、ノートパソコン購入にかかる税控除の延長12月31日まで
・国内組み立て自動車の免税6月まで延長
・特別慈善活動用に22億リンギット
・全ての雇用主が雇用補助プログラムへの申請可能


感染者数の再増

マレーシアは、Coid-19感染者数が新たに急増しており、医療システムが限界に達しています。2021年1月23日には、日当たり4,275人を記録し、5月ごろまではその感染者数のピークをおさえるのは厳しいとみられています。マレーシアでワクチンの接種が始まるのは、ムヒディン首相によると3月初旬です。


▼日当たりの感染者数推移(出所:Worldometer


8月1日まで続く見通しの非常事態宣言にロックダウンが重なり、今年のGDP予想を1.5%も下方修正したアナリストもいました。政府の今年のGDP成長率予測は7.5%としている一方で、活動制限令(MCO)が最初に出たクアラルンプールを含む複数の州・地域は、国のGDPの3分の2に貢献しています。


マレーシアのGDPは、2020年は第2四半期、第3四半期と収縮し、第4四半期の数値はまだ発表されていませんが、政府は通年で-4.5%~-5.5%を予想しています。


政府は昨年、3,050億リンギットに上る景気支援策を打ち出しました。GDPの20%に相当します。このうちの550億リンギットが直接的な刺激策です。

(出所:Bloomberg