2022/09/05
マレーシアのイスマイル・サブリ・ヤーコブ首相は、シンガポールとクアラルンプールをつなぐ高速鉄道(HSR)プロジェクトの復活プロセスをスピードアップさせたい考えです。この大型のHSRプロジェクトは、昨年、マレーシア側から終了し、シンガポールに対して1億280万シンガポールドル(約103億円)の補償金を支払ったところでした。
マレーシア国営ニュースのベルナマによると、イスマイル・サブリ首相は、両国の運輸大臣により、同プロジェクトを再スタートするための話し合いがなされていると明かしています。条件に変更が加わる予定だからです。
「可能であれば、スピードアップしたいと考えています。なぜなら、マレーシアには、クアラルンプールとバンコク間の高速鉄道を作る計画もあるからです。」として、3か国が合意に至れば、シンガポールとKL間のHSRは、タイの首都までつなぐことができる可能性についても触れています。
イスマイル・サブリ首相は、将来的には、さらに中国まで鉄道を延伸できる可能性もあると付け加えています。
過去に計画されたときには総工費1,100億リンギット(約3.4兆円)と言われたシンガポール-KL間のHSRプロジェクトを復活させるというアイディアは、今年初めにイスマイル・サブリ首相が持ち出したものです。プロジェクトの実現可能性についての話し合いを行うため、シンガポールとの共同特別委員会が5月に設置されました。
マレーシアとシンガポールは、2016年、全長350キロの鉄道を建設することで二国間合意に調印しました。当時の両国政府によると、このプロジェクトは、シンガポールとクアラルンプール間をたった90分で結ぶことができるというものでした。現在、陸路を使うと、同じ距離を移動するのに4~5時間かかります。
▶当時のシンガポール-KL高速鉄道プロジェクトのルートイメージ(出所:BBC)
シンガポール側のターミナル駅は、ジュロン・イーストに、マレーシア側はクアラルンプールのバンダール・マレーシアに建設される予定でした。しかし、統一マレー国民組織を中心とする政党連合が、2018年5月の総選挙で破れ、HSRプロジェクトは保留となりました。
2020年12月31日、保留期間の終了期限が過ぎ、HSRプロジェクトは、両国がプロジェクトを前進させるための合意に至ることができなかったとして、相互に終了という形をとりました。
このHSRの議論が再び戻ってくるにあたって、マレーシア内では、イスマイル・サブリ首相が、今後数カ月で、早期総選挙を行う可能性についてもささやかれているようです。
日経アジアによると、イスマイル・サブリ首相は、マレーシア人が今年の後半に投票に行くことになるかもしれないことをほのめかしています。「もし経済がよくならなければ、来年まで(投票を先延ばしにすること)はできないし、そうでなければ政府にとって裏目に出ることになるだろう」と話しています。
さらに、イスマイル・サブリ首相は、統一マレー国民組織(UMNO)のリーダートップ5と、選挙の具体的なタイミングについて話し合いを行っているが、最終的にはマレーシア国王の判断となる、と加えています。
(出所:Business Times)
(画像:UnsplashのDave Yapが撮影した写真)
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