2021/08/05
[マレーシア] 非常事態宣言は延長なし
マレーシアのタキユディン・ハッサン法務相は、2021年7月26日、何か月にもわたって発出されていた非常事態宣言を延長する意向がないと述べました。
この非常事態宣言は、ムヒディン・ヤシン首相が、Covid-19の感染拡大防止のために必要であるとして、1月に発出されたもので、8月1日に終了することになっていました。非常事態宣言下では、議会招集と選挙実施が停止されるため、与党連合内の対立で崩壊の危機にあったムヒディン政権は、宣言の発出は延命行為であるなどの批判が出ていました。
非常事態宣言と厳しいロックダウンにも関わらず、マレーシアのCovid-19パンデミックの状況は悪化するばかりで、国民の怒りを買っています。
マレーシアは、8月4日時点で、一日の新規感染者数が過去最高の19,819人を記録、累計では1,183,110人となっています。
▼マレーシアの一日の新規感染者数推移(出所:Covid Tracker)
人口100万人あたりの感染率も域内では最高レベルです。
▼100万人当たりの一日の新規感染者数(出所:Our World in Data)
タキユディン法務相は、政府が国王に対して、非常事態宣言の延長を求めることはないと議会で述べました。議会は、非常事態宣言により停止されていましたが、7月末に特別会合が開かれました。
マレーシアは、立憲君主制の国家です。国王は主に儀式的な役割で、首相および内閣の助言を受けながら公務にあたります。しかし、国王は、非常事態宣言が発出されるべきか否かを決める権限も持っています。
ムヒディン政権は、2020年3月の発足以来、政権を構成する与党が連邦下院で過半数をわずかに超える議席しか確保していません。
マレーシアの最大政党であり連立政権でのカギを握る、統一マレー国民組織UMNOは、ムヒディンへの支持を取り下げました。
マレーシアのムヒディン首相は8月4日、国民向けのテレビ演説で、過半数の議員から支持を得ていると述べ、連立与党内や野党からの辞任要求に応じず、続投する考えを示しています。
首相はまた、議会が再開される9月に自身の信任投票を行うと表明、アブドラ国王の同意も得たと述べました。
(画像:Photo by Johen Redman on Unsplash)
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