2023/11/21
不動産コンサルティング会社ナイトフランク(Knight Frank)が発表する2023年第3四半期のPrime Global Cities Indexで、マニラが1位に浮上しました。
Prime Global Cities Index(PGCI)は、世界46都市のプライムレジデンシャル価格の動きを追うもので、現地通貨の名目価格をベースに作成されています。
今回、2023年9月までの12か月間で、PGCIの対象となる46都市で2.1%の価格上昇がみられました(第2四半期は1.6%、第1四半期0.2%)。これは、2022年第3四半期以降、最も大きな上昇幅で、年間ベースで67%の都市のレジデンシャル価格が上昇しました。
世界各地で急激な金利上昇が見られるものの、ナイトフランクは、年間価格の上昇は、世界の住宅市場が安定化の兆しを見せ始めていると述べています。しかし、67%の市場で前年同期比で上昇が見られたものの、前四半期と比較して価格が上昇したのは63%にすぎませんでした。これについて、ナイトフランクは、さらなる利上げの可能性があることから、不確実性をひきずっていると述べています。また、利上げやインフレの可能性は、ラグジュアリー不動産を含むすべてのセグメントに重くのしかかり、中期的に価格成長を限定しそうだとも述べています。
そんな中、マニラは過去12か月間で21.2%の価格成長を記録し、前四半期のトップだったドバイを抜いて、ランキングの1位に躍り出ました。これを支えたのは、力強い国内・外国投資です。前四半期に1位だったドバイは15.9%で2位になりました。第2四半期の価格成長率11.6%から第3四半期は0.7%と大幅に減速したことが背景のようです。3位は上海で、年間価格成長率は10.4%でした。
アジア太平洋地域では、ソウルの年間成長率が大幅に改善しました。韓国銀行が10月のベース金利を3.5%に据え置いたことで市場の需要を底上げし、第2四半期の39位から7位に急浮上しました。シンガポールは、政府の不動産投資過熱抑制策として外国人投資家に課している高額な印紙税の影響が出てきており、価格は下落傾向です。香港もまた価格下落が続いており、今四半期は0.6%、年間では1.7%の下落となりました。オーストラリアは、力強い需要と少ない供給により、対象の全都市でプラスの年間成長を記録しました。しかし、パースとメルボルンでは、四半期ベースではマイナスでした。
ナイトフランクは、インフレが下降傾向にある中、中央銀行が金利を維持していることで、レジデンシャル不動産市場の需要が複数の都市で回復し、全体のインデックスの上昇につながったと分析しています。同社は、需要の回復はまだ脆弱で、インフレが予想以上に再び進めば、軌道から外れることもあるだろうと予測しています。金利が下がってくれば、需要が需要も価格も持続的に上昇してくるだろうとする一方で、利下げの動きは2024年央までは怒らないだろうともコメントしています。
▼ナイトフランク社のPrime Global Cities Index Q3 2023(出所:Knight Frank)
(出所:Knight Frank)
(画像:UnsplashのLaurentiu Morariuが撮影した写真)
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