[フィリピン] 2020年第2四半期マニラ・レジデンシャル市場

不動産サービス会社コリアーズ・フィリピンの2020年第2四半期のマニラのレジデンシャル市場のレポートをご紹介していきます。

[フィリピン] 2020年第2四半期マニラ・レジデンシャル市場

不動産サービス会社コリアーズ・フィリピンの2020年第2四半期のマニラのレジデンシャル市場のレポートをご紹介していきます。

コリアーズは、コンドミニアム市場について、パンデミックとロックダウンの影響が表れ始めていると述べています。コンドミニアムの竣工数は減少、完成済みの物件、プレセールの物件ともにバイヤーの購買意欲が低下しているようです。

コリアーズは、パンデミックの影響が完全に出始めるのは2020年の後半期ではないかと述べています。しかし、政府が予測する2021年からの景気回復が、メトロマニラのレジデンシャルの賃貸・販売ともに後押しする形になるでしょう。

コリアーズはデベロッパー各社に対して、総合的なコミュニティにあるユニット、適切な不動産管理、フレキシブルな支払条件などの特徴を強調することで、需要を取り戻していくこと、アフォーダブルから中所得層セグメントのユニットの成約件数を伸ばす、海外で働くフィリピン人労働者(OFW)の市場の状況をモニターすることなどをアドバイスしています。

■需要
主にオンラインカジノ企業(POGO)の賃貸活動の低迷と、OFWや国内投資家を含む、その他の主要グループの成約も不活発で、需要は伸び悩みました。コリアーズは、2021年第1四半期以降、景気の回復とともに、需要も戻ってくると予想しています。

■供給
建設現場における労働力不足と、ソーシャルディスタンシングのため、完成が遅れています。売れ残りコンドミニアム在庫の数が増えてきており、デベロッパーも引渡しを遅らせざるを得なくなっている部分があります。

■賃料
コリアーズは、2020年に賃料修正が入ると予測していますが、新規プロジェクトの完成ペースが緩やかなことで、やや緩和されるでしょう。ビジネス地区での賃貸意欲の復活とともに、賃料も2021年には回復してくる見込みです。

■空室率
主要なビジネス地区でのユニットの成約が低迷することから、コリアーズは、今年の空室率について、2019年の11%から14.6%まで上昇すると予想しています。投資家やエンドユーザーからの需要が増加するにつれ、2021年に空室率は下がってくるでしょう。

■資本価値
コリアーズは、需要が鈍いことから、2020年のレジデンシャル価格には修正が入ると予想しています。2021年には少しずつ回復してくるとみられ、エコノミストが予想している緩やかなU字回復と同じような道筋をたどるでしょう。



新規供給は2021年に回復

2020年第2四半期、ベイエリア、フォートボニファシオ、アラバンに3つのプロジェクト、1,100ユニットが完成すると予想されていましたが、建設工事の遅れにより、これらのプロジェクトの竣工は2020年第4四半期にずれこみました。

2020年、コリアーズは、建設現場の労働力不足と厳しいソーシャルディスタンシング措置により、さらに工事が遅れるとみています。当初予測の10,940ユニットから下がって、6,270ユニットの引渡しが予想されています。ベイエリアとフォートボニファシオにある6つのプロジェクトが2020年第4四半期までに完成予定でしたが、引渡しは2021年になる見込みです。

2022年末までに、マニラ首都圏の在庫は151,570ユニットに達する見込みです。これは、コリアーズが当初予測していた155,730ユニットから3%減となります。2022年後半期に引渡し予定のプロジェクトのいくつかは、デベロッパーが建設スケジュールを調整したことから、2023年または2024年に延期されました。また、竣工スケジュールを調整するために、人間居住・都市開発局(Department of Human Settlements and Urban Development (DHUD))への届出の承認を待っているデベロッパーもあります。DHUDは、パンデミック関連の建設の遅れとメトロマニラにおける厳しいロックダウンを鑑みて、民間デベロッパーに延長を認めています。


2020年の空室率は上昇

コリアーズは2020年第2四半期のセカンダリー市場のレジデンシャルの空室率を11.8%と記録しています。2020年第1四半期の11.3%からわずかに高く、5四半期連続での上昇となりました。このセカンダリー市場とは、メトロマニラの主要なビジネス地区における即入居可能(Ready-For-Occupancy(RFO))ユニットを対象としています。コリアーズは、このセカンダリー市場の空室率には、パンデミックとロックダウンがマニラ首都圏におけるレジデンシャル賃貸に与える影響がまだすべて反映されていないと考えています。コンドミニアムプロジェクト内で実施されている厳しいソーシャルディスタンシングが、主要ビジネス地区における賃貸活動に影響を与えています。ユニットオーナーの中には、ソーシャルディスタンシングのために、点検を遅らせる人もいるからです。一方で、コリアーズは、メトロマニラにおけるオフィス賃貸が鈍いことの方が、レジデンシャルの賃貸に大きな悪影響を与えるとの見方を示しています。したがって、空室率は2020年末までに15%前後にまで達する見込みで、パンデミックとロックダウンがメトロマニラのレジデンシャル市場により深い影響を与えたことが見えてくるでしょう。

コリアーズは、Covid-19パンデミックのセカンダリー市場への影響は2020年第2四半期の時点ではまだ目立っていないと考えています。しかし、最新の経済指標を見ると、2020年の残りの期間もコンドミニアム市場は不安定だと言えるでしょう。

2020年第1四半期のフィリピンの経済成長率は-0.2%(*)でした。多くのビジネスが3月半ばから始まったロックダウンの影響を受けており、経済アナリストたちは、2020年第2四半期から第3四半期にかけて、さらなるマイナス成長を予測しています。中央銀行は一方で、第4四半期ごろから景気が回復してくると予想しています。フィリピンが経済のマイナス成長を最後に記録したのは、1998年のことで、メトロマニラのコンドミニアム価格は平均で14%減少しました。世界通貨危機により2009年の賃料は、2008年の6%増から下がって4%減となりました。

*フィリピン統計局は、最近-0.7%に下方修正しています。

レジデンシャル需要の主要なドライバーのひとつであるOFWからの送金額は、2020年4月までに過去19年で最低レベルに達しました。現金送金は4月20.5億USドルで、年間16.2%減となります。これは、中央銀行のデータによると、2001年1月の33.5%減以来、最も急激な下落幅となります。

2020年、オフショア・ゲーミング会社(POGO)とBPOによるオフィス成約が緩やかなため、メトロマニラの主要なビジネス地区、特にベイエリアにおけるレジデンシャルの賃貸、販売にスピルオーバー効果を及ぼしそうです。ベイエリアには、2020年の後半期に完成が予定されている新築ユニットのうち74%が集まっています。


価格修正

全体的に、市場の需要が鈍いことで、メトロマニラの売れ残りコンドミニアムユニット数が増加してきています。コリアーズは、2020年第1四半期時点で、プライマリー市場には44,800ユニットの売れ残りコンドミニアムが存在すると見積もっています。コリアーズは、マニラ首都圏での売れ残りユニット数が増えることで、デベロッパー各社は積極的に割引(契約価格の10%から15%)や、プレセール物件についてはより柔軟な支払条件を提示してくるのではないかと予想しています。売れ残り在庫が増えることで、2020年のメトロマニラのコンドミニアム平均価格は弱含むでしょう。コリアーズは2020年、平均価格が13.8%下落すると予想しています。しかし、2020年に完成予定の物件が約5,000ユニットほど遅れていることから、当初予想の15%からやや低いレベルとなっています。これらのユニットの完成は2021年にずれ込みます。

2021年の景気回復は需要を押し上げるでしょう。コリアーズは、2021年、2022年の価格成長率を、当初予想の1.9%よりやや早いペースの年間2.1%と予想しています。



賃料の回復も2021年

国家経済開発庁(NEDA)およびフィリピン中央銀行が2020年景気後退を予想していることから、コリアーズは主要ビジネス地区の賃料は4.5%低下すると予想しています。当初は5.5%の修正が入ると予想していましたが、2020年の新規供給が43%下がることから、修正幅を見直しました。

一方で、政府が予測している経済のリバウンドもまた、マニラ首都圏におけるコンドミニアム賃貸にスピルオーバー効果をもたらすはずです。従来のオフィスとビジネス・アウトソーシングの事業のリバイバルに補完される形で、中央銀行が予測している7.8%の経済成長が、外国人・フィリピン人従業員による賃貸活動を下支えし、2021年の賃料は2.3%ほど増加するでしょう。

(出所:Colliers

(トップ画像:Kristine Wook on Unsplash )