[マニラ] 2018年第2四半期レジデンシャル市場レビュー

2018/09/10

[マニラ] 2018年第2四半期レジデンシャル市場レビュー


JLL社は、2018年第2四半期のレジデンシャル市場を以下のようにレビューしています。


■賃貸成長率(前年同期比) 2.9%
■NLAにおける㎡/月 832フィリピンペソ(約1,710円)
■循環ステージ 成長鈍化



中国国籍が投資需要をけん引

中級クラスからハイエンドのラグジュアリーコンドミニアムのリース需要は、海外アウトソース業界(O&O)および多国籍企業(MNC)の外国人従業員によってけん引されました。投資需要は、外国人投資家、特に中国本土の中国人の高まる関心にけん引されました。

2018年第1四半期のフィリピン中央銀行(BSP)の住宅不動産インデックスは、メトロマニラのコンドミニアムの価格について、前年同期比で3.3%増を記録しました。健全な住宅需要を反映してのものになります。


2018年第2四半期、2,900ユニットが完成

約2,900ユニットのコンドミニアムユニットから成る6つのレジデンシャル開発が2018年第2四半期に完成しました。新規開発物件のうち3件が、マカティCBD(中心業務地区)に約1,400ユニット、残りの3件がボニファシオ・グローバル・シティ(BGD)に約1,500ユニットを追加することになります。

全体の空室率は、3.5%へと上昇、これは企業関連の駐在員向け住宅需要のほとんどが、2018年第1四半期に完了しているため、リース活動が低迷したことが主な理由です。これによりデベロッパーとブローカーは、小規模な国内市場に頼らざるを得なくなっています。

(出所:Google MapsよりProperty Access作成)


投資利回りは、堅調な販売を受けて縮小

リース活動の低迷により賃貸料は前期比で0.6%減少、資本価値はプレセール活動の活発化により前期比で2.9%増加しました。

投資利回りは、2018年第2四半期、20ベーシスポイント下げて5.1%となりました。これは、リース市場に比べて、販売市場が好調だったことによります。


見通し:プレセール市場が、空室率上昇を和らげる

強気なプレセール市場は、おそらく今後の供給ラインのほとんどが吸収される前触れでしょう。これにより空室率も抑えられることになるでしょう。賃貸は2018年後半にかけて上向きになるとみられています。これは、リース市場が、外国人駐在員の住宅需要により後押しされるとみられているからです。

現在のO&O業界の回復と海外で働くフィリピン人労働者からの送金が、今後の住宅用コンドミニアムの需要を下支えするとみられます。対USドルのフィリピンペソ下落もまた、海外フィリピン人労働者家族の購買力を高め、MNCやO&O企業の外国人駐在員の家賃の予算を高めることにつながると予想されています。

(出所:JLL