2022/09/29
マニラ・マカティ市とタギッグ市の中高所得層・ラグジュアリー層向けのレジデンシャル物件の空室率が、72.8ベーシスポイント減って、8.7%となりました。
総合不動産サービス会社JLLのレポートによると、マカティ市のプロセニウム・レジデンシーズ(Proscenium Residences)とタギッグ市のアルバニー・キングスレー・タワー(The Albany-Kingsley Tower)が完成し、2022年第2四半期のマニラのレジデンシャル在庫は627戸増えました。
JLLのレポートでは、フィリピン人・外国人従業員のリース需要が増えてきたことで、空室率が8.7%に減少、前四半期と比較して72.8ベーシスポイント減ったと述べられています。新規供給があったにもかかわらず、空室率が減少した背景には、リース需要の改善があります。
さらに、企業がオフィスへの復帰を進めていることに加えて、国外からの渡航規制が緩和されたことで、従業員や外国人役員がメトロマニラの主要ビジネスハブに戻ってきているため、リース需要は上向きの流れを維持しているようです。
同様に、販売市場も改善しています。プレセール物件の多くは成約率が好調です。経済活動がさらに活発になり、選挙によって経済が安定化し、コロナの感染者数が制御可能になったことで、第2四半期は投資家が購入に踏み切ったと分析されています。
賃料は、前四半期と比較して0.1%増となりました。ひと月平米当たり816ペソ(約2,015円)となり、2021年第2四半期から続いていた下降トレンドを覆しました。わずかだったにせよ、賃料が改善した背景として、より多くの従業員が、職場に復帰するにあたって、住む場所を探しており、リース需要に拍車がかかったことが挙げられます。
価格も上昇を続け、前四半期比0.4%増の平米当たり274,160ペソ(約67.7万円)となりました。同様に、販売の需要が改善したことで、販売価格の拡大につながりました。
空室率は、2022年の残りの期間も縮小を続けるとみられています。職場に戻る従業員からの健全な需要に加えて、追加の需要がないからです。
同じく、順調なリースや販売市場を背景に、賃料および値段も安定的に上昇すると予測されています。インフレ率の上昇は、メトロマニラの建設資材の卸売りインデックスが2012年以降最高値の6.6%増を2022年3月に記録していることもあって、販売価格、特にプレセール物件に影響を与えそうです。
*マニラレジデンシャル=マカティ市とタギッグ市の中・高所得層、ラグジュアリーレジデンシャル市場を指す
(出所:Real Estate Asia)
(画像:UnsplashのDmitry Berdnykが撮影した写真)
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