[フィリピン]メトロマニラの不動産価格が前年比250%増に

2022/12/15


メトロマニラのレジデンシャル不動産価格は、2021年の実績の2倍以上となりました。過年度は発売物件が限られていたためです。


不動産コンサルタント会社リーチュウ・プロパティ・コンサルタンツ(Leechiu Property Consultants)によると、今年第4四半期、メトロマニラの古めのプロジェクトの平米当たりの価格は、対前年同期250%超の成長率を記録していると述べています。


同社のリサーチ&コンサルタント業務担当エグゼクティブディレクターのロイ・アマード・ゴレズ氏は、これについて、市場の供給量が限られていることが原因だと分析しています。ゴレズ氏によると、2022年第1四半期より、新規発売物件はかなり少ない状態が続いているということです。


今年の新規発売物件数は10,009件で、2021年の25,911件から61%少なく、うち販売された物件数は、去年の38,065件から7%少ない35,539件となっています。


新築物件についていうと、今年発売した5プロジェクトと去年の第4四半期の7物件を見てみると、価格は215%増加しました。


ゴレズ氏は、ラグジュアリー物件の発売が多かったために、平均が持ち上げられ、大幅に価格が上昇したと分析しています。


ここでいうラグジュアリー物件は、6,800万ペソ以上のユニットを指し、対前四半期では販売が484%増加しました。1,200万ペソ~6,800万ペソまでのハイエンド物件の販売は36%減少しました。


アッパーミドル物件(400万ペソ~700万ペソ)は53%増、中所得層物件(230万ペソ~400万ペソ)は15%増、低中所得層物件(140万ペソ~230万ペソ)は64%増加しました。


バタンガス州、バターン州、カヴィテ州のゲート付リゾートコミュニティー内の高級セカンドホームについては、価格が220%増加し、2019年は平米当たり14,000ペソ~50,000ペソだったものが、80,000ペソから125,000ペソとなりました。


バタンガス州のプライベートリゾート「カワヤン・コーヴ」では価格が220%上昇し、平米あたり45,000ペソ~93,000ペソとなっています。一方で、バターン州の「アンヴァヤ・コーヴ」では116%上昇し、平米あたり25,000ペソから55,000ペソとなっています。


国内のオフィススペース需要は975,000平米と、2020年の389,000平米、2021年の540,000平米から増加しました。


このうちの466,000平米は、情報技術-ビジネス・プロセス・マネジメント(IT-BPM)業界が、448,000平米は従来のオフィスが占めました。


LPCのチーフ・エグゼクティブ・オフィサーのデイヴィッド・リーチュウ氏は、「2022年半ばまで、年末時点の需要が100万平米に達するかどうかを見通すのは難しいものでした。結果は予想を超えましたが、まだ安心してはなりません。」と述べています。


「IT-BPM業界は、ますます安定化し、メトロマニラだけでなく、国内主要都市の経済を支えるでしょう。従来のオフィステナント企業も回復してきており、不動産業界は2023年、残りの障害も飛び越えてくるでしょう。」


今後について、リーチュウ氏は、フィリピン・オフショア・ゲーミング事業者(POGO)が国内での営業を引き続き認められるならば、オフィススペース需要は来年には750,000平米に達するだろうと予想しています。


リーチュウ氏は以前、POGO業界が国内から締め出されれば、フィリピンは1,000億ペソを失うことになるだろうと指摘していました。内訳としては、不動産業界で475億ペソ、税金で58億ペソ、年間の電気料金で95億ペソ、管轄するゲーミング公社PAGCORの収益52.5億ペソの減少です。


また、年間の支出についても114億ペソの損失があると指摘しています。こちらの内訳は、日々の支出で9億5,200万ペソ、内装コストで525億ペソ、さらに外国人の正規雇用者の所得税で571億ペソとなっています。さらに、347,000人分の雇用が失われると見積もっています。


「POGOがいれば、必要な時期に市場を強化できるでしょう。世界は、非常に不安定な状態にあるからです。」


「刺激策や触媒のようなものが少しでもあれば、世界が受けようとしているダメージからの緩衝材を作ることができます。」



9月、ベンジャミン・ディオクノ財務相は、「社会的」リスク、「風評」リスクを挙げて、POGOを廃止すべきだと述べました。


2019年9月、財務省はすでに、納税義務が果たされていないとして、POGOの廃止を警告しています。当時、未払いの源泉徴収所得税は、216.2億ペソとも言われていました。それ以降、多くのPOGOが閉鎖しています。




(出所:GMA Network

(画像:UnsplashのREY MELVIN CARAANが撮影した写真)