2020/07/03
[マレーシア] MM2Hビザ申請を一時凍結、プログラム見直しのため
プログラム見直しのため、マレーシア・マイ・セカンド・ホーム(MM2H)の新規申請が一時凍結されているようです。
■2019年9月~11月のMM2H申請の90%以上が却下
マレーシア・マイ・セカンド・ホーム(MM2H)コンサルタントで作る、MM2Hコンサルタント協会(MM2H Consultants Association)のリム・コク・サイ会長は、2020年6月25日以降に明らかになった結果で、2019年9月~11月に約1,000件の申請が却下されており、却下率は90%に上ったと話しています。MM2Hの今までの却下率は毎年平均10%ほどでした。
2020年7月2日に行われた記者会見で、リム会長は、ここまで多くの申請が却下された理由について、「公正かつ合理的な」説明を求めたいと話しています。申請プロセスがとても厳しく、申請書に少しでも不備があると、MM2H事務所ですぐに追い払われてしまうということです。
リム会長は、「協会メンバーは、観光芸術文化相から多くの申請が却下された背景につき特段の理由やコメントもなく、(却下された申請の)不服申し立てができないと言われてとても驚いています。何度か観光芸術文化省にレターを出していますが、今のところ回答はありません。打ち合わせの場を設定するための調整をしているのかもしれません。」と話しています。
「コンサルタントは、申請者に説明できないので立場が悪くなっています。申請書に足りないものが何なのかをちゃんと説明していただきたいです。必要な書類があれば準備して再申請したいと思っています。」
会長は、すでに330万リンギット相当の住宅をマレーシアに購入済みにも関わらず、却下されてしまった申請者もいるという例を出して、却下にかかる透明性に欠けることで、マレーシアの評判も悪くなるだろうと話しました。
プトラジャヤにあるMM2Hセンターが「一時的に閉鎖」していることについて、リム会長は、おそらく入国管理局が今後はMM2Hプログラム関連事項の対応をするという新しい通達に関連しているのではないかと考えています。
入国管理局のカイルル・ジャミー・ダウド局長は、MM2H関連については今後プトラジャヤにある入国管理局本部に問い合わせるようにと話しており、リム会長はこの動きを歓迎しています。
「これにより事務手続きや申請プロセスがより円滑になると期待しています。10年ビザなど、書類や必要な承認の中にはもともと入国管理局本部で手続きしないといけないものがありますから。」と話しています。
■プログラム見直しと承認プロセス改善のための「一時凍結」
一方で、マレーシア観光芸術文化省のナンシー・シュクリ大臣は、省内のMM2H事務所を閉鎖し、入国管理局に移動する間、MM2H申請を凍結したとコメントしています。この一時的な凍結を、MM2Hプログラムと承認プロセスの改善のための見直しだと話しています。
ナンシー観光芸術文化相は、「活動制限令(MCO)の期間に、MM2Hプログラムの改善のためにできることが色々あると気づいた」として、「政府は、このMCO期間を利用して、プログラムを見直し、その活動や承認プロセスを細かく見ていくことにした」と、2020年7月2日にレポーターに対して話しました。
観光芸術文化省がプログラムの調査を行う一方で、入国管理局もその承認プロセスの見直しをしていたようです。
ナンシー観光芸術文化相は、見直しを12月までには終えたいとしており、プログラムのマレーシア経済への貢献度を考えると、プログラムを永久に閉鎖することはないと話しています。
一方で、サラワク州のアブドゥル・カリム・ラフマン・ハムザ観光芸術文化相は、一時的に凍結されるのは、マレー半島のみで、サラワク州には州独自の入国管理方針があり、州政府は最近行われた会議でも多くのMM2H申請の承認を行ったと話しています。
■プログラムがもたらす経済効果
MM2Hプログラムは、2002年の導入から2018年までに、総額406億リンギット(約1兆円)をマレーシアにもたらしました。リム会長は、一連の申請が却下されたことで、少なくとも7.76億リンギット(約195億円)の損失を出したと話しています。
MM2Hの統計によると、2018年には、5,610件の申請が承認され、国内の様々なセクター・業界に44億リンギット(約1,103億円)の貢献をしました。
不動産業界の後押し以外にも、MM2Hプログラムは、50歳以上の申請者の場合は150,000リンギット(約375万円)、50歳未満の申請者の場合は300,000リンギット(約750万円)の定期預金を義務付けており、銀行を通じて国内への資金の流入に役立っています。
申請者はまた強制的に健康チェックを受けることになっており、医療保険も購入しなくてはなりません。それに加えて、多くの人がプログラムに参加する理由として、ショッピング、グルメ、そして教育ハブとしてのマレーシアの評判を挙げています。
(出所:The Star、Free Malaysia Today)
(トップ画像:Image by congerdesign from Pixabay )
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