[マレーシア] MM2Hプログラム10月に再開

2021/09/07



マレーシアの長期滞在ビザ「マレーシア・マイ・セカンドホーム(MM2H)」プログラムは、安全面と経済面のバランスが考慮され、方針や申請条件に改良が加わった上で再開されます。


内務省のワン・アフマッド・ダラン・アブドゥル・アジズ次官は、すべての法的手続きが完了したら、プログラムへの新規申請の処理および管理は、10月より入国管理局(Immigration Department)で行われるようになると話しています。


次官によると、内閣は、7月14日および30日に、国家回復計画(National Recovery Plan)の実施を支援し、国の経済を立て直すための戦略として、MM2Hの方針への改良案に合意したということです。


MM2H申請手続きもまた、申請およびMM2H参加者のプロフィールデータベースの処理・維持のオンラインシステム化によって改善されます。


ワン・アフマッド・ダラン次官は、MM2Hプログラムに行われた改善点のうちのひとつに、参加者数(保持者および帯同者)の上限設定を挙げています。上限は、参加者数が、いつでもマレーシア人の人口全体の1%を超えないというものです。


「犯罪歴のない、的確な申請者のみが、プログラムに参加できる」として、次官は、MM2Hプログラムを通じて外国人が入国することに懸念を示すマレーシア人がいることも政府は理解していると述べました。


申請者は、不動産賃料または購入、医療サービス、保険、教育、飲食、国内観光といった形で、国の経済に確実に貢献するように、累積で年間90日はマレーシアに居住しなくてはなりません。


ワン・アフマッド・ダラン次官は、参加者は、以前の10,000リンギット(約26.5万円)に変わって、少なくとも月額40,000リンギット(約106万円)のオフショア所得がなくてはならないとも述べています。


この新しい所得条件は、適性のある高所得参加者をターゲットにしている政府の方針と合ってきます。また、インターナショナルスクールなど、子どもの教育にかける費用や、外国人の生活水準にあったライフスタイルなどを考えた上だということです。


また、申請者は、定期預金口座に100万リンギット(約2,650万円)保有する必要があります。以前の条件では、50歳超の申請者は150,000リンギット(約397.5万円)、50歳以下は300,000リンギット(約795万円)でした。


参加者はまた、資産申告を行い、少なくとも150万リンギット(約3,975万円)の流動資産を持っていることを証明する必要もあります。以前の条件では、50歳超の申請者は350,000リンギット(約927.5万円)、50歳以下は500,000リンギット(約1,325万円)でした。


MM2Hプログラムは2つのカテゴリーに分けられ、35歳~49歳と、50歳以上となっています。


35歳~49歳のカテゴリーは、所得面が安定しておりキャリアのある質の高い参加者を選出するために導入されたということで、次官は、トレンドの変化やタイやフィリピンなど近隣諸国におけるMM2Hに似たプログラムのスピルオーバー効果によるものだと説明しています。


またMM2Hプログラムの長期滞在パスの期間は、以前の10年から変わって5年となり、参加者が申請条件を遵守する限りにおいて、さらに5年ごとに延長できるということです。


パス料金も、以前の90リンギット(約2,385円)から年間500リンギット(約13,250円)に値上げ処理費用として、申請者本人には5,000リンギット(約132,500円)、帯同者1人に対して2,500リンギット(約66,250円)かかるということです。


以前は、処理費用はかかりませんでしたが、今回MM2H参加者に提供されるサービスの質向上を目指してのことだということです。


パスの更新、申請者本人(世帯主)の変更、国籍の変更などについては、本人および帯同者はセキュリティ審査を受けて合格し、無犯罪証明書を提出しなくてはなりません。


ワン・アフマッド・ダラン次官によると、新しいMM2H方針は、すべての新規申請者およびMM2Hパスの終了を迎える既存の参加者の延長申請に適用されるということです。すなわち、既存の参加者でプログラムの参加を継続したい場合には、新しい条件に従って延長を求めることになります。



新しい要件を満たすために、1年間の猶予期間が設けられるようです。



2002年に導入されたMM2Hプログラムは、外国人が長期ベースでマレーシア国内に不動産を購入し、居住することを認めるものです。2020年8月より、内国省および観光芸術文化省がプログラムの総合的な調査と見直しを行うために一時凍結されています。



次官によると、MM2Hプログラムにより、ビザ料金、不動産購入、個人用自動車購入、定期預金、月々の家計支出などを通じて、2002年から2019年の間に累積の粗付加価値所得118.9億リンギット(約3,150億円)の経済効果があったということです。


承認されているMM2H参加者は合計で57,478人、これにはMM2Hパス保有者の帯同者も含まれるということです。


次官は、MM2Hプログラムおよび参加者のマレーシアへの入国は、公衆衛生上の方針と国家安全保障会議が設定したSOPと呼ばれる規則、そして保健省のリスクアセスメントに準じると強調しています。


コロナ感染者数が多くマレーシアへの入国が現在禁止されている国出身の申請者が承認されるかどうか質問されると、次官は、禁止は有効であると回答しました。


9月7日、マレーシアは、コロナの感染者数が150,000を超える23か国を禁止しました。


禁止の対象となる国は、米国、ブラジル、インド、ロシア、ペルー、コロンビア、南アフリカ、メキシコ、スペイン、アルゼンチン、チリ、イラン、英国、バングラデシュ、サウジアラビア、パキスタン、フランス、トルコ、イタリア、ドイツ、イラク、インドネシアです。


(出所:The Edge markets

(画像:Photo by Deb Dowd on Unsplash)


※文章中の日本円表記は、1リンギット=26.5円で換算した参考値です