2020/09/08
[フィリピン] ムーディーズ、経済のさらなる収縮を予想
米大手債券の格付け機関業務を行うムーディーズのインベスターズ・サービスは、フィリピンの景気見通しをさらに引き下げ、コロナが引き起こした景気後退の中、2020年のGDP成長率を-7%としました。
ムーディーズは先に、今年のフィリピン経済について、4.5%の収縮と予測していました。しかし、今年前半の「深刻な不景気」を背景に、予測を引き下げるに至ったと説明しています。
域内でも最も長く厳しいCovid-19感染拡大抑制のためのロックダウンの真っ最中、2020年第2四半期、フィリピンのGDPは16.5%収縮しました。前半期は平均して9%の収縮となりました。政府は、2020年通期のGDPについて4.5~6.6%のマイナス成長を予想しています。
ムーディーズは、フィリピン経済の半分を占めるメトロマニラと近隣の州が、8月の2週間、Covid-19感染者数の急増にともない、より厳しい隔離措置に戻ったことにも言及しています。2週間のより厳しい隔離措置を終えた9月は、国内のほとんどが、より緩やかな隔離措置となりました。
2020年第2四半期、フィリピンは失業率2桁も記録、海外で働くフィリピン人労働者からの送金額も、前年同期比で-9.9%となりました。ムーディーズによると、2015年以来の四半期ベースでのマイナスとなりました。
「操業が中断されたことにより、量・金額ともに、工業生産も減少しました。4月の底から5月、6月はリバウンドし、パンデミックの封じ込め策の強化・緩和を反映しています。同時に、現在行われている国内・海外旅行の制限は観光と外国人観光客関連産業を妨げています。」とムーディーズは加えています。
「後半期は景気が回復するという我々の予測は変わっていませんが、以前に想定したよりも堅固さに欠けそうです。この見方と、2020年前半期の急激な景気収縮とを総合して、今年通期のGDP予測を7%の収縮に引き下げるに至りました。」とムーディーズは説明しています。
Covid-対策の「バヤニハン2」法案について、ムーディーズは、1,650億ペソ(約3,610億円)の景気刺激策は、「大部分が予算外の政府貯蓄と、国家予算の一部振替で対応されるため、予算への影響は限定的だろう」としています。
(出所:Business Inquirer)
(トップ画像:Austin Distel on Unsplash )
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