2023/11/07
マレーシアの長期滞在ビザ「マレーシア・マイ・セカンド・ホーム(MM2H)」プログラムのエージェントは、現行の厳しい要件により潜在的な申請者層の半分を失うことになったマレーシアにとって、現行のMM2H条件を緩和することは正しい動きだと歓迎しています。
MM2Hコンサルタント協会のアンソニー・リウ会長は、月4万リンギット以上の国外収入や、申請者の最低年齢の引き上げ(21歳から35歳)といった、2021年以降に課された条件を撤廃すべきだと述べました。
リウ氏は、これらの厳しい条件により潜在的な申請者の半数を失っていると見積もっています。
また、マレーシアは退職者市場で損失を被っていると指摘します。
退職者は、有効な資産や手段があり株式などに投資できるにもかかわらず、必ずしも毎月決まった収入があるわけではないので、MM2Hプログラムの資格が得られないのです。
また、コンサルタントのような高所得の専門職も、現状条件外になっていると指摘しています。
リウ氏は、政府から発表されることになっている新しいMM2Hの条件が、退職者も含め、異なるカテゴリーの月収も含むような調整がされることを願っています。
また、年齢制限についても、経済的に余裕があるものの、年齢が35歳以上とされているがために対象とならない若者がたくさんあるとして、変更を望んでいます。
さらに、マレーシア国内での最小滞在日数についても変更が必要だと指摘しています。
現在は、プログラム参加者本人が少なくとも90日間マレーシアに滞在しなければならないことになっています。
リウ氏は、日数を調整するか、扶養家族の滞在日数と合算できるようにすべきだと述べています。
もうひとつ、リウ氏が変更を求める条件は、プログラム参加者がマレーシアの定期預金口座に最低100万リンギットを保有していなければいけないというものです。
多くの富裕層はお金を持っているものの、他の場所に色々と投資をしているので、この条件は緩和されるべきだと述べています。
2002年の開始以来、MM2Hプログラムは好評を博してきましたが、2年前に条件が厳しくなってから応募が激減しました。
リウ氏は、マレーシア観光芸術文化省(MOTAC)大臣のティオン・キング・シン氏の発言を引用し、2021年11月から先月までの間に、MM2Hの申請2,164件のうち、88%に当たる1,905件が承認されたとしているが、この数字が本人申請のみなのか、扶養家族も含めたものなのかは不明であると指摘しています。
そして、1,905件が家族も含めたものであるとすると、申請数は非常に少ないと話しています。
2021年8月、政府はMM2Hプログラムに関心を持つ人々に対して、10つの新条件を発表しました。
この条件には、150万リンギットの流動資産を持つこと、月4万リンギットの国外収入があること(以前は1万リンギット)、マレーシアの定期口座に100万リンギット保有すること、さらに扶養家族1人につき5万リンギットを追加することなどが含まれています。
以前は、300,000リンギットから500,000リンギットの貯蓄があればよいというものでした。
また、申請者の最低年齢も21歳から35歳に引き上げられ、90日間マレーシアに滞在することが義務付けられています。
不動産・住宅開発業者協会(Rehda)マレーシアは、2023年10月13日に発表された予算2024で示されたMM2H申請に関する既存の条件を緩和する政府の動きを歓迎しています。
同協会のNK・トン会長は、MM2Hに関する議論に協会としてかかわることを望んでいると述べています。
一方で、トン氏は、外国人や外国企業による購入の際の譲渡覚書に対する印紙税を一律4%にするという案については、将来マレーシアへの移住を検討している人々にとって住宅所有やMM2H申請の意欲を削ぐことになるかもしれないとの見方を示しています。
MIDFリサーチ社は10月16日付のレポートで、不動産セクターはMM2H(条件緩和)の動きから恩恵を受けると予想しています。
同レポートは、外国人や外資系企業による一律4%の印紙税は、クランバレーやペナンの不動産需要を支えるLRT3号線やペナンLRTといった新しいインフラプロジェクトや規則緩和のプラスによって相殺される可能性があると述べています。
(出所:The Star)
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