2021/08/16
[マレーシア] ムヒディン首相が辞任を表明
マレーシアのムヒディン・ヤシン首相率いる内閣は、数か月にわたる政治混乱から過半数割れし、辞任を表明したと、科学省のカイリー・ジャマルディン大臣が発表したとロイター通信が報じています。
カイリー氏は、同ニュースをインスタグラムに投稿しています。今朝早く、ムヒディン・ヤシン首相が王宮に入っていくのが目撃されており、国王に対して辞任を申し出るのではと報道されていました。
ムヒディン首相は、閣僚や与党議員の相次ぐ連立政権からの離脱表明で、政権運営が困難な状況に陥っていました。今回の辞任表明の確認が取れれば、ムヒディン首相の17か月にわたる政権に終止符を打つことになる一方で、後継者のめどは今のところ立っておらず、パンデミックの打撃を受けた経済の再生とコロナ感染者数の再増加との戦いは暗礁に乗り上げることになります。
マレーシアの通貨リンギットは、過去1年間で最安値を付け、株式市場も下落しました。
▼USD/MYR為替レート推移(出所:xe)
議会で過半数を取る者がいないことから、誰が次の政権を率いるのか、もしくはパンデミックの中選挙が行われるのか否かについては明らかになっていません。
マレーシアの100万人当たりの感染率および致死率は東南アジア最高となっています。
▼人口100万人あたりのCovid-19感染率比較(出所:Our World in Data)
判断は、アルスルタン・アブドゥラ国王の手にゆだねられることになりそうです。国王は、選出された議員の中から、国王の判断で首相を任命することができます。
8月15日にマレーシアの地元メディアが報じたところによると、何週間にもわたる辞任への呼びかけを受けたムヒディン首相は、16日に国王に辞任を表明すると党員に伝えたということです。
また、国営ベルナマによると、首相は、16日、臨時閣議を招集したということです。ロイター通信の記者が、王宮にムヒディン首相が到着したとも報じています。
ムヒディン首相が辞任することで、政権は統一マレー国民組織(UMNO)に戻ると見られています。UMNOは、汚職疑惑ののちに2018年の選挙で選出されました。
次期首相、もしくは一時的に首相代理を行うと見られている候補のトップ2は、イスマイル・サブリ・ヤアコブ副首相とベテラン議員トゥンク・ラザレイ・ハムザ氏で、ともにUMNO出身です。
一方で、Straits Timesは、王宮が出した声明として、ムヒディン首相が次の首相が任命されるまで暫定的に首相の座にとどまると報じています。また、国王は、パンデミックの中で選挙を行うことは、国民の健康と安全を考慮した上では「ベストの選択肢ではない」との意見であるということです。
(出所:Reuters、Straits Times)
(画像:Image by Yusron Ambary from Pixabay)
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