[フィリピン] コロナの経済的損失41.3兆ペソ

2021/10/04


フィリピン国家経済開発庁(NEDA)によると、Covid-19パンデミックの中、民間消費、投資、政府歳入の減速に加えて、休校や病気などにより生産性が上がらないことなどがフィリピン経済に与える影響は、2060年まで及んで41.3兆ペソ(約90兆円)に上ると推定されています。



2021年9月16日、官民の「タスクフォースT3(テスト、トレード、トリート)」に行ったプレゼンテーションの中で、社会経済企画省、NEDA長官のカール・ケンドリック・チュア氏は、パンデミックとその後のロックダウンが経済に与えた打撃は、2020年単年だけで4.3兆ペソ(約9.4兆円)あったと述べています。



今後10~40年で、Covid-19が与える長期的なコストは、推定で37兆ペソ(約81兆円)に達するとチュア氏は言います。



「娯楽、観光、レストラン、公共交通など、ソーシャルディスタンスが必要なセクターでは、需要の低下により、今後10年は消費も投資も伸び悩むでしょう。」



これらの需要サイドの損失は、法人、個人、付加価値税(VAT)の逸失利益として、今後10年で約1.2兆ペソ(約2.6兆円)になるとNEDAは推定しています。



フィリピン経済は、今後10年間でパンデミック前の成長軌道に終息していくと見られていましたが、チュア氏は「労働者」の生産性が、死亡、病気、学校教育の不足などで下がる可能性があると指摘しています。



「生産性への影響は永久的なものになりそうだ」とチュア氏はコメントしています。



NEDAの推定では、パンデミックの影響は今後10~40年で、消費に4.5兆ペソ(約9.8兆円)、民間投資とリターンに21.3兆ペソ(約46.7兆円)、教育および医療セクターにおける人的資本投資とリターンに15.5兆ペソ(約33.9兆円)となっています。



このような経済に与える長期的な傷跡への対応として、チュア氏は、2021年の成長率4~5%、2022年の成長率7~9%を確実にし、力強い回復を達成するよう政府に求めています。これには、すべてのフィリピン人成人へのワクチン接種を加速させ、2021年末までに7,000万人を達成すること、そのためには、職域接種を含めたワクチン接種会場の拡大、人為的な障壁の撤去、そしてテクノロジーを利用した待ち時間、処理時間の削減をしていく必要があると述べています。



チュア氏はまた、リスク管理を改良、安全な経済の再開、特定の家族での活動の再開許可、限定的な対面での授業の再開、そして厳しい隔離措置はCovid-19感染者の急増化を延期できるとして、高リスクエリアには地域集中的なロックダウンの実施の必要性も強調しています。



(出所:Business Inquirer

(画像:Image by Steve Buissinne from Pixabay )