[ベトナム]ベトナム不動産市場最新動向

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行と現地の経済・社会への影響を受け、今後のベトナム不動産市場には数々の新しい動向が見込まれます。

[ベトナム]ベトナム不動産市場最新動向

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行と現地の経済・社会への影響を受け、今後のベトナム不動産市場には数々の新しい動向が見込まれます。CBREベトナム シニアディレクターのドゥン・ドゥオン氏にこれらの動向について伺いました。

今後のベトナム不動産市場にどのような動向が見られるでしょう?


我々の研究では、これからのベトナム市場を定義づけるいくつかの重要なトレンドが現れると予想しています。オムニチャネル、フレキシブルワークスペース、サステナビリティとウェルネスをとり入れた物件、プロパティマネジメントの重要性などがそれに当たります。

リテール分野における新しい動向の重要性は?


リテールにおいては、消費こそ低迷するものの、オムニチャネル小売業者はリテール業界に最も打撃を与えたCOVID-19に対しても、オンラインショップと実店舗、デジタルと伝統を混合させることでレジリエンスを見せています。

ベトナムではオンライン消費への取り組みは始まっているものの、まだ十分なレベルに達していません。これはベトナム人消費者の多くがオンラインで販売される製品の品質や、実際に届いた商品の仕様が記載内容と異なるのでは、などという不信感を持っていることが理由に挙げられます。消費者の多くは実際に商品を手に取り、試してから家に持ち帰ることを求めているのです。
こういった需要を受け、携帯電話販売大手テジョイディドン(モバイルワールド)(The Gioi Di Dong (Mobile World))、 家電販売チェーンのディエンマイサイン(Dien May Xanh)、大型電気センター グエンキム(Nguyen Kim)などの小売業者はマルチファンクション(多機能)サービスを拡大し、オンラインでの注文後、実際に店舗に足を運ぶと商品を試すことができ、配達も行うというサービスを始めています。


しかし、これらのサービスもカード決済、ロジスティクス、サプライチェーン管理といった部分に改善が必要とされています。ベトナムは電子機器やファッション、家電など、保存がさほど重要ではない分野では上手く行っているものの、食料雑貨や食料品の保存・保管システム、特に冷蔵保管システムが致命的に欠けています。


販売は短期的にですが、打撃を受けます。中でも特に食品・飲料、エンターテイメントが強く影響を受けるでしょう。小売業者は全体的に様子見モードで、(リテール物件の)視察や問い合わせの数が激減しました。このことで新規ショッピングモールのプレリーシングに課題が増えそうです。中には、地主に感染症の流行が続く間、家賃半減や家賃免除まで掛け合う業者もいます。

リテールはほぼ確実に厳しい、短期的な追い風を受けると見込まれるものの、長期的に見れば魅力的な投資機会だとCBREは見ています。ショッピングセンターをエクスペリエンスセンターへと変貌させる取り組みは、オペレーションに関する優れた専門知識を要します。そのためリテール物件をかけた競争が緩和され、経験値の高い投資家にとってはオポチュニティが増えることになります。

賃貸オフィスはどうでしょうか?

感染症の流行により、オフィステナントがフレキシブルワークやアジャイルワークの実用性を試す機会が、様々な市場で生み出されると考えています。
ここ数週間、COVID-19の感染拡大を危惧して人同士の接触を制限しようと、シンガポール、香港、マカウ、中国、日本、韓国の政府と民間組織は従業員に在宅勤務を指示、または推奨しました。
特にパソコンとインターネットさえあれば作業ができる企業では、この実験を比較的成功と見ています。在宅勤務する従業員の生産性や従業員同士のコラボレーションについての懸念は引き続きあるものの、CBREではこの大規模な試験を通じて、今後、企業のフレキシブル・ワークや在宅勤務導入の加速に繋がるのではないかと見ています。

今後他にどのようなトレンドが現れるでしょうか?

テナントが従業員の心身の健康に対するコミットメントを強化し、サステナビリティとウェルネスを取り入れたビルへの需要が今後強まります。室内空気質や換気・排水設備など、従業員の快適性改善のための機能を備えた物件は、長期的に見て強い需要を惹きつけます。また、LEEDやWELL認証された物件の開発ブームに繋がる可能性も秘めています。

感染症の流行により、企業は事業継続計画の見直しを強いられるでしょう。特に、重要業務や必須従業員のためのバックアップオフィスを保持する必要性について見直しが必要となります。さらに、プロパティマネジメントがこれまで以上に注目されるようになります。衛生管理に対して人々がよりセンシティブになった今、カフェやトイレなどの共有エリアや、電話、キーボードといったハードウェア等、各テナントが、これまでより頻繁で綿密なオフィス環境の衛生管理に務めることが必要となります。
カフェ、小売店、アジャイルスペースなど、共有アメニティを備える物件のアセットマネージャーは、既存の衛生管理方針を増強して、テナントと従業員の安心を図る必要があります。

それ以外に、在宅勤務普及が進むと、ビッグデータの重要性が高まり、既に投資家から熱い目が注がれているデータセンターやインダストリー4.0、IoT、メインストリームのクラウドサービス導入などが、今後さらなる重要な役割を担うと見込まれます。これによりクラウド倉庫の需要やデータ使用が高まり、データセンターの基礎が底上げされると見ています。

(出所:Vietnam Investment Review