[フィリピン] 9月の国外出稼ぎ労働者からの送金額4%アップ

2022/11/17


2022年9月、海外で働くフィリピン人労働者(OFW)が母国に送金する仕送りの額は、2カ月ぶりの増加となりました。


9月のOFWの送金額は31.5億ドルで、前年同月の30.3億ドルから4%増、前月8月の30.1億ドルからは4.6%増となりました。7月は32.4億ドルでした。


これで1月から9月までの累計は264.9億ドルとなり、2021年同期間の257億ドルから3.1%増加しました。


フィリピン中央銀行(BSP)は、9月の送金額の増加は、1年以上の雇用契約のもと陸上で働く労働者および、1年未満の雇用契約のもと海上および陸上で働く労働者からの仕送り増によるものだと分析しています。


銀行を経由して送金されたものだけでも、2021年同月の27.4億ドルから3.8%増の28.4億ドルとなりました。


今年1月からの累計で、現金送金は238.3億ドルで、昨年同時期の231.2億ドルから3.1%増加しました。


「2022年9月の現金送金の増加は、陸上、海上ともに労働者の手取り額が増えたことによるものだ」と中央銀行は説明しています。



特に現金送金の増加に貢献したのは、アメリカ、サウジアラビア、シンガポールおよびカタールからの送金でした。


送金金額を送金元の国別にみていくと、アメリカが41.7%と最も割合が多く、続いてシンガポールの6.9%、サウジアラビアの5.9%でした。



リサール商業銀行のチーフエコノミスト、マイケル・リカフォルト氏は、レポートの中で、9月の現金送金額は、2021年12月に記録した過去最高の29.87億ドルに近づいていると述べています。



リカフォルト氏は、OFWの送金額の増額は、OFWおよび扶養家族が価格の高騰/インフレに対応するため、また、経済の正常化に向けてさらなる再開が進む中での支出増に備える必要性によるものだろうと分析しています。



一方で、伸び率が過去数カ月、控えめな1桁台を記録していることについて、アメリカをはじめ世界的なインフレおよび金利上昇により、世界経済の回復がいくらか減速しており、OFWの出稼ぎ先の国における雇用にも収入にも影響を与えた部分があるのではないかと指摘しています。


また、これからホリデーシーズンに入るため、送金額そのものも換金額も、11月、12月は季節的に増加傾向となるだろうと予測しています。



(出所:Manila Times

(画像:UnsplashのChristine Royが撮影した写真)