[マレーシア] 世界で最も通行量の多い国境のひとつがコロナ後の再開に向けて準備

2020/07/31

[マレーシア] 世界で最も通行量の多い国境のひとつがコロナ後の再開に向けて準備


世界で最も通行量の多い国境のひとつが、コロナウィルス流行で閉鎖して数か月たち、再開の準備を始めています。


マレーシアとシンガポールは、陸路で毎日約30万人が行き来する国境に相互グリーンレーンを実施する計画です。両国の外務省が発表した声明によると、必要不可欠なビジネス目的・公用での両国間の往来を認めることとして、8月10日の運用開始を目指しています。


これは、パンデミックの混乱で打ちのめされた経済活動を安全に再開しようとする両国にとって救済策となりそうです。シンガポールは、ロックダウンの延長によりビジネスは閉鎖、リテールも客足が伸びず、前期は景気が後退しました。今回の国境再開は、3月以降国境が閉鎖されて以来のことになります。


メイバンク・キム・エン・リサーチ社のシニアエコノミスト、チュア・ハクビン氏は、「健康のための予防策や申請などもありますし、何人くらい入国が許可されるかなど、まだまだ不明な部分はありますが、両国の経済が開かれ、今後強化されることは確かです。マレーシアは労働者が早く仕事を再開できるようにしたがっていますし、シンガポールも人手不足を早く解決したいと望んでいます。」


2国間の取り決めの詳細は以下の通りです。

・国境の往来を認められた者は、両国間で合意されたCovid-19感染予防と公衆衛生のための対策を守らなくてはならない。また、旅程を提出し、それに従って行動するものとする。
・相手側の国で長期の事業/就労パスを保有する者は、仕事のために入国が認められる。
・職場のある国で3か月就労したのちに、短期の休暇のために帰国できる
・両国は仕事のために毎日国境を越えての通勤を含む、国境を越えた移動のためのその他適切な計画を作成することで合意


両国間にかかる橋の通行量以外にも、OAGアビエーション・ワールドワイド社によれば、両国間を結ぶ1時間のフライトも座席数において世界で二番目に忙しい国際線です。2019年、マレーシアの首都クアラルンプールとシンガポール間を飛んだフライトは29,993便、一日あたり約82便に相当します。


メイバンクのチュア氏は、今回の合意がシンガポール経済のネックの一つを解消するのに役立つのではないかと考えています。シンガポールは、2020年第2四半期(4~6月)のGDP成長率が、前期比年率でマイナス41.2%(季節調整済みの速報値)と発表しています。一方で、チュア氏は、入国時の長蛇の列を懸念する人もいることから、国境の往来の通行量は、以前の3分の1~半分程度にとどまるのではないかと予想しています。


シンガポールは6月に、ビジネスおよび公用での旅行について、中国との間でも隔離措置の要件を緩和する合意をしています。

(出所:Bloomberg
(トップ画像:Photo by Afifi Zulkifle on Unsplash )