[マレーシア] ペナンの不動産市場2021年上半期活発

2021/07/27

[マレーシア] ペナンの不動産市場2021年上半期活発


マレーシア・ペナンの不動産市場は、コロナ感染の流行や消費者心理の弱さ、さらに世界経済の見通し不透明にもかかわらず、活発な状態を維持しました。


総合不動産サービス会社ナイトフランク・マレーシアの「2021年上半期・不動産ハイライト」によると、アフォーダブル住宅や複合用途開発プロジェクトが増え、レジデンシャル部門が市場を独占しました。


ナイトフランクは、景気刺激策のもとで行われている様々な取り組みや国の持ち家キャンペーンが2021年末まで、州の持ち家キャンペーンが2022年6月まで延長されたことで、レジデンシャル部門は今後も回復力を保つと見ています。


50代以上をターゲットにした旅行サイト「Travel Awaits」で、2021年の世界のベストアイランド3位、アジア1位にノミネートされたペナンでは、政府によるペナン・グリーン・アジェンダ(PGA)2030が2月に、デジタル・トランスフォーメーション基本計画が3月に、そしてペナン観光基本計画2021~2030年が5月に立ち上がりました。


州政府系の企業であるペナン・インフラストラクチャー・コープ(Penang Infrastructure Corp Sdn Bhd (PICSB))もまた、SRSコンソーシアム(SRS Consortium Sdn Bhd)と持ち株比率3:7で合弁契約を締結、ペナン・サウスアイランドプロジェクトのアイランドAの埋め立てを行います。


アイランドAの埋め立ては、環境、社会、そしてコーポレートガバナンスを特徴としており、複数段階に分けて実施されます。


第1期では、合計931ヘクタールのうちの486ヘクタールの埋め立てが行われ、2027年完了を目標としています。アイランドA埋立地の約285.7ヘクタールが、高価値な環境&エネルギー(E&E)企業をターゲットとしたグリーン・テック・パークに充てられます。


一方で、53.5ヘクタールのガー二ー・ワーフプロジェクトの第1期では、障がい者向けの施設やアメニティを備えた公共の公園、スケートパーク、遊歩道、そして子どもの遊び場などが開発されることになっており、工事は9月開始、2022年の前半期に完成が見込まれています。


さらに、ペナン・メディカル&デジタル・テクノロジーハブも将来的にバトゥ・カワンにお目見えする予定です。ペナン開発公社(Penang Development Corporation)は、1月、アイヒール・ヘルス(iHeal Health Sdn Bhd)と覚書を結び、バンダール・カシアの成熟したタウンシップ内の120.4ヘクタールの土地に同ハブを開発することになっています。



完成物件数


ナイトフランクの2021年上半期のレポートによると、期間内にはいくつかのプロジェクトが完成しました。まずは、ケルジャヤ・プロスペック・プロパティ(Kerjaya Prospek Property Sdn Bhd)のストレーツ・レジデンシーズ(Straits Residences)です。バンダール・スリ・ピナンの29階建ての建物で、80平米から126平米のユニット246戸が入ります。販売価格は、10,804リンギット/平米~15,059リンギット/平米です。


アスペン・グループ(Aspen Group)も、バトゥ・カワンのアスペン・ビジョン・シティにヴェルトゥ・リゾート(Vertu Resort)を完成させています。このプロジェクトは20~36階建ての5つのブロックから構成されており、68.7平米~119.8平米のユニット1,246戸が入っています。販売価格は、ユニットあたり40.2万リンギットから129万リンギットとなっています。


IJMペレニアル・デベロップメント(IJM Perennial Development Sdn Bhd)は、ザ・ライト・シティに、メッツォ@ザ・ライト・シティ(Mezzo@The Light City)をソフトオープンしました。100平米から127平米のユニット456戸が入る、34階建ての建物です。販売価格は、ユニットあたり90万リンギットからとなっており、工事は2025年完了予定となっています。


オフィススペース供給については、2021年第1四半期の時点で、私有の専用オフィスがペナン島に約66万平米、本土側に約15万平米あり、それぞれ平均稼働率は約85%(2020年第1四半期は81%)、58%(2020年第1四半期は59%)となっています。


期間中、新しいオフィスプロジェクトの完成はありませんでした。


ナイトフランクは、新しいオフィス供給がなかったことで、オフィス部門は稼働率、賃料レベルともに維持すると見込んでいます。


ジョージタウンのモニタリング対象となったビルの稼働率は安定的で、平均して75%~96%でした。


ジョージタウンエリア外の、Menara IJM Land、Suntech @ Penang Cybercity、One Precinct、GBS@Mayangといった、特定の高グレードオフィスビルについては、平均稼働率は82%~90%ほどでした。


ジョージタウンでは、モニタリング対象のオフィスビルの希望賃料は安定的で、月額30リンギット/平米~51リンギット/平米でした。


ショッピングモールについては、2021年第1四半期の稼働率は73.3%と、2020年第1四半期の74.1%からわずかに下がりました。


2021年第1四半期時点で、ペナンの既存のショッピングモール109軒の店舗スペースは約188万平米で、2つのコンプレックス(賃貸可能面積約9.7万平米)が今後供給予定となっています。


ペナン島内の高級ショッピングモールの稼働率は安定的で、2021年第1四半期は82~97%となりました。


高級ショッピングモール1階の店舗区画の月額賃料もおおむね安定的で、75リンギット/平米から、高いところでは538リンギット/平米となりました。どのモールか、そしてどんな立地、ユニットサイズか、などが賃料を左右する要素の代表的な例です。


アダット・マクムール(Adat Makmur Sdn Bhd)とコペラシ・ガブンガン・ヌグリ・プラウ・ピナン(Koperasi Gabungan Negeri Pulau Pinang)が手掛ける、注目すべき商業不動産ウェルド・ヘリテージ・スクエア(Weld heritage Square)は、ジョージタウンのペンカラン・ウェルド先のレブラヤ・ムルデカ道路沿いに建設されます。区分所有タイプのプロジェクトで、289平米~468平米、3階および4階建てショップユニット36戸で構成され、価格は160万リンギットからとなっています。


プロジェクトの完成は2021年末予定、2022年前半期までにコンドミニアム建設運営書(Certificate of Completion and Compliance)取得を目標としています。


(出所:New Straits Times

(画像:Photo by Wan San Yip on Unsplash   )