2022/02/08
今年5月のフィリピン大統領選に向けて、投資家やデベロッパーの投資判断が遅れるだろうとアナリストは予想しています。新政権下での事業のしやすさについて、様子見の姿勢に入っているからです。
これは、すでにコロナウイルス大流行の影響を受けて減速した市場を悪化させる可能性があります。
総合不動産サービス会社コリアーズ・フィリピンのアソシエイト・ディレクター、ジョーイ・ボンドック氏は、「投資家の中には、新しい大統領が決まるまでは様子見のスタンスをとる者もいるでしょう。デベロッパーもまた、新政権の政策が見えてきたら開発や土地の取得を再開するでしょう。」と述べています。
フィリピンの不動産市場は、パンデミックの被害者となりました。2020年、感染の波を封じ込めるために複数回行われたロックダウンにより最悪の不況に陥り、フィリピン経済は9.5%収縮しました。2021年は、消費の高まりと、前年のベースの低さから、経済は立ち直りを見せ、5.6%成長しました。
2021年、オフィス、リテール、レジデンシャルと行った複数の不動産セグメントの稼働率は、特に中所得層向けのアパートメントを中心に、7%~20%下落したと、不動産コンサルティング会社クッシュマン&ウェイクフィールドは報告しています。
クッシュマン&ウェイクフィールドのリサーチ・コンサルティング・アドバイザリー担当ダイレクターのクラロ・コルデーロ氏は、フィリピン不動産が選挙の恩恵を受けるかどうかを決める要素は2つあると主張します。1つ目は選挙の信頼性、2つ目はその結果です。
「最大の脅威は、接戦により、新政権の発足が遅れることです。信頼性のある選挙結果の公表が大幅に遅れると、このような遅れの可能性から継続性は失われ、経済全体はもちろん、不動産市場における投資家や消費者の信頼感を損ねかねません。」
現在の最有力候補2人は、政治的スペクトルにおいて両極端にいます。独裁体制を敷いた故マルコス元大統領の長男で元上院議員のフェルディナンド・マルコス(通称:ボンボン)氏と、反ドゥテルテ派のレニー・ロブレド副大統領です。
マルコス氏が支持を急拡大しており、ドゥテルテ派の支持も得そうです。ロブレド氏は、日系シンクタンクのノムラ・グローバル・リサーチが、最近の月間報告書で、コロナ後の国家の復興を導くのにより適格であるとの分析結果を明らかにしています。ロブレド氏は特に、国政レベルでの経験値とビジネスフレンドリーな姿勢が高く評価されました。
一方で、マルコス氏は、ドゥテルテ大統領と関係が近いとされており、南シナ海で領有権争いを抱える中国への融和姿勢を継続すると見られています。
KMCサヴィルズの共同創始者兼マネージングダイレクターのマイケル・マッカロウ氏は、フィリピン不動産市場について、今年は得られる支援は全て欲しいところだと述べています。
「2022年、オフィス市場の立ち直りが期待されているが、今後3年で最大となる、703,000平米の新規オフィススペースがメトロマニラで竣工することから、2021年と比べて空室率は高まると予想しています。」
「ブリック&モルタル(実店舗)市場は改善すると見られますが、パンデミック前のレベルには満たないでしょう。この不活発な市場は、ゆっくりとしたペースで回復すると予想しています。」と、マッカロウ氏はコメントしています。
(画像:Photo by Mara Rivera on Unsplash )
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