2020/10/30
[フィリピン] 2020年3QのGDPはリバウンドなるか
フィリピン経済は2020年第3四半期にリバウンドした可能性があるが、コミュニティ隔離措置がコロナパンデミックからの回復に重くのしかかっていくことになりそうだ、と英調査会社のキャピタル・エコノミクスは述べています。
ロンドンに拠点を置く調査会社キャピタル・エコノミクスが、2020年10月28日に発表したレポートによると、フィリピンのGDPは第2四半期の16.5%から復活して、第3四半期はリバウンドしている可能性があると述べています。
フィリピンは、コロナウイルスの感染拡大抑制のために政府が3月中旬から実施した厳しいロックダウンおよびその他制限措置により、2020年第1四半期-0.7%、第2四半期-16.5%と、2四半期連続で経済成長率がマイナスとなりました。これらの措置により、ほとんどのフィリピン人は感染を避けるために外出自粛となり、その期間の経済活動に甚大な影響を与えました。
キャピタル・エコノミクスは、製造活動が過去数か月で戻ってきたとはいえ、8月は対前年同期で-13.8%、輸出は-20%弱だったことから、第3四半期のリバウンドはあっても依然弱い状態だろうとしています。
フィリピンの感染者数は、ここ数週間で減ってきたものの、まだ高い状態が続いており、人々の活動がすぐには戻ってきていないようです。同社は、「今後数か月は、ソーシャルディスタンシング措置が引き続き実施せざるを得ないので、回復の足を引っ張ることになりそうだ」と述べています。
10月29日の時点で、フィリピン国内の感染者数は376,935人となっており、うち回復者329,848人、死者7,147人となっています。(出所:保健省)
キャピタル・エコノミクスは、財政支援の不足もまた回復を妨げている要因だと指摘します。
第2四半期の政府支出は、前年同期比でほぼ10%減となりました。中央銀行も10月の政策金利は2.25%に留め置いています。
しかし、切迫した経済見通しにより、金融政策の緩和のサイクルを再開してくるだろうとキャピタル・エコノミクスは見ています。
「インフレはさらなる緩和の妨げにはならないでしょう。消費者物価指数は、8月の2.4%から9月は2.3%に下がり、中央銀行の目標範囲(2~4%)以内の下限に近い状態です。」
キャピタル・エコノミクスはまた、有効なコロナウイルスのワクチンができれば、危機を脱出する方法のひとつにはなるかもしれないが、フィリピンを含む東南アジアの見通しを劇的に変えることにはならなさそうだと述べています。
「ワクチンがどのくらい効果があって、どのくらい持つか、どのくらいの人が利用するか、またその生産や割当の速度による」として、「先進国は複数のワクチンを大量に事前発注しているが、アジアの低所得国は有効なワクチンを手にする順番は後の方になるだろう」と付け加えました。
2020年7月末、キャピタル・エコノミクスは、2020年のフィリピンのGDPについて8%の収縮、2021年と2022年はそれぞれ13%、8.5%の拡大を予想しています。
(出所:The Manila Times)
(トップ画像:Photo by Janssen Panizales from Pexels )
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