2020/10/16
【メリット】フィリピンの不動産を買うために知っておくべき情報
最近よく耳にする海外不動産の中でもとりわけ注目の高いフィリピン。なぜこんなにフィリピンが注目されるのかご存知ですか?落とし穴はないのでしょうか。日本と比較しながら、フィリピン不動産投資のメリット・デメリットを見ていきましょう。
メリット(日本と比較:フィリピン不動産投資のメリット)
まずは、フィリピン不動産投資のメリットを見ていきましょう。フィリピンが投資先として魅力的なのには、次のような理由があります。
メリット(日本と比較:利回り/魅力(人口・言語・情報収集))
①人口:豊富な若年層と増加する都市人口
フィリピン | 日本 |
図を見てもお分かりいただける通り、高齢化が進み人口が減少傾向の日本と比較すると、フィリピンは非常に若者の多い国です。ますます加速する都市化とミドルクラス(中所得層)の増加も加わり、今後の住宅需要の拡大が期待できます。
②言語
フィリピンでは、フィリピン語以外に、英語を公用語としています。フィリピン統計局の2000年の国勢調査の時点で、5歳以上のフィリピン人の63.7%が英語を話すことができることがわかっています。100か国の国と地域を対象にしたスウェーデン発のEFが発行する英語運用能力ランキング(English Proficiency Index Ranking)では、フィリピンはシンガポールに次いでアジア2位(世界20位)、運用能力が「高い」国に区分されています。英語が広く通じることは、やりとりの面で安心感が増します。
▼アジア地域・英語運用能力ランキング(English Proficiency Index Rangking)(出所:EF)
③情報収集
フィリピンには大手のデベロッパーが複数存在します。もちろんウェブサイトは英語で閲覧できますし、契約書も英語になります。他の東南アジア諸国の言語と比べると情報は手に入りやすいでしょう。
Global Property Guideが発表している賃貸利回りを見てみると、フィリピンが6.13%に対して日本は2.66%と、高い利回りが期待できることも魅力です。
メリット(日本と比較:人気の背景)
⑤アクセス便利
日本から4~5時間で行けるフィリピンは、LCCなどの路線網の拡充、35歳から取得可能で永住が可能なリタイアメントビザ「特別居住退職者ビザ(SRRV)」の高い利便性などが評価され、ロングステイ財団の発行するロングステイ希望国・地域2018では、過去じわじわと順位を上げて、マレーシア、タイ、ハワイに次いで4位となりました。
⑥物価が安い
生活費データサイト「Numbeo」によると、フィリピンの物価は日本の約半分です。都市中心部にコンドミニアム(日本でのマンション)を買う場合の平米あたり単価は日本の3分の1以下と、日本と比べると割安に購入することができます。
【デメリット】フィリピン不動産投資を買うために知っておくべき情報
もちろん、メリットばかりではありません。フィリピン不動産を購入するにあたってのデメリットを見ていきましょう。
デメリット(日本と比較:プレビルド)
日本では「物件完成前に販売」することを「青田売り」などと呼ばれ、新築マンションなどでは一般的です。フィリピンを含め、東南アジアでは「プレビルド」と呼ばれ、「建設工事が始まる前」に物件を購入する方式が一般的です。
プレビルド物件では、物件の建設が進むにつれて、デベロッパーの販売価格が徐々に上がる仕組みになっています。契約してから完成までに数年かかるものもあります。手付金を支払って、引渡し時に残金を支払うという点では日本のマンション購入と同じですが、プレビルドでは、手付金を分割払いする支払い方式を取ることができます。
一定の期間にわたって手付金を分割払いすることで、一回当たりの支払金額が少なくて済むため、エントリーがしやすいのが特徴です。分割払いをせずに手付金を一括払いすると、割引を受けることもできます。
デメリット(日本と比較:リスク・注意点)
エントリーしやすいプレビルド方式ですが、いくつかリスクがあり注意が必要です。
①「完成しない」リスク
物件の完成を前にデベロッパーが倒産してしまうリスクがあります。物件の契約をしてから引渡しまでに数年かかるわけですので、その期間に起こるかもしれない経済状況の変化に耐えうるような安定した財務基盤を持つデベロッパーを選定することがカギとなります。
②「思ったほど値上がりしない」リスク
プレビルド物件の販売価格は完成が近づくにつれて高くなる仕組みになっていますが、思ったほど値上がりしない場合もあります。また、販売価格が高くなったからといって、その値段で転売できるとは限りません。日本でも同様に需要と供給のバランスで、実勢価格が販売価格に見合わないことがあります。物件を慎重に選ぶことが重要です。
③「残金が支払えない」リスク
手ごろな分割払いで始められるものの、残金を支払うことができないと、一定の支払い条件のもと一部支払済み金額の返金を求めることができる法律はありますが(以下記載の大統領令No.957の第24条及び共和国法No.6552の第3条)、デベロッパーに支払済みの金額を没収される形になります。こちらも日本と同様、ローンが組めるか、ローンの返済はきちんとできるのか、資金計画をしっかりと立てておくことが必要です。
④「イメージと違う」リスク
日本の新築マンションでも入ってみないと風通しや日照、眺めなどが確認できなかったり、工事の品質が想像と違ったりということが起こりえます。プレビルド方式でも、頼りにするのはショールームやパンフレットの情報です。デベロッパーが約束した品質通りの物件を作り上げてくれるのかどうかを見極めるために、そのデベロッパーの過去のプロジェクトの実績を確認したり、日本企業が参画しているようなプロジェクトを選んだりと品質面での信頼性を確保しておくべきでしょう。
デメリット(日本と比較:規制)
さらに、不動産を購入する上での規制もあります。日本では外国人が不動産を購入することに規制はありませんが、フィリピンでは外国人は土地を購入することができません。したがって、土地付きの一戸建ての住宅も購入することができません。外国人が購入できるのは、コンドミニアムとコンドミニアム相当のタウンハウスです。また1つのプロジェクトで外国人の保有割合が40%を超えることができません。
デメリット(失敗例の紹介)
ここで、いくつか失敗例を見ていきましょう。
①物件が完成しなかった
現地側の理由で工事がストップしてしまい、再開されずに終わってしまう例です。デベロッパーの過失で物件が完成しない場合には、大統領令No.957の第24条により購入者の保護がされており、返金を請求することができることになっています。しかし、結局お金が返ってこなかったケースもあるようです。
②ローンがつかなかった
順調に分割払いをしてきたものの、物件の引渡しタイミングが近くなってローンがつかなかったという例もあります。ローンの審査期間が十分に取れず、期日に間に合わなかった、もしくは必要な額の融資が受けられなかった、というようなケースです。ローンが受けられず、残金を期日通りに支払うことができない場合、遅延利息の支払いが発生したり、契約取り消しとなったります。こちらは、共和国法No.6552の第3条により、バイヤーが少なくとも2年間分割払い済ませている場合は、支払済みの金額の50%を受けられることになっていますが、それ未満の場合の返金はありません。ちなみに日本人であれば、売買価格の70%を上限としてローカルの銀行よりローンを組むことが可能です。
③賃貸できなかった
賃貸収入を当てにしていたのに借り手がつかない例です。これには、完成時の品質が悪くてそのまま貸せなかった、設定した賃貸レートが高かった、内装・家具が借り手の好みとマッチしていなかった、などの理由があります。
フィリピンの物件の購入方法
不動産購入のおおまかな流れとしては、まず購入希望物件を決定後、所定の予約申込書に記入するとともに、期日内に予約金を支払います。また、購入代金の支払方法に応じて必要書類を提出します。
不動産の購入代金は、複数の支払方法やスケジュールの中から選ぶことになります。建物が完成したら、物件の引き渡しと登記が行なわれます。権利書が実際に手元に届くまでには、数か月から長いときには1年以上かかることもあるようです。
投資(物件)の見極め方
投資物件を見極める際には、いくつかのポイントがあります。
■デベロッパーの過去のプロジェクト実績や物件の売れ行きを確認する
購入を検討している物件のデベロッパーについて調べてみましょう。インターネットのおかげいろいろな情報を集められるようになりました。デベロッパーの歴史、親会社、過去のプロジェクト実績などが確認できます。歴史が長く開発実績も多いデベロッパーであれば、安定して事業を行ってきており、しっかりした財務基盤を持つ会社である可能性が高いです。過去のプロジェクトがどのエリアにあるのかも確認しましょう。デベロッパーの得意とするエリアが見えてきます。
さらに、購入を検討している物件の売れ行きも見てみましょう。プレビルド方式では、手付金の分割払いで得られた資金を工事費用に回している場合があり、販売開始してもなかなか資金が集まらないと工事が進まなくなってしまう可能性もあります。
■物件エリアの市場情報を確認する
セールストークやパンフレットだけでなく、実際に物件のあるエリアの市場情報を確認することも大切です。エリアの賃貸需要・空室率、同等物件の販売価格・平均賃料、ターゲットとなる入居者や、そのような入居者が集まりそうな根拠を調べておくことで、購入しようとしている物件の価格設定や期待利回りの妥当性を判断する材料になります。
エリア選定の方法
では、投資先を決めるにあたってエリアはどのように選定したらよいのでしょうか。コロナを背景に、生活必需品が手に入りやすい、医療や学校などの必要なサービスが近い、といった理由で複合用途開発への関心が高まっています。
現在、フィリピン政府は大規模なインフラプロジェクトを推進中です。公共交通機関や道路が整っているか、または今後そのような計画があるか、洪水の心配はないかなども調査をしてみましょう。
ローン・初期費用
前述のとおり、フィリピンで物件を購入する際には、予約金、手付金、残金の支払いが発生します。支払った予約金は、物件購入価格の一部とみなされます。手付金は、物件価格の10%~30%くらいです。
分割払いには、先日付小切手(Postdated Check)と呼ばれる小切手を発行して支払うことが一般的です。
残金の支払には、ローンを利用できます。残金の支払にローンを利用するときには、①日本の銀行を使う方法、②フィリピンの銀行を使う方法と、③デベロッパーの自社融資(デベロッパーによる)を利用する方法があります。物件の購入価格以外に、印紙税、公証費用、地方譲渡税、登記費用などの諸経費も発生します。
海外送金の方法
海外から購入する場合は、予約金に相当する金額をフィリピンに送金しなくてはなりません。銀行通貨の異なる高額の送金を行う場合は、為替レートが大きく影響してくることに注意しましょう。
・日本の銀行の海外送金サービスを利用する方法
・フィリピンの銀行を利用する方法
・海外送金サービスを利用する方法、があります。
賃貸や売却といった出口戦略
海外不動産投資では、①値上がりしたところで販売することでキャピタルゲインを得る方法、または②賃貸してインカムゲインを得る方法があります。キャピタルゲインを狙う際には、売却のタイミングの見極めが重要です。
インカムゲインを狙うためには、ターゲットとする入居者のニーズにマッチするような賃料設定/内装・仕上げが肝心です。
フィリピンの物件・エリア情報
ここでフィリピンの投資先として人気のエリアをご紹介していきます。マカティ市(Makati City)、ボニファシオ・グローバルシティ(Bonifacio Global City)、オルティガス(Ortigas)はビジネス街となっており、外国人駐在員をはじめ、需要の高いエリアとなっています。
セブ(Cebu)は美しい海を持つリゾートとして有名ですが、最近ITパークをはじめ経済特区にグローバル企業の進出も増えており、発展目覚ましいエリアです。
相場・コロナを踏まえた商況
新型コロナウィルス(Covid-19)とその感染拡大封じ込めのために行われた厳しいロックダウンによりフィリピン経済は大きな打撃を受けました。2020年第2四半期のGDPは、対前年同期で過去最悪の-16.5%となりました。
フィリピン中央銀行が発表した2020年第2四半期のレジデンシャル不動産価格インデックスでは、厳しい経済状況の中レジデンシャル不動産価格は上昇し、対前年同期比27.1%を記録しました。ハイエンドプロジェクトが貢献しており、不動産市場の回復に向けた兆しだと期待が高まります。
▼住宅価格インデックス上昇率(対前年同期)(出所:フィリピン中央銀行)
物件事例(物件価格・㎡単価・㎡数など)
では、ここでプロパティアクセスがピックアップする注目のフィリピン物件をいくつかご紹介していきます。
■The Grand Midori Ortigas(ザ・グランド・ミドリ・オルティガス)
価格:約1,800万円〜(月々約6万円の分割払い)/広さ:35平米〜/カテゴリー:高級コンドミニアム/想定利回り:約6%
日本の現代建築とデザインを牽引する「丹下都市建築設計」によるデザイン監修。JICA支援の地下鉄駅「オルティガスノース」が徒歩圏に完成(2025年完成)。ニノイアキノ国際空港(マニラ空港)まで地下鉄で1本。デベロッパーはフィリピン大手金融財閥GTキャピタルグループのFederal Land及び日本のオリックス
■Empress(エンプレス)
価格:約1,700万円〜(月々5万円程度の分割払い)/広さ:30平米〜/カテゴリー:高級コンドミニアム/想定表面利回り:約6.5%〜
JICAの地下鉄直結の複合開発キャピトルコモンズ内。未来に備えた「スマートホーム」機能付。デパート、シネコン、大規模スーパーが完成済でコミュニティの発展が期待される。デベロッパーは地元で評価の高い約90年の歴史を誇る「オルティガスランド」。
■Cebu Exchange(セブ・エクスチェンジ)
価格:約5,000万円〜/広さ:160平米〜/カテゴリー:区分オフィス/想定NET利回り:約7%(以降年間5%上昇見込み)
新たな経済特区「ITパーク」の入り口に位置するセブの「六本木ヒルズ」。ITパークはアマゾンやグーグルなど国際企業が多数進出、極めて低い空室率と高い賃料上昇力が期待できる。次のオフィスプロジェクトでは三菱地所が事業参画するグリーン開発を得意とするデベロッパー。
まとめ
今回は、フィリピン不動産投資のメリット、デメリットをご紹介しました。日本と比べて今後さらなる人口増加と中所得層の拡大が続くエネルギーあふれるフィリピンで不動産投資のメリットを享受するためには、リスクをしっかりと押さえたうえで、物件選び、エリア選びを慎重に行っていきましょう。
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