マレーシア不動産投資を初めて考える方のために徹底解説!現地を知るプロがリスク・おすすめの投資方法を紹介!

2020/10/24

マレーシアの不動産投資に関する全般的な情報


マレー半島とボルネオ島の一部を領域とするマレーシア。その首都クアラルンプールのアイコンともいえる、「ペトロナス・ツインツインタワー」は、マレーシアに行ったことがなくても、写真などで見たことがある方も多いのではないでしょうか。ユネスコ世界文化遺産の町マラッカや、リゾートとして人気のランカウイ島やペナン島など、旅行先としての魅力もが満載。そんな魅力満載のマレーシアは移住先としても人気です。旅行先としても移住先としても人気のマレーシアにおける不動産投資を見ていきましょう。



なぜマレーシアの不動産投資は人気なのか。その魅力に迫る!


①堅調な経済成長率

「アジアの優等生」と呼ばれてきたマレーシア。その背景には、力強い経済があります。グラフを見ていただくと分かる通り、1990年以降のGDP成長率は6%前後を維持していますマイナス成長となったのは、アジア通貨危機の影響があった1998年、そしてリーマン・ショックを発端とした金融危機に伴う世界的な景気失速が見られた2009年のみです。今年も、コロナの影響でマイナス成長が予測されていますが、2021年の成長率予測は政府が5.5~8.0%、世界銀行が6.3%(ワーストケースシナリオでは4.4%)、IMFが7.8%、アジア開発銀行が6.5%と、勢いある回復が見込まれています。



②外国人の不動産購入規制が比較的緩い

マレーシアは東南アジアで唯一、外国人の土地購入・保有を認めている国です。コンドミニアム1棟当たりに外国人が所有できる割合などの制約もありません。ただし、州によって外国人が購入できる不動産の最低購入価格がそれぞれ定められているので注意が必要です。


③移住先/セカンドハウスとしての活用

一般財団法人ロングステイ財団の「ロングステイ希望国・地域」で、マレーシアは13年連続で1位に輝いています。

また東日本大震災、原発問題をきっかけに、日本の災害リスクにそなえて、移住先・セカンドハウスとしてマレーシアに不動産を購入される方も増えました。



メリット(日本と比較:利回り/魅力)

                                                   

では、マレーシア不動産に投資する具体的なメリットを見ていきましょう。


①価格

生活費データベース「Numbeo」で東京とマレーシアの首都クアラルンプールの中心地にあるコンドミニアム(日本でいうマンション)の平米あたり単価を比較してみると、なんとマレーシアは東京の3分の1以下です。クアラルンプールの市街地のコンドミニアムの平米あたり単価を1としたときの東南アジアの主要都市を見てみても、クアラルンプールの割安感がお分かりいただけます。


クアラルンプール
マニラ
バンコク
シンガポール
香港
東京
1
1.1
2.0
6.8
11.1
3.8


②利回り

Global Property Guide」によると、マレーシアの賃貸利回りは3.72%、対する日本の利回りは2.66%。ご自分で住む代わりに賃貸に出しても、日本よりも高い利回りが期待できます。



③外国人の不動産最低購入価格引き下げ

前述の外国人の不動産最低購入価格は、たとえばクアラルンプールでは100万リンギット(約2,547万円)です。2019年末、政府は、高層コンドミニアムについて、これを2020年から60万リンギット(約1,528万円)に引き下げると発表しました。

マレーシアでは、住宅需要と供給のミスマッチにより、建物完成済みで建築物使用許可が降りているにも関わらず売れていない物件(=オーバーハング状態の物件)が大量に存在します。

2020年6月にはペナン州もオーバーハング状態の物件の外国人の最低購入価格の引き下げを発表しました。ペナン島のコンドミニアムですと、2割減の80万リンギット(約2,039万円)となります。

この措置は、オーバーハング状態を改善する目的で実施されているものですが、マレーシアに物件を購入しようとしている方には物件を安く購入できるチャンスになります



デメリット(日本と比較:リスク)


次にデメリットを見ていきましょう。マレーシア不動産投資には、以下のようなリスクがあるので注意が必要です。


①完成しないリスク/工事が遅延するリスク

日本では考えられませんが、完成前の物件をプレビルド方式で購入する場合、デベロッパーの資金状況が良くない、物件の販売状況が良くない、などを理由に建設工事が遅延したり、頓挫したりする場合があります。信頼できるデベロッパーを選ぶことが重要になってきます。


②不具合発生リスク

デベロッパーによって、物件の仕上げに違いがあります。特に名もないような開発会社だと、日本人には許容できないような粗末な工事で、あちこちと不具合が発生するリスクがあります。中古で購入する場合も、デベロッパーの保証期間が切れていることが多いため、仕上げが悪い物件だと購入してから大規模な修理が必要になることがあります。


③借り手や買い手がつかないリスク

日本人が購入するような物件は一般のマレーシア人の手に届かないことが多く、賃貸/転売する場合、外国人をターゲットとすることになります。物件の立地、設備、内装などの諸条件がそろっていないと、借り手や買い手がなかなか見つからないことがあります


④権利、担保に関するリスク

デベロッパーから購入する場合は、権利関係ははっきりしていますが、中古取引では、オーナーと名乗る人がオーナーではなかった、実は連名であった、売却価格以上の担保が設定してあった等といったケースもあるようです。取引を進める際は必ず現地弁護士を入れて権利と担保関係の確認が必要です。



マレーシアのマーケット


ここで、マレーシアの不動産市場とコロナの状況について見ていきましょう。            


マレーシアの市況の解説


不動産ブームでデベロッパー各社がハイエンドの物件を建設しすぎた結果、需要と供給のミスマッチからオーバーハング状態の物件が発生しています。マレーシア国家不動産情報センター(NAPIC)が発表したデータによると、2020年前半期のレジデンシャル物件のオーバーハング状況は、2019年後半期のオーバーハングユニット数から3%増の31,661戸、200億リンギット(約5,100億円)相当となりました。


▼マレーシアのオーバーハング状況


住宅価格インデックスは緩やかに推移しています。2020年第2四半期時点で、マレーシアの住宅価格インデックスは198.3ポイント(基準年=2010年)で前年同期比0.4%となり、2010年以来最も低い成長率となりました。


▼マレーシア住宅価格インデックス(棒グラフ:インデックス、赤線:対前年同期、青線:対前期)


不動産取引量、取引額は、2020年3月・4月のコロナウイルス感染拡大防止のための活動制限令(MCO)によりぐっと落ち込みましたが、5月・6月は徐々に回復してきています。NAPICは、2020年の残りの期間は不動産市場は弱気の状態が続くと見込んでおり、改善のペースは、国内の政治の安定や原油価格や物価などの要因、さらにコロナの状況次第だとしています。



マレーシアはコロナは大丈夫?


マレーシアは、コロナウイルス感染拡大封じ込めのために、2020年3月18日より「活動制限令 (MCO)」を実施してきました。その後「条件付き活動制限令(CMCO)」を経て、現在は「回復期の活動制限令(RMCO)」と段階的に制限が緩和され、ほとんどのビジネスが再開しています。



感染者数も落ち着いていたところでしたが、2020年9月末サバ州で行われた選挙をきっかけに、コロナウイルス感染者が再増し、2020年10月14日~27日までの14日間、スランゴール、プトラジャヤ、クアラルンプールにおいて、一段階厳しい条件付き活動制限令(CMCO)を実施し、感染拡大の封じ込めに取り組んでいます



マレーシアのおススメのエリアの紹介


次に、マレーシアが移住先として人気となっている理由とエリア別の情報をご紹介していきます。


住みたい国と言われる由縁


①長期滞在査証「マレーシア・マイ・セカンドホーム(MM2H)ビザ」

マレーシアでの長期滞在を希望する外国人のための10年ビザで更新ができます。人種、宗教、性別、年齢に関係なく申請可能で、申請者は、配偶者および未婚の子ども(21歳未満)を帯同することができます

申請にあたって、預金額や月収の条件があります。MM2H保有者は、州が定める外国人が購入できる不動産の最低購入金額よりも低い金額の物件を購入できることがあります。

※2020年8月、マレーシア観光・芸術・文化省(MOTAC)は、制度見直しのためにMM2Hビザの新規申請受付の停止を発表しています。


②気候

熱帯雨林気候です。年間を通して蒸し暑く、気温はあまり変動しません。11月から1月にかけては最高気温が29~30℃とやや低め、3月から8月32~33℃と高めです。5月~9月にかけては特にモンスーンの影響を受け比較的雨の多い時期に入りますが、スコールが降る程度で日本の梅雨のように一日中雨が降り続くことはあまりありません。年中夏服で過ごせ、日本の冬のような乾燥もありませんので、寒さが苦手な方には特に過ごしやすい気候です。


③治安

マレーシアでも、特にクアラルンプール、ペナン島、マラッカ、ジョホールバルなどがあるマレー半島側は、比較的治安がよいと言えるでしょう。ただし、スリやひったくりなどの軽犯罪はありますので最低限の注意は必要です。


④医療水準

マレーシアの医療水準は高く、医療目的で訪れるメディカルツーリズムにも力を入れています。医療にかかる費用は、アメリカの20~35%程度だと言われていますが、5つ星ホテルの客室のような病室を備える病院もあります。

医師は、アメリカなど外国で最先端の技術を学んできている者も多くいます。病院によっては、日本語の通訳スタッフを備えているところもあり、言葉の面が心配な方でも安心です。


④暮らしやすさ

ドイツの調査会社インターネーションズが世界64カ国・地域について駐在員の住みやすさをランキング化した調査結果「住みたい国2019年」で、マレーシアは第9位、前年の17位から上げて初めてトップ10に入りました。特に「生活の立上げやすさ」は第3位で、「引っ越した後の生活の立上げやすさ」「現地の言葉(マレー語)を知らなくても生活できる」「現地の文化に慣れやすい」などが理由として挙がっています。



(出所:InterNations「The Top Expat Destinations 2019」)



お勧めのエリアを紹介


実際にマレーシアに住むとしたら、どの州がいいのでしょうか。仕事のため、子どもの教育のため、リタイアのため…移住の目的にもよりますが、以下のようなエリアがおすすめです。


・クアラルンプール

・ペナン

・ジョホール

・マラッカ

具体的な魅力を見ていきましょう。



移住するならこういう場所・その理由は・・・


■クアラルンプール

マレーシアの首都で金融と文化の中心地であるクアラルンプールはKLの名で親しまれています。隣接するスランゴール州を含めたクアラルンプール首都圏(The Greater KL)の人口は約600万人です。仕事はもちろん、教育やリタイア目的でも、利便性重視な方、賑わいがある場所が好きな方には最適です。ショッピングモール、レストラン、バー、ナイトクラブも豊富にあります*。閑静な住宅街の一軒家から、ダウンタウンや周辺地域の高層コンドミニアムまで、住宅の選択肢も様々です。現代的なコンドミニアムのほとんどは、セキュリティもしっかりしており、設備も充実しています。

*コロナウイルスの活動制限のために、営業が限定されている場合があります。


■ペナン

MM2Hビザ保有者に人気なのがペナンです。ペナン島とマレー半島部分から構成されていますが、人気の理由である、美しいオーシャンビューとビーチを楽しむために、ペナン島のコンドミニアムを選ぶ人が多いようです。人口は約180万人、州都ジョージタウンはユネスコの世界遺産にも登録されています。心地の良いカフェやレストラン、アートギャラリーやブティックホテルが数多く存在します。


■ジョホール

マレー半島で3番目に大きな州ジョホールは、人口330万人ほどです。シンガポールへのアクセスも便利なエリアです。イスカンダル地方と呼ばれる、外資の誘致を目的としてマスタープランに基づき開発された区域には、広い敷地を活用したインターナショナルスクールを含め学校から病院やレジデンシャルが建設されています。ハイエンドレジデンシャルを中心に過剰供給気味なので、賃貸や売却は長い目で見ていく必要があります。しかし、ゲーテッドコミュニティ(入口にセキュリティがいるタイプのコミュニティ)内の広々とした一軒家や、ジョホール海峡を眺める高層コンドミニアムでのゆとりある生活は魅力的です。

*新型コロナウイルス感染拡大防止策として、渡航に制限があります。新しい情報に注意してください。


■マラッカ

クアラルンプールとシンガポールの中間あたりに位置するマラッカは、人口が50万人程度と他の主要都市と比べると、静かな環境です。観光客に人気ですが、MM2Hビザ保有者でマラッカを選ぶ人もいるようです。植民地時代の要素を色濃く残した市内は、ユネスコ世界遺産にも登録され、街の復元への投資が集まっています。



マレーシアの物件・エリア情報


では、実際にいくつか物件をご紹介していきます。


物件事例


■Stoner3 (ストナー3)

「三菱地所グループ」とマレーシアで50年以上の歴史を持つ大手デベロッパー「IGBコーポレーション」の子会社「タン&タン デベロップメンツ」との共同事業プロジェクト。クアラルンプールの中心部「KLCC地区」に位置し、クアラルンプールのランドマークである「ペトロナスツインタワー」や大型ショッピングモール「パビリオン」・「スリアKLCC」からほど近く、非常に利便性の高い立地です。また近傍には、日本大使館をはじめとする各国の大使館、KLCC公園、医療施設、インターナショナルスクールがあり住環境も優れています。

■Bukit Bintang City Centre (BBCC)(ブキッ・ビンタン・シティ・センター)

三井不動産グループ初となる直営型のサービス付賃貸住宅。高い利便性を備え、BBCCプロジェクト内で同グループが開発・運営を行う商業施設「三井ショッピングパークららぽーとクアラルンプール(仮称)」に隣接するため、居住者が生活用品などを購入しやすくなっています。2020年12月本体工事着工、2024年開業を目指しています。


エリア事例


■KL中心部(KLCC、ブキッ・ビンタン)

KL市内中心部に位置する開発地区・クアラルンプール・シティ・センター(Kuala Lumpur City Centre)の頭文字を取ってKLCCと呼ばれる一帯は、KLのシンボル・ペトロナスツインタワーを中心にホテルやビルが立ち並ぶ地区です。また ブキッ・ビンタン地区はKL随一の繁華街で大型ショッピングモールが立ち、ショッピングやグルメが楽しめるエリアです。前述の商業施設(ららぽーと)・オフィス・住宅・ホテル他で構成される大規模複合開発、BBCCプロジェクトもこちらの一角です。

■アンパン

都心に近く、多くの外国大使館が集まっている閑静で高級な住宅地です。優雅な生活を好む人の居住先、外国人駐在員の滞在先として人気のエリア。居住用にも投資用にも適した地域です。インター校が多いのもこの地域の特徴です。



まとめ


今回はマレーシア不動産投資のメリット・デメリットについてご紹介しました。また、移住先として魅力も感じていただけたでしょうか。移住用にしても、投資用にしても、ロケーションや物件の内容を慎重に選んでいくことが重要になります。ご自身の目的にあわせたエリア選びをしていきましょう。