2020/08/10
[フィリピン] 中央銀行、小規模銀行向けの準備金要件を緩和
フィリピン中央銀行は7月末、国内経済の流動性をさらに高めるべく、国内の小規模金融機関に対する預金準備率を引き下げました。
その声明の中で、フィリピン中央銀行(BSP)のベンジャミン・ディオクノ総裁は、2020年7月31日付で、貯蓄銀行、地方銀行と協同組合銀行の預金準備率を1%引き下げることを発表しました。
今回の引き下げにより、貯蓄銀行の預金準備率は3%に、地方銀行と協同組合銀行の預金準備率は2%となります。今回の引き下げにより、約100億ペソの資金が経済に注入されることになります。
ディオクノ総裁は、「今回の引き下げにより、これらの銀行の融資能力を増やし、中小・零細企業はもちろん、地方のコミュニティーを拠点とした顧客の資金ニーズに対応できるようにしたい」と述べています。また、金融仲介費用の削減にもつながり、これらの銀行の顧客が直面している経済的な負担を緩和したい考えです。
今年初め、中央銀行の政策決定を行う金融政策委員会は、総合銀行、商業銀行、および準銀行機能を持つ非銀行金融機関の預金準備率の2%引き下げを承認しました。
ディオクノ総裁は、今回の引き下げについて、新型コロナウィルス流行中の銀行の流動性ニーズを支援することと、ポストコロナの持続可能な回復に向けての移行期間をサポートすることを目的とした、中央銀行の改革に一貫だと述べています。
中央銀行は2020年7月中旬、地方の金融システムに資金を注入することで、国内の流動性を安定させ、今回の公衆衛生の危機にあたって必要な人が融資を受けられるようにできると述べています。
ディオクノ総裁は、最新のマネーサプライデータに言及、それによると5月には16.6%増の13.7兆ペソとなっており、今年2月以降の国内の流動性の伸び率は最速のペースです。
「国内の流動性状況を安定化し、市場心理を改善させる努力により、BSPは金融操作を徐々に再構成できてきました。これにより、中央銀行の流動性強化策を増強し、市場金利や融資残高の伸び、ひいては経済活動全体に効いてくることになるでしょう。」と述べています。
これまでに、中央銀行は様々なコロナ対策を打ち出し、合計1.3兆ペソ(フィリピンのGDPの6.4%相当)を金融システムに注入しています。
ディオクノ総裁は、成長の足場が固まるまでの近い将来は、中央銀行はハト派のスタンスを維持することを強調しています。
(出所:Business Inquirer)
(トップ画像:RJ Joquico on Unsplash)
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