2020/10/02
[フィリピン] 未来に備えたコンドミニアム投資
レジデンシャルのエンドユーザーも投資家も、既存または新興のビジネス街に住むことの利便性が享受できる、メトロマニラのコンドミニアム暮らしを歓迎しています。
2012年以降、メトロマニラの高層プロジェクトには安定的な需要がありました。プレセールのコンドミニアム市場は、2012年~2019年にかけて、年間の新規発売ユニットのうちの約44,900戸、年間の成約ユニット数の約45,900戸を占めています。
需要も、供給と足並みをそろえた動きをしてきました。2018年、発売ユニット、成約ユニット数ともに大きな増加を見せ、プレセールでの成約は過去最高の57,000戸を記録しました。2017年から2019年にかけてプレセールは好調で、発売ユニット数が年間平均46,000戸のところ、成約ユニット数は約52,000戸となりました。
■回復力のあるセクター
この時期に安定しているのは、ラグジュアリー(高級)市場です。このセグメントに区分されるのは、ユニット当たり800万ペソ~2,000万ペソ(約1,745万円~約4,360万円)のコンドミニアムで、ユニット当たり2,000万ペソ超(約4,360万円~)のコンドミニアムは、ウルトラ・ラグジュアリー(超高級)と呼ばれています。
2020年前半期、パンデミックとロックダウンにより経済は減速しましたが、高級コンドミニアム市場は回復力を見せました。2020年前半期にメトロマニラで発売されたコンドミニアムのうち、高級と超高級が占める割合は7%でした。一方で、同期間のプレセール販売の19%をこれらのコンドミニアムが占めました。過去2年間で、高級セグメントはメトロマニラのプレセール成約ユニット数の22%を占め、全体の42%を占めた中所得セグメントに続いて好調でした。
■値上がりの余地
不動産サービス会社コリアーズ・フィリピンは、メトロマニラの不動産価格は、他のアジア諸国の高級プロジェクトと比較しても安いので、高級セグメントは特に価格上昇の余地が残っていると述べています。
例えば、メトロマニラでも最も高いコンドミニアムの価格帯は、平米あたり50万ペソ~55万ペソ(約100万円~約120万円)となっています。これは、バンコクの最高級物件と比べても随分安く、シンガポールの同等プロジェクトには3倍の値段がついています。その他の世界の主要都市を見ていくと、ニューヨークでは10倍、ロンドンでは15倍、香港に至っては20倍となっています。
■ポストコロナの回復
コリアーズ・フィリピンはまた、過去の不況がメトロマニラのレジデンシャルプロジェクトの需要に影響を与え、価格修正が起こったことにも言及しています。しかし、過去のデータが示す通り、高級セグメントは回復力が比較的高いセグメントのひとつで、金融危機の中でも安定的で、景気後退ののちも素早い回復の兆しを見せています。
メトロマニラの高級レジデンシャルプロジェクトは、アジア通貨危機、世界金融危機の後も安定的な価格上昇を見せました。過去5年間で、メトロマニラの主要なビジネス地区の高級プロジェクトの価格は、約11%~18%上昇しています。コリアーズ・フィリピンの見積もったところ、今後6か月~24か月の間に完成するとみられているメトロマニラの高級プロジェクトは、プレセールで在庫の約94%を売り切っています。
高級市場のプロジェクトの価格を考えると、コリアーズは今後、よりこだわりを持ったバイヤーが多くなるとみています。革新的なアメニティや設備、オープンスペースや医療施設・サービス、新築オフィスビルやコンシェルジュサービスなどの整った、マスタープランに基づいたコミュニティとの接続性などを求める投資家が増えるでしょう。高級、超高級市場向けに販売されているプロジェクトの中には、著名人や有名ブランドとのパートナーを組んでいるものも複数あります。
■高級市場の需要をけん引するのは
コリアーズ・フィリピンは、メトロマニラが、①利回りが域内でも最も魅力的なもののひとつ、②比較的低価格、③フィリピン人富裕層はもちろん、国内外の投資家からの持続的な需要があることから、コンドミニアム需要は堅調を維持すると予想しています。
フィリピン人の富裕層も、株式以外の儲かる投資手段として、高級コンドミニアムプロジェクトに目を向けています。これは、メトロマニラのプレセール市場で見られる動きであり、パンデミックやロックダウンにもかかわらずそのトレンドは続いています。
パンデミック以前にも、ライフスタイルの変化が、ハイエンドバイヤーをお洒落な郊外の家ではなくコンドミニアムでの生活へとシフトさせてきました。厳しい24時間体制のセキュリティに加えて、これらの物件には、整備されたジム、リゾートのようなプール、広々とした駐車場スペースに高質なインテリアなどがそろっています。ほとんどのハイエンドプロジェクトは、メトロマニラの主要なショッピングハブの近くにあります。消費者にとっては、食料品や医薬品などの生活必需品がすぐに手に入れることができることも重要になってきます。
プレミアムコンドミニアムプロジェクトは、エンドユーザーにとっても投資家にとっても、マカティ、オルティガスセンター、ロックウェルセンター、フォート・ボニファシオといったビジネスハブに近いこともまた魅力となります。このような需要は、メトロ内の他のビジネス街にもスピルオーバー効果をもたらしています。
■パンデミックにもかかわらず魅力的な投資オプション
過去の不動産市場レポートの中で、コリアーズは、フィリピンの経済成長とメトロマニラのコンドミニアム価格が交差するグラフを紹介しています。そのグラフでは、1990年代後半以降、景気・不景気の波に関わらず、コンドミニアム価格が安定的に上昇している様子がうかがえます。これがコンドミニアムでも特に高級セグメントが引き続き魅力的な投資オプションとなっている理由であり、コリアーズは、パンデミックや景気の低迷の影響を最も受けないセグメントだと考えています。
短期~中期的には、コリアーズはフィリピン人のエンドユーザーおよび投資家は、新築高級プロジェクトの発売、より大きな間取りのコンドミニアムへの認知度増加、革新的なアメニティや高質なデザインの導入といったことに目を向けることになるだろうと予想しています。
パンデミック後、コンドミニアム市場、特に高級セグメントの成長見通しは明るそうです。
(出所:Business Inquirer)
(トップ画像:Alexes Gerard on Unsplash )
もっと詳しく知りたい方はこちら