2020/12/28
3月中旬からフィリピンはメトロマニラのあるルソン島を中心として厳しいロックダウンを行い、感染拡大の抑制に努めてきました。
徐々に活動制限が解除され、経済活動が再開されるとともに感染数が再び上昇したため、8月にふたたび厳しい制限を実施、現在は減少傾向にあります。
ドゥテルテ大統領は、東南アジアでもかなり早い段階で厳しいロックダウンを実施しました。
強化されたコミュニティ隔離措置(ECQ)は、2020年3月15日からメトロマニラ、3月17日からはメトロマニラのあるルソン島全土にその範囲を広げて実施されました。
5月からは、メトロマニラと一部の地域を残して、緩和された一般的なコミュニティ隔離措置(GCQ)へと移行しました。
Gallup Internationalによると、政府のCovid-19対応支持率は、3月末70%から4月初めには80%に上昇、またBlackboxの調査では、政府のコロナ対応への国民の満足度調査で、調査対象23か国中8位(49ポイント)となりました。
6月に入ってからは、メトロマニラもGCQへと移行しましたが、8月4日から2週間は経済の再開に伴い感染者数が再増したために一段階厳しい「修正を加えたコミュニティ隔離措置(MECQ)」が実施され、その後GCQへと戻りました。
▼フィリピン・コミュニティ隔離措置(レベル別)(出所:フィリピン政府、Rappler、Civil Service Commission)
2020年12月21日現在、メトロマニラと一部の州・市でGCQとなっている以外は、MGCQとなっています。
現在実施されているGCQでは、再開を許可されるビジネスもさらに増え(ホテルでのステイケーションなど)、経済活動の再開に向けた取り組みが進んでいます。
フィリピン保健省によると、2020年12月21日時点のフィリピン国内の感染者数累計は、459,789人です。
うち、429,134人はすでに回復しており、死者は8,947人となっています。
経済活動の再開に伴い感染者数も増加していますが、8月の頭に2週間に一段階厳しいコミュニティ隔離措置を実施して以降は、徐々に感染者数が減少傾向にあります。
地域別では、206,139人(約44.8%)がメトロマニラとなっています。
しかし、7月末から9月までは、全体の感染者数に占めるメトロマニラの割合が50%を超えていましたので、感染拡大が減速してきているであろうことがうかがえます。
▼発症日を基準とした週毎の感染者数推移(出所:保健省)
コロナウイルスによる公衆衛生への脅威、ロックダウンによる活動制限、そして低迷する世界経済に影響を受けて、2020年第2四半期のフィリピンのGDP成長率は、1981年以来最低となる、対前年同期で-16.9%を記録しました。第3四半期には、やや回復して-11.5%となっています。
▼GDP成長率推移(出所:Philippines Statistics Authority)
フィリピン統計局によると、2020年10月の失業率は、8.7%と推定されています。
15歳以上のフィリピン人380万人が失業状態にあることになります。
2020年4月の記録的な17.6%(720万人が失業状態)からは回復してきましたが、いまだ前年同期比では高い状態が続いています(前年同期4.6%)。
フィリピン政府は、政府は、Covid-19に対する社会経済戦略4本柱を確立し、コロナの影響を受けた産業・国民への支援を行っています。
①社会的弱者のグループ/個人のサポート(5,956億ペソ)(2019年GDPの3.1%)
┗低所得1,800万世帯への現金給付(2,050億ペソ)(2019年GDPの1.1%)
┗一時的に失業した労働者、海外で働くフィリピン人労働者(OFW)への社会保障(570億ペソ)(2019年GDPの0.3%)など
②医療現場労働者への資源拡大(580億ペソ) (2019年GDPの0.3%)
┗Covid-19患者の健康保険適用、特別リスク手当、医療現場向け個人保護具、検査能力の増強など
③財政・金融措置
┗小企業のための信用保証・農業セクターのサポート(1,200億ペソ)(2019年GDPの0.6%)、その他影響を受けた中小零細企業および世帯への特別マクロファイナンス融資、融資再編を通じた経済的助成など
④経済再生計画
また、2020年9月11日には、低所得世帯に加え、農業、交通、観光産業といったコロナの影響を大きく受けた産業の労働者や事業のための追加財政支援(2019年GDPの0.8%)を定めたBayanihan 2法が成立しました。
さらに、最近では、2020年11月26日、フィリピン上院は、税制改革の第2弾(法人向け諸税の見直し)となるCREATE法案を可決しています。
大統領の署名を経て発効するこちらの法案は、東南アジアでも最高レベルにあるフィリピンの法人税率30%を段階的に20%に引き下げるなど、政府の景気回復プログラムへの貢献が期待されています。
▼ASEANの法人税率比較(出所:Ministry of Finance)
中央銀行も、2020年に入って5度の利下げや預金準備率の引き下げなど、金融面での支援を行っています。
▼2020年フィリピン政策金利の推移(出所:フィリピン中央銀行を元にProperty Access作成)
この章のポイント ・フィリピンは、3月中旬より厳しいロックダウンを実施。6月以降、経済活動の再開とともに感染者数が急増したものの、8月に再び厳しいロックダウンを2週間行い、現在は減少傾向です。 ・政府と中央銀行は、コロナの影響を受けた個人・企業に対して一連の支援策を打ち出しています。9月初旬に成立したBahaniyan2法や法人税率の引き下げを定めたCREATE法案などがあります。また政策金利は過去最低レベルとなっています。 |
フィリピン不動産は、2010年から価格のブーム期を迎えましたが、2019年に入ってすでにやや減速していました。
2020年に入り、コロナ禍でさらに価格が伸び悩むと予想されていましたが、ハイエンドレジデンシャルを中心として、元気を取り戻してきているようです。
フィリピン不動産は、2010年以降価格のブーム期を迎えました。
2010年に就任したベニグノ・アキノ大統領は、不正や汚職と戦い、国民の健康と教育に対する投資を行うことを公約として掲げ、外国投資家の信頼感と消費者心理を高めました。
投資の増加に、低金利の環境も加わり、2010年第4四半期から2014年第3四半期の間に、コンドミニアム価格は42.2%増 (インフレ調整後22.6%)となりました。
住宅価格全体では、2004年から2014年の10年間に、113.3%(インフレ調整後は34.1%)増加しています。
2019年に入って、不動産価格の成長は減速しました。
世界銀行によると、2019年の前半には、予算成立の遅れと5月の総選挙前で新規プロジェクトへの投資が禁止されたことから公共投資が伸び悩みました。
また、民間投資も、政府が検討中であった税制改革の見通しの不透明さと対外環境の不確定性を背景に減速しました。
上記のような国内経済の状況に、米中の貿易戦争も加わり、2019年後半に住宅価格の成長率は大きく下がりました。
すでに減速気味だった不動産市場は、2020年に入ってからは、コロナの影響で多くの人が大型の買い物を控え、様子見に入ることが予想されたため、さらに減速することが予想されていました。
しかし、2020年第2四半期には、住宅価格インデックスは前年同期比27.1%増と、2016年の統計から最も高い成長率となりました。
銀行は、この成長率の上昇について、ハイエンドプロジェクトの需要増により平均平米単価を押し上げたこと、建設資材、労働コスト、その他間接コストなどの上昇を理由として挙げています。
また、総合不動産サービス会社コリアーズは、パンデミックにもかかわらず中所得層向け~高級セグメントのプロジェクトがレジリエンスを見せたと報告しています。
同社によると、2020年1月~9月に販売開始したプロジェクトのうち、89%が中所得層向け~高級セグメントで、プレセール市場の85%を占めています。
コリアーズは、2021年のレジデンシャル市場は、活発な中所得層向け~高級プロジェクトにけん引されると予想しています。
2020年第3四半期時点で、コリアーズによると、2021年から2022年に完成予定の、これらのセグメントのプロジェクトのうち推定86%はすでに成約済みです。
フィリピン政府は、海外で働くフィリピン人労働者からの送金も2021年には回復すると予測しており、低金利環境に加えて、オフィスリースの回復、エンドユーザーおよび投資家が戻ってくることから、レジデンシャル部門にスピルオーバー効果をもたらすだろうと予想されています。
政府をはじめ、世界銀行、IMF、アジア開発銀行といった主要な機関が、フィリピンの2021年のGDP成長率を5.9%(世界銀行)~7.5%(政府)と予想しており、力強い経済の回復に伴って不動産市場もより活発さを取り戻すことが期待されています。
この章のポイント ・フィリピン不動産は、2010年から価格のブーム期を迎えましたが、2019年は国内経済の減速に米中の貿易戦争も加わり、減速を始めました。 ・2020年に入りコロナ禍でさらなる減速が予想されていましたが、第2四半期の不動産価格インデックスは大きな伸びを見せています。 ・主要な機関が2021年のフィリピン経済の力強い回復を予想しており、景気のリバウンドに伴い、不動産市場の成長が期待されます。 |
フィリピンと日本の間のフライトは復活しているようですが、外務省の感染症危険情報では渡航中止勧告が出ています。レジャーでの渡航はまだもう少し先のようです。
フィリピン航空のウェブサイトによると、成田からマニラへは現在毎日フライトが飛んでいるようです。
しかし、2020年10月30日に出された外務省の感染症危険情報では、フィリピンには引き続き「レベル3:渡航は止めてください(渡航中止勧告)」が出ています。
2020年3月22日、フィリピン外務省はコロナ感染拡大封じ込め策に伴い、ビザ免除措置(ビザなし滞在)が一時停止とする通達を発出しました。
また、2020年3月22日までに発給されたビザは、すべて取り消しとみなされることになりました。
同日以降、在外公館で発給されたビザ(主に短期渡航ビザ9a)での入国は認められなくなりました。
ビザ発給一時停止措置の対象外となるのは、在外公館からビザの発給を受けている以下の項目に当てはまる人のみとなりました。
・フィリピン国籍の配偶者ならびにその子供(過去に発給されたビザ含む)
・外国政府や国際機関の職員ならびにその家族
8月1日からは、長期滞在ビザを持つ者の入国が、11月1日からは、外国人ビジネス関係者および投資家のの入国が、さらに12月17日には一般就労ビザ(ビザ9g)を保有する外国人ビジネス関係者の入国が認められています。
この章のポイント ・フィリピンと日本の間のフライトは復活しているようですが、外務省の感染症危険情報では渡航中止勧告が出ています。 ・ビザの発給も投資・ビジネス目的に限定されています。 ・このような状況の中、不動産投資を進めるには、現地の状況を把握できる、現地に拠点のある不動産会社を利用するのがよさそうです。 |
フィリピンは、3月中旬より域内でも最も厳しいロックダウンのひとつを実施しました。
6月以降、経済活動の再開とともに感染者数が急増したものの、8月に再び厳しいロックダウンを2週間行い、現在は減少傾向です。
政府と中央銀行は、コロナの影響を受けた個人・企業に対して一連の支援策を打ち出しています。
9月初旬に成立したBahaniyan2法や法人税率の引き下げを定めたCREATE法案などがあります。また政策金利は過去最低レベルとなっています。
フィリピン不動産は、2010年から価格のブーム期を迎えましたが、2019年は国内経済の減速に米中の貿易戦争も加わり、減速を始めました。
2020年に入りコロナ禍でさらなる減速が予想されていましたが、第2四半期の不動産価格インデックスは大きな伸びを見せています。
主要な機関が2021年のフィリピン経済の力強い回復を予想しており、景気のリバウンドにともない、不動産市場のさらなる成長が期待されます。
フィリピンと日本の間のフライトは復活しているようですが、外務省の感染症危険情報では渡航中止勧告が出ています。
ビザの発給も投資・ビジネス目的に限定されていますので、レジャーでの渡航はもう少し先のようです。
このような状況の中、不動産投資を進めるには、現地の状況を把握できる、現地に拠点のある不動産会社を利用するのがよさそうです。
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