2020/10/29
[フィリピン] デベロッパー各社今後2-3年強気の見通し
フィリピンの不動産デベロッパーの多くは、Covid-19パンデミックによって引き起こされた課題が今後もしばらく続いていくと考えています。
総合不動産サービス会社クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド・フィリピンが最近行った調査で、67%の不動産デベロッパーが今後12か月のフィリピンの景気回復の道筋について不透明だと答えています。
GDP成長率は、2020年第1四半期は-0.7%、第2四半期は-16.5%という1981年以降の過去最低値を記録、フィリピンは正式に景気後退のフェーズに入りました。クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドのコンサルティング&アドバイザリーサービス部門のリサーチヘッド、クラロ・コルデロ氏はこれについて、コロナウイルスとその感染拡大防止のためのロックダウンでビジネスや経済活動が中断されたことで、GDPに最も貢献している消費者支出が大きな影響を受け、2020年第2四半期には15.5%減少したと述べています。
▼四半期ごとのフィリピンGDP成長率
さらに、コルデロ氏は、今後短期的には価格も賃料も弱気な状態が続くことを予想しており、各社とも今後6か月間は楽観的な見方を弱めているとも述べています。
それにもかかわらず、デベロッパー各社の中期的な見方はポジティブです。各社とも、価格や賃料が緩やかに戻るにつれて、市場が回復の兆しをみせると予想しています。市場の脆弱性は中期的にも続くとみられるものの、長期的つまり今後2~3年については、デベロッパー各社は不動産市場の完全な復活に非常に楽観的で、供給・需要ともに力強い回復を見せてその勢いを取り戻すことに期待しています。
また、そのころまでには、価格も賃料も急速に回復することを見込んでいます。
工業不動産、オフィス不動産は、パンデミックの間もレジリエンスを見せており、不動産市場の明るい材料となっています。コルデロ氏は、不動産デベロッパー各社は、オフィス・工業不動産についての明るい見通しを変えていないと話しています。調査に回答したデベロッパーのうち44%が、IT-BPM(IT-ビジネスプロセスマネジメント)の分野での需要がポストコロナに伸びることが予想されていることから、オフィス不動産は最も急速に回復するだろうと答えています。一方で、回答したデベロッパーのうち55%は、今後12か月の工業不動産開発の予定を変える予定がないことも明かしています。需要については、61%が今後12か月の工業スペースの需要は、コロナ前のレベルにほど遠くないだろうと答えています。
コルデロ氏は、新築ホテルとリテールスペースの供給は今後大幅に減るだろうと指摘しています。今後12か月以内のホテルおよびリテール開発予定の約半分が、パンデミックによって無期限で停止となっているからです。「観光業がストップし、不確定な状態が続く中、ホテルデベロッパーの88%およびリテールデベロッパーの53%が、今後12か月で50%以上の収益減を予想しています。」
2020年第2四半期の後半にかけて、コミュニティ隔離措置は緩和されましたが、消費者心理は冷え込み、パンデミックによる不確定な状況から消費を控える傾向が続いたことで家計支出も弱まり、客足はコロナ前よりもずっと低いレベルにとどまりました。
しかし、全体としてフィリピンの不動産市場のファンダメンタルズは依然として非常に強い状態にあるとコルデロ氏は説明しています。
(出所:Business Mirror)
(トップ画像:Photo by Drew Beamer on Unsplash)
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