2021/09/08
英国を拠点とするシンクタンク、オックスフォード・エコノミクスは、国内観光は来年にも回復を始めるが、国外旅行の立ち直りは2024年まで待たないといけないと述べています。
オックスフォード・エコノミクスは、フィリピンおよびアジア太平洋地域内の主要地において、国内観光は観光業の救いとなるだろうとレポート内で述べています。
2020年、パンデミックが始まって、ウイルスの感染拡大抑制と新しい変異種の発生防止のために旅行やレジャー旅行が減り、観光業界は世界的にも大きな打撃を受けた業界の一つとなりました。
2021年、フィリピンを含む多くの国で、感染者数の再増加やワクチン接種プログラムの進みの遅さを背景にロックダウンが再導入され、国内外の旅行は制限された状態が続いています。
しかし、オックスフォードのアジア太平洋地域担当主席エコノミストのマイケル・シューリー氏は、来年の国内観光者はパンデミック前のレベルを超えるだろうと予想しています。
「国内市場が観光業全体の回復をけん引し、来年の観光者数は2019年レベルに戻るか、もしくはそれを超えるでしょう。」
「対照的に、インバウンド旅行は、多くの地域において大きな影響を受けた状態が続き、地域的には2024年ごろまでは、個別のエリアについては遅いところでは2025年くらいまでは回復が見られないでしょう。」とシューリー氏は述べています。
フィリピンについては、オックスフォードは、来年の観光客のほぼ80%が国内観光客となるだろうと推定しています。パンデミック前の国内観光客の占める割合60%超と比べると20%近くも増えることになります。
フィリピンの観光業は、国内市場に大きく依存した状態が続いています。支出でいうと、2019年の観光収入3兆7,400億ペソ(約8.2兆円)のうち、84%を国内観光が占めています。
反対に、シューリー氏は、海外旅行の低迷が続く間、国内観光からのサポートも限定的になると指摘します。理由として、一般的には、国内観光客の滞在期間が海外旅行客と比べて短いこと、平均支出額が低いことなどが挙げられます。
さらに、アジア太平洋地域の海外旅行の見通しは、今後数年間、他の地域と比べて低迷すると見られています。域内の多くの政府が、国境の再開により慎重な姿勢を維持する可能性が高いからです。
パンデミック前の2019年と比べると、2020年の観光業は46%落ち込みました。今年も、そのペースはやや26%と緩まるものの、下降が続く見通しです。
しかし、2022年までに成長率は8%程度に回復、2023年、2024年には、それぞれ29%、39%までさらに増加すると予想されており、これらすべての原動力となるのが国内市場です。
シューリー氏は、「パンデミック前の国内市場の90%は2022年までには戻り、2019年から2022年までの海外旅行の落ち込み幅の半分程度は国内旅行に変わるのではないかと想定しています。」と話しています。
(出所:Philstar)
(画像:Photo by Annie Spratt on Unsplash )
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