[フィリピン] 金利上昇・インフレでもフィリピン経済と不動産は堅調

2023/06/13


総合不動産サービス会社コリアーズ・フィリピンは、5月に発表したレポート「Pivot to Growth」の中で、金利上昇・インフレの中、フィリピン経済と不動産は堅調だと述べています。



フィリピン経済は、パンデミック後の恩恵を受け続けています。2023年第1四半期の経済成長率は6.4%で、経済アナリストの予想中央値6.1%を上回りました。アナリストは、同国経済が今後12ヶ月間持続的な成長を遂げると予測しており、これは不動産分野にとって良い兆候となるはずです。





オフィスの空室率は18.7%とわずかに低下し、マニラ首都圏のコンドミニアム需要は回復に向かっています。また、フィリピン経済が消費主導であることから小売部門も引き続き堅調でした。




オフィス

2023年第1四半期のマニラ首都圏内外のオフィス取引は減速し、空室率は2022年第4四半期の18.8%から18.7%にわずかに低下したものの、年内に完成予定の新しいビルがあることから今後は上昇することが見込まれています。コリアーズによると、2023年第1四半期のマニラ首都圏のオフィス取引は117,500平米で、2022年第4四半期に記録した111,200平米からわずか6%の増加でした。また、2023年第1四半期に完成した新築オフィスの面積は48,000平米、2023年末までには569,100平米が新規供給されるとみられています。コリアーズの予想では、2023年の新規供給のうち、オルティガスCBD、ケソンシティ、マカティ周辺地域が60%近くを占めるということです。



レジデンシャル

マニラ首都圏のマンション需要は回復に向かいつつあるものの、コロナ流行前の水準には程遠いとコリアーズは指摘しています。デベロッパーは、セブ、ダバオ、イロイロ、バコロド、パンパンガ、ブラカンなど、マニラ首都圏以外の主要エリアにおける投資家やエンドユーザーの意欲に期待しているようです。コリアーズによると、2023年第1四半期に竣工したレジデンシャルユニットは前四半期比70%減の1,200戸で、2023年の残りの期間には約2,300戸が完成すると予想しています。コリアーズは、今年の新規供給のペースは鈍化、2024年には回復してくると見ています。また、新規供給のペースの鈍化と住宅賃貸の回復が相まって、空室率の改善につながり、最終的には主要ビジネス地区の賃料、物件価格の加速をもたらすだろうとコメントしています。



小売

コリアーズは、小売部門が消費主導型のフィリピン経済から引き続き恩恵を受けることで、2023年以降もモールのスペースの成約面積は着実に伸びると見ています。2023年第1四半期、首都圏のモールの空室率は、2022年第3四半期の15.4%から14%に低下しました。大手デベロッパー各社の報告によると、客足は現在コロナ前の水準の90~100%にまで戻っているということです。消費者心理の改善や政府が実施した個人所得税の減免措置により購買力が高まり、小売業者は物理的なモールのスペース確保に積極的になっています。




(出所:Colliers Philippines)

(画像:UnsplashのWander Fleurが撮影した写真)