2022/07/11
元フィリピン中央銀行総裁のベンジャミン・ディオクノ財務相は、2022年第2四半期の国内経済は二桁の成長率を記録すると予測しています。第1四半期は、コロナウイルス感染症の影響にもかかわらず、8.3%成長でした。
ベンジャミン・ディオクノ財務相は、2022年第1四半期の8.3%に続き、第2四半期は二けた成長に楽観的な見方をしています。
ディオクノ財務相は、大統領向けのブリーフィングで、政府は2022年通年の成長率を6.5%~7.5%と予測しており、これは「保守的な数字だ」と述べています。
「実際、これは最高レベルになるでしょう。コンセンサスでは、今年、来年のアセアン+3*諸国のなかで最高の成長率となります。」と述べています。
*アセアン加盟国10か国+中国、韓国、日本
ディオクノ財務相は、コロナウイルスの感染者数増加の影響を受けたにもかかわらず、第1四半期の成長率が堅調であったが、第2四半期はさらに力強いものになるだろうと述べています。
また、コロナ感染者数が再び増加するようなことがあっても、広範囲でロックダウンを行う可能性については否定しています。
「パンデミックから卒業してエンデミックへと移行しました。多くの人がワクチンを受けていますので、ウイルスとともに生きていかねばならないのです。」と述べています。
2023年から2028年について、成長予測は、6.5%から8%の間と財務相は話しています。
ディオクノ財務相が言及した2022年の成長予測の数値は、開発予算調整委員会(DBCC)が5月24日に行われた会合で承認した7%~8%よりも低い数字になります。
DBCCが承認した2023年から2025年の成長予測は、6%~7%です。
一方で、ディオクノ財務相は、マルコス政権の任期満了までに、貧困率を9%にまで下げることを目標に掲げています。フィリピン統計局(PSA)のデータによると、2021年上半期時点で推定23.7%でした。
さらに、GDPに対する政府の財政赤字は、2026年から2028年で3%とする目標です。現在の63%から、2025年までにまずは60%に下げることを目指しています。
ディオクノ財務相は、「ビルド・ビルド・ビルド」プログラムのもとでのインフラ支出は、2023年から2028年までにGDPの約5%から6%となるとも話しています。
「最終的には、いわゆる「高中所得国」のステータスを達成したいと思っています。つまり、大統領の任期満了までに、人口1あたり4,046USドルの所得を狙っているのです。」
前政権では、2022年までに「中所得国」に格上げされることを目指していましたが、パンデミックに打撃により邪魔が入った形となりました。
世界銀行は、2021年7月1日、高中所得国を定義する人口1人あたりの国民総所得(GNI)*を見直し、4,046ドル~12,535ドルから、4,096ドル~12,695ドルに見直しています。
*「国民総所得(Gross National Income)」=国内で1年間に生み出されたモノやサービスの金額の合計である国内総生産(GDP)に、企業などの海外でのもうけや、外国株式・債券への投資による配当・金利収入などを加えた指標。
世界銀行のデータによると、フィリピンの人口1人あたりのGNIの数値は、2021年時点で約3,640ドルとなっています。
(画像:Image by rachinmanila from Pixabay)
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