[フィリピン] 政府今年GDPは6%のマイナス成長を予測

2020/10/22

[フィリピン] 政府今年GDPは6%のマイナス成長を予測


コロナウイルスのパンデミックが長引く中、フィリピン政府は今年のGDPは約6%収縮すると見ています。


8月の2週間、厳しいロックダウンに逆戻りしたことで、経済の回復が減速し、今年通年のGDPは予測幅の下限あたりに留まる見通しです。


2020年10月20日、財務省のカルロス・ドミンゲス長官は、失業率が上昇、ロックダウンにより国内経済が妨げられ、景気の後退局面の打撃を受けていると述べています。


開発予算調整委員会(Development Budget Coordination Committee (DBCC) )は、2020年7月に、GDPの収縮幅は4.4%~6.6%(平均5.5%)と予測していました。


オンラインニュース「Business World」によると、社会経済企画省のカール・ケンドリック・チュア長官代理は、第3四半期のGDPデータが11月10日にリリースされたら、マクロ経済の前提条件の見直しにかかると話しています。


チュア長官代理は以前、第3四半期のGDPの減少幅は、第2四半期の16.5%収縮よりは幾分ゆるやかになるだろうと話していました。2020年前半期のフィリピン経済は、3月中旬から5月末まで、ほとんどすべての経済活動が厳しいロックダウンにより停止した形となり、9%のマイナス成長を記録しました。


世界銀行は、フィリピンの今年のGDP予測を-6.9%に下方修正(前回:-1.9%)、アジア開発銀行とIMFもそれぞれ-7.3%(前回-3.8%)、-8.3%(前回-3.6%)に下方修正しています。



一方で、ドミンゲス長官は、2021年のフィリピン経済は力強いリバウンドを達成すると予測しています。政府の2021年のGDP予測は、6.5~7.5%となっています。ドミンゲス長官は、健康面の安全基準を保ちながら経済の回復を加速させる一方で、規制のさらなる緩和し消費者の信頼感を回復させる必要性を強調しています。


「国民生活の他の重要な面を犠牲にして、いつまでもCovid-19を避けるために引きこもっているわけにはいきません。医療制度を強化しながら、国内経済を回復させる方法を模索していかなければなりません。この危機を、製造業・農業の競争力を高め、観光インフラ・設備の復旧を支援し、政府の手続きのデジタル化を進めてお役所仕事を削減し、サービス提供を迅速化し、汚職を防止するための機会に変えようとしているのです。」と長官は述べています。


長官はまた、来年の予算4.5兆ペソの速やかな承認も経済回復にとって欠かせないと述べています。


政府はまた、世界銀行やアジア開発銀行などの多国間パートナーとともに、コロナウイルスのワクチンが手に入るようになった際の購入資金の調達をしていくことも検討しています。


一方で、ドミンゲス長官は、米国やヨーロッパでコロナの状況が悪化していることによる外部リスクがフィリピン経済の回復見通しに大きな影響を与えることはないとしています。というのも、フィリピンの最大の貿易相手国である中国の成長が続いているからです。


長官によると、フィリピンと中国との貿易額は年間500億ドル程度で、米国や日本との貿易額の2倍に相当します。よって、中国の需要が上がれば、フィリピン製品をもっと購入してくれることになると説明しています。


2020年第3四半期、中国のGDPは、対前年同期4.9%となりました。国内のコロナウイルスの封じ込めにほぼ成功し、安定的な回復の兆しを見せています。



一方で、ヨーロッパの一部では第2波をうけて再び規制の強化をしており、米国の感染者数は世界最多の800万人を超えています。


(出所:Business World Online

(トップ画像:Photo by Josh Timbas on Unsplash )