[フィリピン] オックスフォード・エコノミクス:2021年は7.7%成長

2021/02/15

[フィリピン] オックスフォード・エコノミクス:2021年GDPは7.7%成長

フィリピンの国内総生産(GDP)は、2020年については、ASEANでも最も急落したもののひとつでしたが、2021年は、パンデミックに端を発した行動制限から経済が脱出するにつれて、域内最高レベルの成長率を記録するだろうと、英国を本拠とするオックスフォード・エコノミクスは述べています。


2021年1月末に発表したレポートで、オックスフォード・エコノミクスの主席アジアエコノミストのシャーン・フェンナー氏と、エコノミストのサン・ウン・ジュンは、フィリピンのGDPは2020年は9.6%収縮するものの、2021年は7.7%成長を見せると予測しています。この成長率は、ベトナムの成長率予測とほぼ同じレベルです。


これと同日、フィリピン政府は、2020年のGDP成長率を発表しました。2020年第4四半期のGDP成長率は-8.3%、通年では-9.5%とオックスフォード・エコノミクスの予想とほぼ同レベルでした。


寄与産業別では、2020年第4四半期、建設業が-25.3%、その他サービス業が-45.2%、宿泊および食品サービス活動が-42.7%でした。主要産業別では、農業・林業・漁業が-2.5%、サービス業-8.4%、工業-9.9%となりました。年間では、農業・林業・漁業が-0.2%、サービス業が-9.1%、工業が-13.1%でした。


オックスフォード・エコノミクスは、「今年は、域内全体として着実なリバウンドを見込んでいます。ベトナムとフィリピンがその中でも突出すると見ています。しかし、フィリピンの場合は、2020年の急激な収縮のあとで、ベースが低いことを反映しています。」として、2021年の政府のGDP成長率目標6.5~7.5%よりも楽観的な予測を出しています。


オックスフォード・エコノミクスが、このような先行きの明るい予測を出している背景には、フィリピン中央銀行が出している量的緩和的な政策に加えて、昨年の遅れを取り戻すべく、インフラ支出を中心とした公共財・サービスへの政府の支出を10%ほど増やす計画で、経済が促進されることを織り込んでいるからです。


ほとんどのASEAN加盟国は、経済活動を徐々に通常に戻しつつありますが、フィリピンとタイについては近隣諸国に「後れを取っている」と言います。


「感染者数は早い段階で制御できているものの、渡航制限がタイの回復に重くのしかかっています。一方で、長引くロックダウンがフィリピンの経済活動に重くのしかかっています。」


「域内のその他の国々から後れを取るものの、タイとフィリピンの製造および輸出が2021年徐々に加速してくると予想しています。フィリピンについては、昨年の長引くロックダウンから制限が緩和されることで、活動の正常化へのペースが加速するでしょう。」


オックスフォード・エコノミクスは、「今年末までにワクチンを受けられる人は人口の35%程度にとどまる見込みだが、域内でも最も厳しく、最も長引くロックダウンを経験し、フィリピンはさらなる経済活動を再開させてくるだろう」と予測しています。


Covid-19ワクチンの展開が予想よりも進む場合には、オックスフォード・エコノミクスは、「インドネシアやフィリピンといったパンデミックと未だ格闘する国々でその影響が最も感じされるだろう」と述べています。

(出所:Business InquirerPhilippines Statistics Authority