2022/07/06
燃料価格の上昇が消費者需要に影響を与えていますが、フィリピン中央銀行の新総裁は、国内総生産(GDP)の成長率が少なくとも政府の今年の目標の下限には到達するだろうと楽観的な見方を示しています。
フィリピン中央銀行(BSP)の新総裁フェリペ・メダーリャ氏は、月初に行われた報道関係者向けのインタビューで、このように答えています。
「高いベース効果があったので、第1四半期の8.3%(の経済成長率)に匹敵するレベルに到達するのは難しいでしょう。しかし、同時に、今年のGDP成長率が7%に到達することについては驚きません。」
今年の政府の成長率目標は、開発予算調整委員会(DBCC)により、7~9%から、7~8%に引き下げられています。
メダーリャ総裁は、第2四半期のGDP成長率について、第1四半期よりも減速するものの、依然としてプラスを保つだろうと述べています。Covid-19感染者数が増えていますが、人々の移動が改善を続けているからです。
「例えば、モールを見てみてください。実際、コロナを恐れる人はもうほとんどいません。私は医療の専門家ではありませんが、感染者数が増えて病院が飽和状態にならない限りにおいては大丈夫なのではないかと考えています。」
メダーリャ新総裁は、中央銀行を例に出して、Covid-19感染者数は増えたものの、入院したとの情報は入っていないことも話しました。
「しかし、もちろん、例としては小さなものでしょう。しかし、今、目撃しているものが、いたるところで起こっているならば、力強い需要が続き、非常に良い2022年となるでしょう。」
総裁はまた、上昇する燃料価格の経済成長への影響についても、生産高を減らすというよりは、価格を上げる方向に動くとして、重要視していないことも明かしています。
「例えば、仕事には行くでしょう?しかし、夜は出かけない。ということは、言い方を変えれば、懐を痛めるほどには、生産高を痛めてはいないということです。」
総裁は、もし需要を減らすことがあるとしたら、家庭が燃料に多く支払いつつ、他の物への支出を減らすかどうかだと述べています。
サンライフ、GDP予測を引き上げ
関連して、サンライフ・インベストメント・マネジメント&トラスト社(Sun Life Investment Management and Trust Corp.)は、フィリピンの今年の経済成長率の見通しを引き上げました。行動制限の解除が、大きな成長のドライバーになると見込んでいるからです。
サンライフの社長兼チーフ・インベストメント・オフィサーのマイク・エンリケス氏は、「当社のGDP成長予測は、実際のところ、他のアジア・発展途上市場よりも高くなっています。そして、今年については、通年で平均約8.2%を見込んでいます。」と述べています。
エンリケス氏は、石油やインフレから来る課題にもかかわらず、行動制限がさらに解除され、Covid-19感染者数が急激に加速したりしない限りは、経済は拡大を続けるだろうと主張しています。
サンライフはフィリピン経済に楽観的な見方をしているものの、ダウンサイドリスクも慎重に見ている、とエンリケス氏は話しています。
これらのダウンサイドリスクには、ロシアとウクライナの長引く緊張があります。緊張が長引けば、物価が長期間高止まりすることになり、供給不足に繋がります。
エンリケス氏はまた、金融政策とCovid-19の変異株についても警鐘を鳴らしています。「遅れている」と取られて、ペソ安を引き起こす可能性があり、そうすると外貨の流出が起こります。また深刻なコロナの変異株が、行動制限の引き締めを引き起こす可能性もあります。」
(出所:Manila Times)
(画像:Photo by JC Gellidon on Unsplash)
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