[フィリピン] 不動産市場2018年のまとめと2019年の見通し①

2019/03/28

[フィリピン] 不動産市場2018年のまとめと2019年の見通し


フィリピン不動産市場について、Business Inquirer紙が2018年のまとめと2019年の見通しをまとめていますので、2回にわたってご紹介していきましょう。

▶後半の2019年の見通しはこちら

フィリピンの不動産業界は、引き続き成長を続け、2019年も力強い状態を維持するとの見通しです。これは、JLL社が収集したリサーチおよびデータによるもので、同社は、オフィス、レジデンシャル、リテール、ホスピタリティ部門において2018年は上昇トレンドが見られたと総括しています。

2018年のハイライト

■オフィス

2018年、約100万㎡のオフィススペースが、既存の在庫に加わり、910万㎡の既存のオフィススペースのうち、72%が賃貸されました。既存の平均空室率は、7%と良好な状態が続きました。オフィススペースの賃貸を率いたのは、ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)、オンラインゲーミングとフレキシブル・ワークスペース・プロバイダでした。

一方で、オフィス賃料も、工事の遅れ、金利上昇、フィリピン経済区庁(Philippine Economic Zone Authority (PEZA) )の建物認証遅れ、税制改革法(TRAIN法)の懸念などがあったものの、確実な需要を背景に成長を続けました。資本価値もまた、良好なビジネス環境により安定的に上昇、投資家の関心を引き続き集める結果となりました。


■レジデンシャル

レジデンシャルコンドミニアム供給は、2018年大幅に伸び、約35,000ユニットが既存の在庫に追加されました。全体として、2018年の累積在庫は、338,000ユニットに達し、その大部分の所在地はケソンシティ、続いてマカティシティとタギグシティとなりました。

マカティ及びボニファシオ・グローバル・シティ(BGC)の新築レジデンシャルユニットおよび今後控えているアッパーミドルから高級セグメントのプロジェクトに堅調な需要が見られました。

マカティ中心業務地区(CBD)およびBGCの賃貸市場は、主にBPOおよびオンラインゲーミング会社*1の外国人従業員の流入にけん引されました。一方で、販売市場は、国内外の高所得層の需要に刺激されました。

賃料では、パサイからパラニャケシティにわたって広がるベイエリア*2において、中国系オンラインゲーミング会社の住宅需要を受けて賃料の急激な成長がみられました。一方で、マカティシティとタギッグシティは、月々平米あたりそれぞれ1800ヘペソ(3761円)と1900ペソ(3970円)という高レートを記録しました。これは、マカティCBDとBGCのビジネスハブにおけるレジデンシャルユニットの安定した賃貸・販売需要によるものです。

Bangko Sentral ng Pilipinas(フィリピン中央銀行)の2018年第3四半期のレジデンシャル不動産価格は、レジデンシャルコンドミニアム価格においてメトロマニラで前年同期比で6.4%増となっており、安定した需要があるとみられています。

■リテール

約348,000㎡のリテールスペースが2018年に完成し、既存の在庫は650万㎡に達しています。リテールショッピングセンターの平均空室率は2018年第4四半期3.7%という低い状態を保ちました。これは、国内外の小売業者によるリテールスペースの健全な需要に後押しされたものです。ファッションセグメントが、特に外国ブランドで拡大を見せた一方で、飲食業セクターはローカルブランドにおいて伸びを見せました。このようなブランドの参入・拡大が、リテールセクターの賃料の成長をけん引しました。

■ホスピタリティ

2018年新規に3,000室ほどが在庫に加わり、ほとんどがベイエリアの不動産投資の上昇基調による同エリアの物件でした。ハイアットのグランドハイアットや、アスコットのシタディーン・ベイ・シティ・マニラ、ヒルトン・ワールドワイドのヒルトン・マニラ・シティなどの国際ブランドもまた、2018年に完成した新規物件の一部です。

観光セクターもまた上向きでした。リハビリを理由にボラカイ島の閉鎖などもありましたが、累積での外国人観光客数は2018年1月から10月で前年同期比で7.4%増加しました。フィリピンのラスベガスを目指す、ベイシティがあることもあって、パラニャケシティが1泊当たりの最高室料を記録し、一泊あたり18,800ペソ(約39,780円)となりました。これは、ホテル・カジノブランドの存在によるところです。

次回は、2019年見通しについてご紹介していきます。

(出所:Business Inquirer

*1 BPO、オンラインゲーミング企業に関するPropertyAccess.coの過去の記事はこちら

*2 ベイエリアのコンドミニアム市場に関するPropertyAccess.coの過去の記事はこちら