[フィリピン] 政府、渋滞緩和のために国家公務員の勤務時間前出しを検討中

2022/04/18


フィリピン政府は、交通渋滞のピークを緩和させようと、メトロマニラの国家公務員に早く出勤し早く退社する「夏時間」の導入を検討しています。



マニラ首都圏開発庁(Metro Manila Development Authority、MMDA)が2022年3月末にロドリゴ・ドゥテルテ大統領に提案した計画では、首都圏のすべての政府系業務を、月曜日から金曜日で朝7時から開始し、夕方は早めの16時に終了することになります。



メトロマニラの交通を管理する政策立案機関であるMMDAは、コロナウイルス対策の行動制限の緩和にともない首都圏が再びひどい交通渋滞になることを懸念して、今回の提案を行いました。MMDAのロマンド・アルテス会長は、ニューヨークなど他の都市で実施されているものにならって計画を練ったと説明しています。



アルテス会長は、このように夏時間を取り入れることで、朝と夕方のラッシュアワーの渋滞に国家公務員が上乗せされなくなると話しています。本件は、すでに公務員委員会(Civil Service Commission)と協議が始まっているとのことです。



また、同じタイミングで、社会経済企画庁カール・ケンドリック・チュア長官の提言に基づき、週休3日制についても提案がありました。



アルテス会長は、週4日10時間勤務、もしくは週1回の在宅勤務を提案していますが、まだ残業時間に対する対価の決定を中心に、労務局とさらなる検討を続けていかなければならないとしています。



MMDAはまた、メトロマニラの交通渋滞を抑制すべく、ラッシュアワー中の道路を特定の車両が通行することを禁じるシステムも提案しています。これは、MMDAが最近行った、民間セクターと行う「交通サミット」の成果です。



アルテス会長は、ナンバープレートの番号が奇数で終わる車は月曜日、木曜日は禁止し、偶数は火曜日と金曜日は禁止することで、交通量を半減させる奇数・偶数スキームも提案しています。この提案では水曜日は番号の指定はありません。



奇数偶数以外にも、交通量を40%減らす取り組みとして、別のナンバープレート制限も提案されています。




月曜日: ナンバープレートの末尾が1, 2, 3, 4
火曜日: ナンバープレートの末尾が 5, 6, 7, 8
水曜日: ナンバープレートの末尾が9, 0, 1, 2
木曜日: ナンバープレートの末尾が3, 4, 5, 6
金曜日: ナンバープレートの末尾が7, 8, 9, 0



MMDAのデータを引用し、アルテス会長は、昨年だけで30万台の車両が販売されており、うち60~70%がメトロマニラを行き来していると話しています。




「みんな、メトロマニラには車が多すぎるという意見で一致しています。減らさなければいけないのです。」


さらに、通勤者向けの安全な歩道や自転車レーンを作ることでも、徒歩や自転車での通勤促進につながり、ひいては車両数の削減につながるとも言います。



2018年、日本のJICAは、フィリピンの渋滞が引き起こす「逸失機会」は日当たり35億ペソにもなるという調査結果を残しています。この損失額は、2030年には3倍になると予想されています。




(出所:Philstar

(画像:Photo by Joseph Chan on Unsplash )