[フィリピン] 金融システム安定化に向けて外的リスクに備える

2022/06/13


フィリピンの金融システムに短期的にリスクをもたらすのは、主に外的な課題ですが、フィリピンの省庁横断組織は、2022年6月6日、フィリピン国民をさらに長期にわたって保護できる枠組みを発表しました。



フィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas(BSP))が発足させた金融安定性調整委員会(FSCC)のシステミック・リスク危機管理(SRCM)の枠組みは、「システミック・リスクを管理し、システムの回復力を強化する目的に沿った」ものであると、BSPのベンジャミン・ディオクノ総裁は述べています。



FSCCは、BSP、財務省(DOF)、保険委員会(IC)、フィリピン預金保険機構(PDIC)、さらに証券取引委員会(SEC)を集めたものです。



ディオクノ総裁は、「いずれよりどころにする、FSCC各機関の間での取り決めを定義しておくことで、重圧がかかった状況でも十分に連携が取れるようにするのです。」と述べています。



「SRCMは、現状のタスクが、危機管理および今後必要と思われる取り組みを認識するのにどのように役立つかに焦点を当てた戦略的な書類です。この戦略的な書類を支える戦術計画を整備していますので、SRCMは、市場およびステークホルダーのニーズとともに進化する、生きた書類なのです。」



ディオクノ総裁は、1997年から1998年のアジア通貨危機、2008年から2009年の世界金融危機、そしてコロナ禍による2020年の世界的不況などの経済危機は、「予期できないが、広がるにつれて重大な混乱を起こす」と表現しています。



「誰かが少なくとも混乱の代償を負担することになるわけで、常にそれは一般市民なのです。」とディオクノ総裁はコメントしています。



別のインタビューで、ディオクノ総裁は、SRCMは好況期のリスクを監視し、国内経済が「ストレス」期に対して準備をしておくために作られたと話しています。「公共部門だけでなく、民間部門についても、すべてのあらゆるリスクを見ています。」



ディオクノ総裁は、現在、国内を原因とする金融システムへのリスクは見当たらないと述べています。ほとんどの課題は国外からくるもので、例えば低迷する世界経済成長、長引くロシアのウクライナ侵攻による石油価格の高騰、アメリカ連邦準備制度理事会による正常化という名の積極的な利上げなどです。



「しかし、それ以外には、フィリピン経済へのリスクというのは見当たりません。」とディオクノ総裁は述べています。



 
(出所:Business Inquirer

(画像:Photo by Gino on Unsplash )