[フィリピン] 不動産市場のリバウンド2022年に

2021/11/01


フィリピン国内のオフィスおよびレジデンシャル不動産は、ついに長いトンネルの終わりの光が見えてきています。経済がさらに再開するにつれて、来年からパンデミックに端を発した混乱から回復を始めそうだと、総合不動産サービス会社コリアーズ・フィリピンが報告しています。リテール・ショッピングモール部門は、行動制限が緩和され、国内のワクチン接種が進むにつれて、消費者の客足が戻ってくることで恩恵を受けるだろうとしています。


しかし、メトロマニラでは新規供給の流入があるため、モールの空室率は高止まりしそうです。徐々に改善してくるのは2023年以降と見られています。


コリアーズ・フィリピンが10月末に発表した第3四半期のレポートによると、アウトソーシングおよび従来企業の入居が、メトロマニラのオフィス需要の原動力となっています。一方で、新規供給の流入で、オフィススペースの2021年の純成約面積はマイナスの状態が続きました。新しい契約は2022年に増えてくるものとみられています。


第3四半期の新規オフィス供給は156,000平米で、前年同期比102%増でした。ベイエリア、アラバン、マカティCBDおよび周辺エリアでは、第4四半期もさらなるオープンが続きます。


リース活動の減速とオフィス空室率の上昇を理由に、平均オフィス賃料は下落が予想されていますが、2022年頃から徐々に回復が期待されています。


オフィス空室率は、第3四半期も上昇を続け13.9%に達しました。コリアーズは、新築ビルのプレリースは不活発な状態が続くので、年末には平均で15.6%になると予想しています。


コリアーズのダイレクター、ドム・フレデリック・アンダヤ氏は、「2022年に加わる供給量を考えると、(空室率)15.6%は17%くらいまで上がる可能性があるとみています。しかし、それまでだと思っています。市場のリバウンドとともに、空室率減少のスタートとなるでしょう。」と述べています。


オフィスのテナント企業は、今後、従業員のオフィス復帰の準備に駆られ、執務スペースの改装や、在宅勤務をするグループとの最適なオペレーションレベルの見極めなどを行っていきそうです。


一方で、家主は、ウェルネスやグリーンビル認証とともに、付加価値のある特徴を強調していくことが求められています。


メトロマニラのレジデンシャル市場については、平均空室率は、新築コンドミニアムユニットの引き渡しで、今年末にかけて上昇が見込まれるものの、コリアーズは、オフィスリースの回復に支えられて、2022年には落ち着いてくるとみています。



賃料も来年以降回復


第3四半期、メトロマニラのセカンダリーレジデンシャルの空室率は、第2四半期の17.1%から17.6%に上昇しました。これは、新規プロジェクトの完成にともなうものです。コリアーズは、空室率は今年末にはピークの17.9%を迎えたのちに、2022年には17.3%、2023年には16.9%と徐々に下がってくるとみています。賃料も同様に、来年以降回復してきそうだということです。


コリアーズのアソシエート・ディレクター、ジョーイ・ボンドック氏は、「プレセールおよびセカンダリー市場、両方の需要も、景気回復、ワクチン接種の増加、国内の行動制限のさらなる緩和を背景に復活するだろうと予想しています。こうして信頼感がもどれば、2022年後半にはメトロマニラのオフィススペースの成約率も回復してきて、それがきっかけとなって、コンドミニアムの賃料や価格も徐々に回復してくることになりそうです。」と話しています。


レジデンシャル用地について、年初には地価が5~15%ほど下落すると予想していましたが、ボンドック氏は、最新の予想では地価は安定的になると述べています。


リテール部門の回復は2023年ごろ


リテール部門については、コリアーズはモールデベロッパーに対して、今後12~24か月の新規供給の追加に慎重になるように促しています。


2021年、リテールの空室率は、従来の実店舗の退去が続くことで、増加を続けました。コリアーズは、行動制限により消費者の支出が抑えられ、モールへの来店も控え目になっていることで、2022年には空室率が17%まで上昇するとみていますが、2023年から徐々に改善してくるとみています。


ショッピングモールの賃料も、2021年に5%下落すると予測されています。2020年には10%の急激な下落と比べるとやや緩やかになります。賃料は、ゆっくりとではありますが、2022年には回復を始めるとみられています。




(出所:Business Inquirer

(画像:Photo by Wander Fleur on Unsplash)