2020/12/17
[フィリピン] さらなる経済の再開に向けて
国内のCovid-19感染者数が落ち着いてきたところで、消費者の信頼感を回復させるためにより多くの経済活動を再開させ、パンデミックによる景気後退からのリバウンドを加速させるときがきています。
社会経済企画省カール・ケンドリック・チュア長官代理は、オンラインニュース「Inquirer」のビジネス部門がおこなったウェビナー「フィリピン経済の活性化」で、コロナ感染者数の少ない地域では、政府は徐々に対面またはハイブリッドの授業を再開させ、現在外出を制限されている若者や高齢者の年齢制限を緩め、公共交通機関の数とキャパシティを増やしていかなければならないだろうと述べました。
「ひとたび再開すれば、経済は力強く回復するでしょう。残念なことに、ウイルスの脅威から今は再開を制限しています。」と国の企画機関である国家経済開発庁(NEDA)も率いるチュア氏は述べています。
チュア氏は、パンデミックの初期段階ではウイルスの封じ込めに苦戦したものの、現在は「かなりの進歩が見られる」とコメントしています。
また、Covid-19の感染者数がフィリピン全土で441,000件を超えているにもかかわらず、現在治療中なのは約25,000件でほとんどの人はすでに回復済みであり、治療中のうちたった8.3%ほどが入院が必要だと述べています。
また、入院治療に多くの投資を行ったことで、Covid-19用の病床は22,667床あり、12月の1週の時点で埋まっていたのは35%程度だと言うことです。
政府は、Covid-19リスクを避けるのではなく、現在はそのリスクと戦う戦略を取っており、チュア氏は、より多くの経済活動が再開され、パンデミックがもたらした、失業率の上昇、貧困の一時的な増加、コロナウィルス以外の病気といったその他の社会経済上の「病気」に対応していく必要があると述べています。こういった問題は、実はより多くのフィリピン人の精神上、身体上の健康を害しており、今年に入ってから9月までの死亡者390,000人のうち96%はコロナウイルス以外の理由で亡くなっていることを指摘しています。
チュア氏はまた、公共交通機関が、経済の再開スピードについていけていないので、需要と供給をマッチさせるために、1席空けたり、乗客を隔てるようなバリアをつけたりするところから始めていくとも述べています。
10月時点では、メトロマニラの公共交通機関のキャパシティの53%がすでに再開しており、最低限の保健基準に交通機関が従うことで、さらに11月、12月と改善してきているはずだと述べています。
また、多くの学生、教師、親にとっては課題であったオンラインまたはバーチャルクラスから、校内での授業に戻すことも進めていこうとしています。
「すぐにはできませんが、徐々に学校の再開についても検討し、より緩和された「修正を加えた一般的なコミュニティ隔離措置」の州や、何週間、何か月と新規感染者が出ていないような地域など、リスクが低い地域では、対面での授業またはハイブリッド型授業を徐々に認めていくべきです。」とも述べ、遅れを取り戻していかないと、子どもたちの教育、国の将来の生産性が危機に瀕すると指摘しています。
また、チュア氏は、健康に関する最低限の基準に従うことを条件として、政府は外出を制限されている年齢制限を緩めていくことも検討していると明かしています。
チュア氏は、もう厳しい隔離措置に後戻りする代わりに、地域限定のロックダウンを検討していきたいとしています。
経済の段階的な再開を続けることで、チュア氏は、国民総生産(GDP)も今年の-8.5~9.5%から、来年は6.5~7.5%とプラスに転じ、2022年には8~10%に回復するだろうと楽観的な見方をしています。チュア氏は、フィリピンのGDPは2022年央までにはパンデミック前のレベルに戻るだろうと予測されていると述べています。
(出所:Business Inquirer)
(トップ画像:Photo by Aadil Ayub on Unsplash )
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