[フィリピン] 選挙の年のフィリピン不動産は

2022/06/07


不動産サービス会社クッシュマン&ウェイクフィールドが、フィリピンのオンラインニュース「Inquirer」に選挙と不動産についての記事を寄稿していますので、ご紹介していきます。




選挙関連の支出により、フィリピン経済は、2022年第1四半期、予想よりも力強い8.3%成長を叩き出しました。


しかし、クッシュマン&ウェイクフィールドは、長期化するウクライナ-ロシア紛争、中国の景気低迷、アメリカの連邦準備制度理事会による利上げの可能性などの外的なリスクが高まることで、高いGDP成長率を連続して出すことが厳しくなってくるかもしれない、と述べています。



不動産市場の成長に与える選挙の影響


情報技術・ビジネスプロセスマネージメント(IT-BPM)業界、海外で働くフィリピン人の送金額、および観光収入の成長という3つの柱が、引き続き、マクロ経済および不動産市場の成長のための主な原動力となると見られています。パンデミックによりやや遅れをとったものの、これらの業界は、中期的には段階的に回復してくるとみられています。


アメリカの利上げの可能性もまた、アウトソーシング市場により多くの仕事を生み出し、フィリピンなどの主要なアウトソース先におけるオフィス不動産部門に恩恵をもたらしそうです。



ホスト国のコロナ関連の制限の緩和は、海外で働くフィリピン人労働者からの送金額の増加を後押しし、住宅および耐久財の需要の回復に拍車をかけそうです。これらは、レジデンシャルおよびリテール不動産の重要な需要ドライバーです。


さらに、先延ばしした計画を実行に移す「リベンジ旅行」も、入国制限を緩和する国が増える中で、観光不動産の回復のジャンプスタートにつながりそうです。しかし、世界的なサプライチェーンの混乱が、短期的には供給計画の完成にさらなる緊張を与えるかもしれない、とクッシュマン&ウェイクフィールドは述べています。


さらに、クッシュマン&ウェイクフィールドは、政権交替がスムーズに進むだろうと予想しており、業界関係者も投資家も、フィリピン不動産の成長水準を引き上げるための、政策の継続性や強化を待っているところだと述べています。


ドゥテルテ政権は、85年も経った公共サービス法(PSA)を改正する共和国法(RA)第11659号や、RA第11595号「小売貿易自由化法」の改正といったランドマーク的な法案を可決することで、外国投資に対して開かれているフィリピンというイメージを確立してきました。


国内不動産業界は、競争力を高め、世界のベストプラクティスを採用するために、仲介や評価/査定といった複数の不動産関連の職業に、外国資本が参加することの重要性を受け止めなければなりません。



パンデミックにより競争の場に変化が起こったことで、不動産投資判断は、投資および取引に関連した整合性や明確さのレベルにより厳しくなってきている、とクッシュマン&ウェイクフィールドは、述べています。



フィリピンはどのような政策に力を入れていくべきなのか


クッシュマン&ウェイクフィールドは、以下のような点を改善することで、ビジネスの透明性を向上させることに優先順位を置くべきだと述べています。


●不動産権利のデジタル化のプロセスのスピードアップ


不動産関連の税金の適用およびその基礎の一貫性


土地用途計画の柔軟性および建築基準の近代化


反マネーロンダリングを掲げ、評価/査定・財務報告の国際報告基準の順守

ビッグデータを戦略的に活用し、信頼できるリアルタイムの不動産インデックスの作成


最近終わった選挙よりも、これらの問題に関する規制改革が、長期的に不動産市場の成長ドライバーに影響を与えるような、ますます読めない不動産サイクル、現行のパンデミック、複雑な地政学上の紛争、そして気候変動に関して繰り返される問題からフィリピン不動産市場を守るのに役立つだろう、とクッシュマン&ウェイクフィールドは述べています。





 
(出所:Business Inquirer

(画像:Photo by Alexes Gerard on Unsplash )