2021/08/26
[フィリピン] 2021年の成長見通し下方修正、2022年以降維持
フィリピンは、コロナウイルスのより感染力の高い変異株がもたらした公衆衛生上の課題とその経済への影響を鑑みて、今年の国内総生産(GDP)成長率予測を4~5%に引き下げました。
2021年1月~6月期の平均GDP成長率が3.95%でしたので、通年の成長目標を達成するためには、後半期で4.05%~6.05%の成長が必要でした。しかし、現在、デルタ株、ラムダ株といった変異株により国の複数のエリアでより厳しいコミュニティ隔離措置が実施される可能性もあり、そうすると、経済生産高や雇用の減少につながります。
今回見直しされた成長目標は、パンデミックに端を発した不況が2021年第1四半期にも流れ込んだことにより5月に設定された6~7%からのさらなる下方修正となります。
2020年時点での2021年の成長目標は6.5~7.5%でした。2020年は、フィリピンの戦後最悪の不況となる-9.6%でした。
政府の開発予算調整委員会(DBCC)は、8月18日に行われた会合の中でこのように述べています。
「2021年前半期、Covid-19とCovid-19以外のリスクのバランスを慎重に取ることで、第2四半期の経済成長率は11.8%にまで改善しました。
しかし、デルタ株が世界中で急増する中、後半期の見通しは、感染拡大を抑えるために必要な、政府によって課される追加の制限措置を反映して、下方修正されました。」
2021年8月、メトロマニラとバターン州、ラグーナ州は、最も厳しいコミュニティ隔離措置である「強化されたコミュニティ隔離措置(ECQ)」に2週間逆戻りしました。
「多くの人が仕事に行けるようにする一方で、細かい単位で隔離措置を実施することで、慎重にリスク管理を継続するというというのが我々の戦略です。我々は、この期間を利用して、ワクチンプログラムの展開を加速していきます。」とDBCCは話しています。
DBCCによると、8月中旬時点で、2,780万回分のワクチンが接種され、1,260万人のフィリピン人が2回接種を終えています。また、日当たりのワクチン接種は、8月5日に日当たりとしては最多の710,482回の接種が行われた後、第2週目には平均では475,000回となっています。
「この調子でいけば、ワクチン供給も計画通りに届いていますので、2021年末までには、必要人数、特に人口密度の高いエリアでの接種を終えることができるでしょう。」
DBCCは、大規模接種を加速させることで、「フィリピン人の大多数が働く主要なビジネスエリアを中心として、広範囲での隔離措置を行う必要性を大幅に下げることになる」としています。
一方で、DBCCは、2022年の成長目標7~9%、2023年6~7%をそれぞれ据え置きました。
(出所:Business Inquirer)
(画像:Photo by Alyssa Castor on Unsplash )
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