2020/12/11
[フィリピン] CREATE法案が上院を通過
国家経済開発庁(NEDA)および国内のシンクタンクは、提案された税制改革の第2弾となる法人税改革法(CREATE法)が、2020年11月末に上院を通過したことを歓迎しました。今後、必要に応じて上下両院の予算委員会の両院協議会が開催され、大統領の承認を経て発効することになっています。
社会経済企画省のカール・ケンドリック・チュア長官代理は、その声明で、第3回かつ最終となる読会で、ランドマーク的改革となる法案を通過させた上院に感謝の意を述べました。
チュア長官代理は、CREATE法について、中小企業の競争力と生産性を高めて、経済の回復を助けるものだとして歓迎しました。チュア長官代理は、国家経済開発庁(NEDA)の長官代理も務めています。
NEDAによると、CREATE法の上院版は、純課税所得が500万ペソ(約1,080万円)以下、総資産(土地を除く)が1億ペソ以下(約2.2億円)の国内企業に対して、法人税率を一気に30%から10ポイント下げて20%としています。
その他の法人については、法人税率が30%から25%に引き下げられます。
▼ASEANの法人税率比較(出所:Ministry of Finance)
この措置は、財政的なインセンティブについても近代化し、実績ベースで、対象を絞り、期限付きかつ透明性の高いものにしています。
「CREATE法により、フィリピンはより多くの外国投資を誘致できるようになるでしょう。改善されたインセンティブの内容で、職の創設、国内の付加価値、技術移転といった望ましい経済的効果を最大化できます。」とチュア長官代理は述べています。
一方で、シンクタンク「経済改革に向けたアクション(AER)」は、CREATEは、インセンティブを期限付きかつ実績ベースにする、財政インセンティブ審査委員会(FIRB)を通じてガバナンスを合理化するという当初の目的を達成していると述べています。
AERは、一気に法人税率を引き下げることで、景気刺激策によく反応し、長期的にはフィリピンの企業の競争力を高めることにつながると述べています。
しかし、AERは、法人税率の二本立てには同意していません。AERは、法人税率の二本立ては、収益の最適化には働かず、仕組みの穴をついた、脱税、租税回避につながりかねないと主張しています。
「しかし、すべてを総合してみると、ゲインの方が大きくコストを上回る」と述べています。
AERはまた、CREATE法が通過したことで、投資判断を遅らせていた政策の不確定性を取り除くことになったとも指摘します。今回法案が通過したことで、公正、予測可能かつよりシンプルなこの新しいルールは、国内外の新規の投資家に対応するフレンドリーなものだと示すことになるだろうとも付け加えています。
AERは、法案が通過したことで、投資家がフィリピンで事業を行いたいという意欲を再びかき立てることにつながるだろうと考えています。
(出所:Business Mirror、JETRO)
(トップ画像:Photo by Jeriel Jan del Prado on Unsplash )
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