[フィリピン] POGOの国外脱出のコストは年間2,000億ペソ

2022/09/26


フィリピンオフショアゲーミング事業者(POGO)を追う不動産アナリストによると、フィリピン経済は、国内に残っているオンラインゲーム業界が閉鎖されれば、オフィスおよびレジデンシャルの賃料、所得税、電気料金、従業員の賃金および規制収益など、年間2,000億ペソ(約4,900億円)近くを失うことになる、と述べています。



元老院でPOGOの完全禁止が話し合われていることについて、リーチュウ・プロパティ・コンサルタンツのCEO、デイヴィッド・リーチュウ氏は、合法的に残っているPOGO企業を禁止することは、すでにコロナ大流行で大きな影響を受けているところに、国が直面する経済問題に、新たな局面を加えることになると述べています。



リーチュウ氏の計算によると、国内に残っているPOGOは、現在国内で約105万平米のオフィススペースを賃貸していますが、これらが国外退去するとオフィス賃料で年間189億ペソの損失になるということです。



さらに、多くのPOGO従業員が地元の家主から賃貸しているレジデンシャルスペースの賃料として、約286億ペソも失われます。



政府は税金として推定58億ペソ、フィリピンゲーミング公社(PAGOR)も収益として52.5億ペソを失うことになります。



POGOが国外に脱出することで、マニラ電力(MERALCO)、その他電力供給会社に対する電気料金として約95億ペソも失われます。



さらに、外国人労働者がいなくなることで所得税が543億ペソ、またPOGOの事業所の家具、備品、技術のための「フィットアウト」と呼ばれる内装工事の収益約525億ペソも失われることになります。



POGO業界で働く人々が、売店などで年間約114億ペソを費やしていたものも、POGOの閉鎖により失われます。



リーチュウ氏は、業界一人当たり平均4,000ペソの支出として、POGOが完全禁止になれば、一日当たり9億5,200万ペソの損失をフィリピン経済が被ることになるといいます。



そして、約34万7000人のフィリピン人・外国人労働者が、合法POGOの閉鎖によって、職を失うことになるのです。



リーチュウ氏は、第二次世界大戦以来最悪の景気後退から回復しようとしている国の状況を考えると、複数の政治家がPOGOの禁止を訴えていることについて、タイミングが悪いと指摘しています。



「今は不動産危機を起こす時ではありません。他の危機にすでに直面しているわけですから。」として、営業のスランプにより同業界が近年支払った税金が少ないことを指摘している政治家たちは、業界に依存するその他のセクターや業界で雇用される何千人というフィリピン人の損失の可能性を無視していると述べています。



リーチュウ氏は、経済の原動力となっているPOGO業界を閉鎖するときではなく、経済の勢いを増すときだと主張しています。



業界を閉鎖する代わりに、リーチュウ氏は、当局に対して法の強制執行の観点から問題にアプローチして、不法な営業を閉鎖すべきだと提案しています。さらに、失業、不完全雇用、そして低賃金労働者の方が大きな問題だとして、法を強制執行し、不法なものだけを閉鎖すべきだと述べています。



(出所:Business Inquirer) 

(画像:Image by Aidan Howe from Pixabay )