[フィリピン] 2022年のLEED認証登録数で10位

2023/04/24


2022年、フィリピンはグリーンビル認証「LEED(Leadership in Energy and Environmental Design)」の登録数において、10位にランクインしました。



▼2022年LEED登録数ランキング(出所:GBCI



グリーンビジネス認証協会(Green Building Council Inc(GBCI))のアジア太平洋・中東市場担当マネージングディレクターであるパドマナバン・ゴパラクリシュナン氏は、最近のインタビューで、フィリピンは今や域内の主要なLEEDセンターになっていると語ったとオンラインニュースBusinessMirrorが報じています。



「フィリピンは、2022年にLEED認証プロジェクト数で10番目の国になりました。これは、東南アジアの国が初めてこのエリートグループに入ったということで、重要な成果です。また、フィリピンをリードする組織がLEEDに取り組んでいることの証でもあります。」



ゴパラクリシュナン氏は、フィリピンはLEED認証の推進において、まだまだ前進できるはずだと言います。 商業ビルだけでなく、小売モールやブランド、データセンター、倉庫、ホテル、病院、空港、学校、大学など、他の産業分野に拡大する、さらに新築路ジェクトだけでなく、既存の建物にもLEED認証が利用されるべきだと指摘しました。大規模な複合施設は、都市やコミュニティのためにもLEEDを利用することができます。「成熟した組織もLEED Zeroの採用を戦略的に進めるべきである。」



ゴパラクリシュナンは、LEED におけるフィリピンの可能性を最大限に引き出すために、フィリピンに 対し、以下のような施策を推進するよう促しています。

●LEED教育の活用。学生や社会人に対するLEED教育を充実させることでLEEDの専門家を育成する。これにより、フィリピン国内の需要に応えるだけでなく、国外のプロジェクトに参加することができる。
フィリピンにおけるグリーン資材製造への投資を優先し、エンボディド・カーボン*重視型のLEED ビルの増加を図るとともに、フィリピンをグリーン材料輸出国として位置づける。
*「エンボディド・カーボン(Embodied Carbon)」=建設に使用される建材の製造、輸送、設置に起因する二酸化炭素排出量。 日本語では「内包二酸化炭素」などと訳されることも多い。



ゴパラクリシュナン氏は、GBCI として、LEED認証を受けた建物、コミュニティ、都市の効率性と有用性に関する認識を高めるための支援運動や知識構築を行う予定であると述べました。また、GBCI は、LEED コンサルタントのエコシステムを強化し、クライアントをサポートできるようにする計画です。



「私たちは、建築家、エンジニア、暖房・換気・空調(HVAC)・設備の専門家と連携してLEEDのスピードに対応できるよう取り組んでいきます。また、地元の自治体とも関わり、国のグリーン&ネットゼロのビジョンが実現されるようにします」と述べました。



ゴパラクリシュナンのプレゼンテーションの後に行われたパネルディスカッションでは、さまざまな組織から集まったリソースパーソンたちが、ネットゼロを達成するための持続可能な実践を追求することの重要性を強調しました。



大手財閥ユーチェンコが所有する教育機関Mapua Malayan Colleges LagunaとMapua Malayan Colleges Mindanaoの社長兼CEOであるドッジー・マエストレカンポ博士は、土学生にグリーンビルの評価に関する理論と実践を公開することにより、グリーン基準の重要性を推進していくと述べました。次年度のコースで、土木工学と建築学の学生に、グリーンテクノロジーを紹介する予定だということです。



アルタランド・コーポレーション(ArthaLand Corporation)はもまた、一貫してグリーンビルディングの課題を追求してきました。 同社のアルタランド・センチュリー・パシフィック・タワー(Arthaland Century Pacific Tower)は、国内初のLEED認証を受けた建物です。ボニファシオ・グローバル・シティに位置するこの32階建てのビルは、2つの高層エグゼクティブフロアを含む21階のオフィススペース、広いパブリックロビー、パブリックカフェテリア、地上と地下に広がる立体駐車場があります。



米国グリーンビルディング協会(USGBC)グリーンビジネス認証協会(GBCI)は、現在180カ国以上でLEED Green Building認証をグローバルに実施しており、世界中のステークホルダーとつながり、建築環境に関する持続可能性の枠組みを議論しています。



フィリピンでは、これまでに24件のLEED認証プロジェクト、合計100万平米超が提供されました。フィリピンは、2030年までに75%の二酸化炭素排出削減を目指す公約を掲げており、公約達成の一助となるでしょう。



その他の特筆すべきLEED認証ビルとしては、SMメガタワー(竣工2021年)、ポディウム・コンプレックス(竣工2018年)、MPTサウスハブ(竣工2020年)、MPTサウスハイブなどがあります。




(出所:Business Mirror

(画像:UnsplashのPhilipp Torresが撮影した写真)