[マレーシア] ランカウイにて「試験的なトラベルバブル」開始

2021/09/09



ランカウイを筆頭に、「トラベルバブル」を通じて完全にワクチン接種を終えた人に対して観光を再開するという政府の決定は、国内の空の旅を再活性化させることにつながりそうだと業界関係者は語っています。


しかし、関係者は、政府が少なくとも1か月前には通知を出し、航空各社が標準作業手順(SOP)を設定できるようにすべきであるとも述べています。


より多くの人がワクチン接種を行い、パンデミックの状況が改善したら、国内旅行の再開・回復は推進されるだろうと期待が寄せられています。


9月の第1週目、政府は、9月16日より国内旅行者向けの国内旅行トラベルバブルをより円滑に進めるための試験的なプロジェクトをランカウイで行うことを発表しました。


シンガポールの航空コンサルタント、ソビー・アビエーション(Sobie Aviation)のアナリスト、ブレンダン・ソビー氏は、国内市場は通常なら、ひとたび再開され、人口のほとんどのワクチン接種が終われば、すぐに回復すると述べています。


ランカウイを最初に開放するというのは、地元の人口のワクチン接種率が高いこと、島であることを考えると、理にかなっています。」


「ランカウイは、かなり小さな市場です。重要な第一歩である一方で、それは国内市場の回復のたった一部分にすぎません。」


ソビー氏は、マレーシアの国内の旅客数はコロナ前の3%程度にとどまっており、その中でランカウイはコロナ前の国内旅客数の約9%を占めていたと言います。


「したがって、ランカウイが完全復活を遂げたと仮定しても、マレーシア国内の空の旅はコロナ前のレベルの15%未満にとどまるでしょう。」


ソビー氏は、この数値について、過去数か月と比べると高いものの、パンデミックの初期よりは少ないということです。


「例えば、2020年9月、マレーシア国内の空の旅はコロナ前のレベルのほぼ40%でした。今年末までには、マレーシアが2019年のレベルの50%についに達することができる可能性があると考えています。」


「来年のどこかでは旅客数がコロナ前のレベルまで戻ってくるのではないかと思いますが、今のようなダイナミックな環境では確実ではありません。」


マレーシア航空の元航空業務ディレクター、モハメド・アブ・バカール大尉は、政府は少なくとも1か月くらいの十分な余裕を持って通知を行うべきだと述べています。航空各社が、国内の空の旅のための明確なガイドラインや標準作業手順(SOP)を検討する時間が必要だからです。


例えば、航空機内で「ソーシャルディスタンス」が必要かなどの、制限を知る必要があります。


「もしソーシャルディスタンスが必要となると、制限下で飛ぶのは経済的に現実的ではないかもしれない。」と機長は述べています。


一方で、マレーシアの感染者数が依然として高い状態を考えると、国際線の回復はなさそうだとも述べています。


「国境を再開するかどうか、乗り入れを許可するかどうかは、各国次第だからです。」


マレーシア航空の親会社、マレーシア・アビエーション・グループ(MAG)は、ランカウイでトラベルバブルを実施するという政府の動きを称賛しました。


同社は、国内観光を復活させるスタートポイントになりうるとして、Covid-19パンデミックに影響を受けた人々の社会経済を活性化させる助けになると期待を寄せています。


MAGのグループCEO、イズハム・イスマイル大尉は、完全にワクチン接種を終えた人々に対して旅行を促進し、家族・親戚・友人との再会したり、ランカウイの美しさに触れたりできるようにしていきたいと述べています。


現在、マレーシア航空はランカウイ行を一日に4便飛ばしているが、旅客の需要に合わせて能力を調整していく方針です。


イズハム大尉は、マレーシア航空が空の旅の安全と衛生基準を高く保つことを約束しています。


また、最近ではMAGは、業務にあたるすべてのパイロットとキャビンクルーのワクチン接種100%を達成したということで、乗客にさらなる安心感を与えるはずだと自信を見せています。


マレーシア航空は、国際民間航空機関(ICAO)に設置された航空業の回復に向けたタスクフォースの推奨を受けて、空港および機内で複数人が接触するポイント安全および健康基準を強化しました。


実施した対策には、フェースマスクの着用義務化、機内の消毒回数増加、航空機のHEPAフィルターの早期交換による機内の微生物のろ過率99.97%の空気循環システムの効果的な作動などが含まれています。


エアアジア・マレーシアのCEO、リアッド・アスマット氏は、ランカウイの観光業界全体の回復に向けて、トラベルバブルを開始するという政府の決定は幸先が良い、と話しています。


「政府、ランカウイ開発局(LADA)、政府観光局と密接に連携し、観光セクターの復活をサポートしていきたい。」とリアッド氏は語ります。


リアッド氏によると、エアアジア・マレーシアはランカウイの観光再興のためのキャンペーンをいくつか準備しているということです。


「空の旅を再開するにあたって、お客様には、自信を持って、安心して飛行機に乗っていただきたいのです。エアアジアは空の旅が快適・安全であるように常に努力しています。機内はもちろん、地上ターミナル、タラップ、貨物エリアまで、旅のすべての工程において、厳しい保健・衛生基準を実施することをお約束します。」


エアアジア・グループは、100%ワクチン接種済みの乗務員および現場スタッフに、非接触安全・衛生措置をいたるところで実施した上で、フライトの運行を行う準備ができていると述べています。



(出所:New Straits Times

(画像:Photo by Troy Mortier on Unsplash)