[フィリピン] POGO禁止で不動産市場が崩壊することはない

2022/10/31


総合不動産サービス会社コリアーズ・フィリピンは、マルコスJr.政権が、フィリピン・オフショア・ゲーミング事業者を禁止しても、不動産市場が傷むことはない、と述べています。



同社は、現在POGOが国内の賃貸可能なオフィス面積に占める割合が、全体の5%程度であることを根拠として挙げています。



コリアーズの主張は、POGOを禁止することで「不動産危機を引き起こす」とする見方と対立しています。マルコスJr.政権は、POGO禁止についての判断を検討中です。誘拐事件や不法就労の急増を鑑みて、国内でのPOGOの営業を認めることに猛反対している議員もいます。


コリアーズによると、POGOがオフィス市場におけるシェアは、一時の12%から5%にまで減っており、現在オフィススペースの65万平米ほどを占有しているということです。POGOで働くのは、中国本土の中国人です。


POGOが一斉国外退去に追い込まれると、この65万平米のオフィススペースが空くことになり、現在空室となっている240万平米に加えて、この65万平米を吸収するのに、約5年はかかるだろうとコリアーズは見積もっています。


POGOの取り締まりを受けて、混乱しているとみられるのは、マニラベイとアラバンの2つの地域です。これらの地域では、オフィススペースの空室がより目立つことになりそうです。


コリアーズは、このような空き物件には、いずれビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)事業者が入るだろうと予想しています。BPOは、フィリピン政府が在宅勤務を認めていることで、今後拡大が予想されている業界です。


今年、フィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas)は、BPOの収益が前年同期比で9%ほど増加することを見込んでいますが、2021年の9.4%からはわずかに下降しています。2023年のBPOの収益変動比率は、減速して5%と予測されています。


BPO業界は、100万平米以上のオフィススペースをすでに占有しています。コリアーズは、2028年までにBPO業界が20万平米以上の需要を生むと予想しています。


BPO業界は、人口の多い地方でもプレゼンスを拡大するだろうと見られています。


「POGOが一度に戻ってきたとしても、(POGOだけでは)パンデミックが始まって以降に空いたオフィススペースを埋めるには十分ではない。」と述べています。




(出所:Philstar

(画像:UnsplashのAlex Kotliarskyiが撮影した写真)