[フィリピン] POGOが戻ってくる

2021/07/19

[フィリピン] POGOが戻ってくる


2020年、メトロマニラのオフィスセクターの災難とも言えた、フィリピン・オフショア・ゲーミング事業者(POGO)のフィリピン離れは終わり、新しいオフィススペースの需要が戻りつつある、とリーチュウ・プロパティ・コンサルタンツ(LPC)のデイヴィッド・リーチュウ氏が話しています。


このような逆転には、一部、中国在住のギャンブラーを主にターゲットとしたPOGOに対する課税を定めた新しい法案が上院で可決されたことと、Covid-19ワクチン接種が進むにつれて渡航制限が緩和される可能性があることによるものです。


ドゥテルテ大統領が、国のパンデミック対策を支援するための資金を調達すべく、オフショア・ゲーミングにかけているとコメントしたことで、上院は大きな後押しを得た形となりました。


リーチュウ氏は、「多数のPOGOクライアントが戻ってきている」と言います。


リーチュウ・プロパティ・コンサルタンツの最新のデータによると、2021年第2四半期、POGOが新規で獲得するために交渉に入っているオフィススペースは17,000平米ほどあるということです。


これは、2021年後半期に賃貸されることが予想されている33万平米の5%程度です。大半(58%)は、IT&ビジネスプロセス・アウトソーシング(IT-BPM)です。


これは、2020年初から2021年前半期までPOGOが引き起こした大きな収縮と対象的です。


この期間中、POGOが立ち退いたオフィススペースは45.4万平米で、50%減となりました。一方で、ITとBPOが13.1万平米を落とし、その他の企業が33.3万平米でした。


リーチュウ・プロパティ・コンサルタンツによると、POGOのフィリピン離れは、それ以降急激に減速しました。上院法案第2232号では、オフショア・ゲーミング事業者にかかる課税を明確化したからです。


「緊急案件だと位置づけられていることから、上院法案はじきに法案として成立するでしょう。」


リーチュウ氏は、さらに、ドバイ、ルーマニア、マレーシア、タイ、ベトナム、カンボジアといったロケーションでは、POGOのキャパシティを吸収できなかったのではないか、とも説明しています。


一方で、2021年前半期のオフィス需要は291,000平米で終わりました。現在進行中の交渉と合わせると、2021年通期での需要は600,000平米近くなり、2020年から54%増となります。


もう一つ、需要をけん引すると思われるのが、景気の回復に伴い、在宅勤務の働き方が徐々に減ってくるだろうということです。


リーチュウ氏は、「在宅勤務が成り立っていたのは、コロナ禍で業務の負荷が半分くらいになっていたからだ」と言います。業務が100%に戻れば、家族との暮らしと業務上の責任とのバランスを取るのが難しくなり、オフィスへの回帰が起こるのではないかと予想しています。


不動産セクター全体は、パンデミック期間も堅調で、景気後退にもかかわらず価格の下落は最低限であったようです。


リーチュウ・プロパティ・コンサルタンツのデータによると、主要ビジネス地区の不動産価格は、コロナ前のレベルに戻ってきているということです。ただし、POGOセクターの低迷を受け、アラバン、マニラベイ、パシグといったエリアでは、依然として低い状態となっています。



(出所:Business Inquirer

(画像:Photo by Kaysha on Unsplash)