[マレーシア]コロナ後の不動産市場はワーストケースシナリオにはならない?

今日の財務ファンダメンタルズがかなり健全な状態であることから、マレーシアのコロナ後の不動産市場は、ワーストケースシナリオにはならないかもしれない、とマレーシア国営ベルナマ通信は報じています。

[マレーシア]コロナ後の不動産市場はワーストケースシナリオにはならない?


今日の財務ファンダメンタルズがかなり健全な状態であることから、マレーシアのコロナ後の不動産市場は、ワーストケースシナリオにはならないかもしれない、とマレーシア国営ベルナマ通信は報じています。


シンガポールやインドネシア、タイなど東南アジア5カ国で、不動産の売買・賃貸情報サイトを運営するプロパティグル・マレーシアの国担当マネジャー、シェルドン・フェルナンデス氏は、コロナ流行前から不動産業界の落ち込みを管理するための対策が講じられていたとも述べています。


「過去の経済危機を元に考えると、下落率の上限は約10%でしょう。1998年のアジア通貨危機とニパウィルス流行の時で全体の住宅価格上昇率は9.4%下落しています。しかし、これはワーストケースシナリオです。というのも、1998年のアジア通貨危機は金融上のものであったからです。」と、フェルナンデス氏は、マレーシア国営ベルナマ通信に対して話したといいます。


▼マーレシア住宅価格上昇率(出所:New Straits Times


フェルナンデス氏は、タイプ別の個人住宅価格への影響は様々だと述べています。


フェルナンデス氏によると、たとえば1998年のアジア通貨危機のときには、一戸建ての住宅価格が13.6%下落しました。一方で、テラスハウスと高層物件は比較的持ちこたえ、それぞれ-4.8%と-6.2%の下落でした。
 


Covid-19とMCOの影響および買い気

フェルナンデス氏は、Covid-19と活動制限令(MCO)は間違いなく、すでにそれ以前から減速気味だった買い気に下向きの影響を与えたと言います。


これは、プロパティグル・マレーシアが行った、2020年前半期の消費者心理調査(Consumer Sentiment Study)に基づくもので、マレーシアの不動産心理インデックスは、2019年前半期の44ポイントから2ポイント下がって、42ポイントとなっていました。


「人々は、生き延びることを優先していますので、食べる物が第一です。よって、多くの不動産に関する意思決定が先延ばしにされ、ペントアップ需要(繰り越し需要)となっています。」


MCO後もこの状態がは続くかどうかについては、フェルナンデス氏は、メカニズムについてはまだ調査中であるが、不動産市場は、過去に何度も、危機と短期的な下落のあとに「バウンスバック(立ち直り)」を見せる傾向にあったと述べています。


市況が改善したら顔を出してくるペントアップ需要とは別に、この傾向もまた投資家がリスク管理をし、過小評価された物件を優先するために、ポートフォリオを再構築することにもよるでしょう。


「早ければ2021年前半期にも市場が回復してくることが見込まれており、またCovid-19やMCOが賃料に与える影響や、経済が成熟し成長率が落ち着いてくるにつれ、短期的な投機家、つまりフリップを行う人々とは反対に、長期的な投資にとって有利になるでしょう。」
 


レジデンシャルのオーバーハング状態住戸の削減

フェルナンデス氏はまた、マレーシア不動産&住宅開発業者協会(Real Estate & Housing Developers' Association Malaysia (REHDA))が政府に対して行っていた要請もまた、国内のレジデンシャル物件のオーバーハングに対処する助けになるのではと考えています。


この要請とは、持家キャンペーン(Home Ownership Campaign)の再開、不動産譲渡益税(RPGT)の見直し、すべての州における外国人購入者の最低購入価格の標準化、3件目の住宅購入の際のLTV(不動産価格に対する借入金の割合)上限の見直しなどです。


「LTV上限の見直しは特に、とても効果的でしょう。プロパティグル・マレーシアのポータルサイトのトラフィックデータを見てみると、90万リンギットから200万リンギット(約2,371万円~約5,270万円)の価格帯のアパートメント、高層物件、コンドミニアムへの問い合わせが、3月と4月で一番多かったからです。」


「これらのセグメントの需要はいまだ高い状態であることを示していますが、政策または資金面での障害があるために、取引上のデータとしては上がってきません。これらの問題に対処することで、オーバーハング状態のユニットの吸収を促進する一歩を踏み出せるのではないかと思います。」とフェルナンデス氏は述べています。
 


不動産セグメントの資金繰り

住宅ローンの申請について、フェルナンデス氏は、アメリカでの住宅ローン申請を例に挙げ、Covid-19感染者数の動きにともなって動く形で、30%ほども落ち込みました。


「マレーシアでは、マレーシア中央銀行の範疇になりますが、ローンの申請には不動産評価が必要になってくることを考えると、現況では難しいタスクでしょう。というのも、現在の優先項目は、パンデミックに最も打撃を受けたセクター、企業、そして家庭に対して、素早く融資枠を実行していくことだからです。」


「今後、ペントアップ需要が出てくるにつれ、回復フェーズではローン申請はもっと伸びてくると予想しています。」


フェルナンデス氏はまた、「中国では、Covid-19感染者数推移の末期あたりで売上が3倍にもなったようです。ということは、ローン申請の伸びはもっとあっただろうことを示しています。マレーシア国内の申請数が、中国の例にならってくるか、または超えていくのか、これからが見ものです。」



(出所:Bernama

(トップ画像:Image by Indra Gunawan from Pixabay)