2020/10/13
[マレーシア] ポストコロナ、地価は暴落するのか?
新型コロナウィルス(Covid-19)大流行後の景気回復にかかる不確定要素が不動産市場にも重くのしかかり、短期~中期的な見通しがどうなるのかという疑問が沸き上がってきています。
経済状況に今後数か月であまり改善が見られない場合、ポストコロナに地価は暴落するのでしょうか?それとも、回復または維持するのでしょうか?
中国人向け海外不動産販売・メディア、ジュワイIQI(Juwai IQI)のチーフ・エコノミスト、シャン・サイード氏は、不動産価格は将来の需要を反映していることを考えると、マレーシアの地価がバブルを経験することはなく、今後も安定的に推移するだろうと述べています。
「地価が暴落しませんので、不動産市場も暴落することはないでしょう。今のところ不動産バブルはありません。バブルが発生するのは、地価が暴落するときだけです。」
シャン氏は、KLCC(クアラルンプール市街地)は開発できるような土地がほとんどなく、3エーカー(約12,000㎡)の土地を見つけることでさえ難しいため、地価が下がったり、暴落したりするような兆しはなさそうだ、と話しています。
シャン氏の話としてマレーシアのニュースサイト「Free Malaysia Today」が報じているところによると、クアラルンプールのジャラン・アンパンにあるウィスマ・セントラルの横にある、ソフィテル・クアラルンプールは、平方フィートあたり3,200リンギット(平米あたり34,445リンギット(約84万円))で売却されましたが、現在は平方フィートあたり4,500リンギット(平米あたり48,438リンギット(約123万円))で販売されており、まだ上がる可能性もあるということです。
シャン氏は、不動産市場崩壊の兆しの一つが、地価が急激に下がり始めるときだと言います。投資家の自信感のなさが出るからです。しかし、マレーシアは中国の一帯一路構想の重要な一部分を担っており、地価が暴落することはなさそうだと話しています。
一帯一路構想とは、アジア、ヨーロッパ、そしてアフリカの70か国と中国を、鉄道、道路、海路でつなぎ、現代版のシルクロードを作ろうとするものです。その目的は、接続性と経済統合を促進することで、中国の経済および政治的な影響力を拡大しようというものです。
シャン氏は、ロケーションによっては、地価が2%~6%ほど下がるところがあるかもしれないが、需要は堅調に推移すると予想しています。
一方で、マレーシア不動産評価人、不動産管理業者、不動産代理人・コンサルタント協会(Association of Valuers, Property Managers, Estate Agents and Property Consultants in the Private Sector Malaysia (PEPS))の会長マイケル・コン氏は、Covid-19期間中の不動産開発が著しく減速したため、ポストコロナの地価は下がる*と予想しています。
コン氏は、デベロッパー各社は、建設工事の開始に慎重になっており、各社が保有する土地が枯渇しない限り、今後の不確実性や保有にかかる費用を考えると、新しい土地を取得するとは思えない、と話しています。
したがって、開発用地の需要は下がり、当然価格も下がる、とコン氏は言います。また、不動産開発は、サプライチェーンからサービスまで多くの業種が関係してくることから、経済にとって重要な役割を果たすと付け加えています。
コン氏によると、クアラルンプール市街地の地価はいい時で平方フィートあたり3,500リンギット~4,000リンギット(平米あたり37,674~43,056リンギット(約96万円~109万円))ありましたが、15%以上下がってくるのではないかと見込んでいます。
■不動産関係者にAIは必要か?
ジュワイIQIのシャン氏は、不動産業界でプレゼンスを発揮していくためには、人工知能(AI)を活用することが必要になってくると話しています。
シャン氏は、AIを採用し、5Gや低燃費車両に注目するなど、テクノロジーを促進する政府の動きを歓迎しています。また、今後5年~10年、テクノロジーに精通した国だけが進歩を続けると予想しています。シャン氏は、マレーシアについて、国民の95%がスマートフォンを持ち、60%がテクノロジーに精通していると言います。
*参照元の原文では「increase」という単語が用いられていますが、文章全体の流れから、decreaseの誤りであると判断して掲載しています。
(出所:Free Malaysia Today)
(トップ画像:Photo by Ishan @seefromthesky on Unsplash )
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