[マレーシア] KL、スランゴール、ペナン、ジョホールのマイホーム購入者の傾向は?

2022/08/08


不動産ポータルPropertyGuru Malaysiaによると、2021年、クアラルンプール、スランゴール、ペナン、ジョホールでは、サイズが大きく手ごろな価格帯のものが住宅購入者および投資家から人気で、この傾向は今年も続くと見られています。



PropertyGuru Malaysiaの国担当マネジャー、シェルドン・フェルナンデス氏によると、スランゴールおよびジョホールのバイヤーは広い土地付きの住宅を、クアラルンプールおよびペナンのバイヤーはより手ごろな高層物件を求める傾向にあったと述べています。



「今後も、この消費者の動向は続くでしょう。」



シェルドン氏は、一方で、7月末の翌日物の政策金利(OPR)引き上げと世界経済に影響を与えるマクロ経済の不確定性が購入・投資活動に影響するかもしれないとも考えています。



「2022年末までにもう一度OPR引き上げの可能性があり、そうすると購入・投資心理にさらなる影響を与える可能性があります。」



PropertyGuru Malaysia傘下のiProperty.com2021年のレジデンシャル転売(サブセール)物件の中央取引価格および平米当たりの中央価格が、パンデミック前の2018年と比較して上がっていると報告しています。



レジデンシャル転売物件の中央取引価格は、2018年の315,000リンギットから2021年は11.1%増加して350,000リンギットになりました。一方で、平米あたりの中央価格は、2018年の2,319リンギット/平米から2021年には6.3%増加して2,464リンギット/平米となりました。



しかし、2021年の取引件数(124,996件)は、2018年(137,128件)にはまだ到達していません。



「つまり、取引価格や平米当たりの価格の中央値が上がっても、取引件数が必ずしも増加するとは限らないということです。」



2018年から2021年に収集されたレジデンシャル転売物件の取引データには、土地付きの物件(テラスハウス、バンガロー、セミデタッチトハウス)および高層物件(アパートメント、コンドミニアム、サービスアパート)の価格が含まれており、2018年から2021年に売買契約にかかる印紙税が支払われる際に公式に不動産取引として認識される記録を表しています。



シェルドン氏は、レジデンシャル転売物件の取引価格や平米当たりの価格の中央値は、パンデミック前のレベルに回復しただけでなく、2018年に比べて2021年は増加したと話しています。



シェルダン氏は、2021年の価格上昇について、マレーシアのワクチンプログラムの展開が成功し、行動制限が徐々に解除されたことで、消費者心理が改善したことを原因として挙げています。



「自信感の高まりが少しずつ不動産市場にも入ってきており、マイホーム購入を再び考えようという人も出てきています。2021年、取引件数が減ったにもかかわらず中間価格が上昇を続けたという事実は、レジデンシャル転売物件を購入したバイヤーにはしっかりした財務基盤と値ごろ感のある物件の購入意欲があることを示しているのでしょう。」



シェルドン氏は、低金利、低不動産価格、そして初めてマイホームを購入する人向けの譲渡の覚書(MOT)およびローン契約にかかる印紙税免除(2021年予算で発表)は、市場に参入する必要手段を持っているバイヤーにとっては好機となりました。



この印紙税免除は、500,000リンギットまでの住宅に適用され、売買契約が2021年1月1日~2025年12月21日までに署名されたものでなくてはなりません。




物件タイプ別の傾向


中間の取引価格および取引件数で、土地付きの転売物件が、2021年の高層レジデンシャルの転売物件を超えました。



土地付きの転売物件の中間取引価格は、2018年の333,760リンギットから10%増加して、2021年は367,200リンギットになりました。一方で、高層レジデンシャル転売物件は、2018年の270,000ドルから7.4%増加して、290,000リンギットになりました。



土地付きレジデンシャル物件の転売取引件数は23.5%増加し、高層レジデンシャル物件の転売取引件数は13.9%増加しました。



これにもかかわらず、高層物件の平米当たりの中間価格は、面積が小さいことから、土地付き物件よりも高くなっています。



住宅購入に対する消費者心理の改善のひとつとして、マレーシア中央銀行は、1.75%という超低金利を挙げています。マレーシア中央銀行によると、住宅ローン申込額は、2020年前半期と比べて、2021年前半期は86%増加して1,794億リンギットになったと発表しています。2020年前半期は、964億リンギットでした。



土地付き物件をタイプ別に見ていくと、テラスハウスが最も人気で、ローン申込が29%伸びました。コンドミニアムおよびアパートメント需要も増加し、それぞれ5.2%増および11.7%増となっています。




州別の傾向


■クアラルンプール:高層物件の需要高。平米当たりの中間価格が下がったことが魅力に。


クアラルンプールでは、高層物件の需要が土地付き物件より高くなりました。首都における区分所有物件の多さを反映しました。



コンドミニアム/アパートメントの平米あたりの中間価格は、2018年は4,957リンギットでしたが、2021年は4,784リンギットでした。



コンドミニアム/アパートメントの平米当たりの中間価格が安くなったことが、マイホーム購入者には魅力的に映ったようです。このカテゴリーの物件の取引件数は17,274件、サービスアパートは6,442件でした。



投資家の観点から、コンドミニアム/アパートメントの平米当たりの中間価格が徐々に回復していることで、クアラルンプールにおける同物件タイプへの投資のきっかけとなりそうです。




■スランゴール:郊外の値段が手ごろで広いテラスハウスが人気。


スランゴールでは、テラスハウスの取引件数が2021年は最も多くなりました(18,139件)。



シェルドン氏によると、パンデミックで都会に住む人々のライフスタイルが変化し、結果として、テラスハウス、特に郊外の値段が手ごろで広さがあるものは、スランゴール州でマイホーム購入をする人に一番人気でした。



テラスハウスの平米あたりの中間価格は、3,846リンギットとなり、2018年の3,650リンギットから5.4%増となりました。



シェルドン氏は、テラスハウス人気は、スランゴール州でほとんどの土地付き物件の平米当たりの中間価格が上がったことと合わせて、2022年にマイホーム購入者および投資家が注目すべき分野はここだと示している、と語っています。



■ペナン:平米あたりの中間価格はサービスアパートがトップ。人気はコンドミニアム・アパートメント。 



サービスアパートの平米あたり中間価格が最高に。2018年の4,629リンギットから22.5%増となりました。しかし、サービスアパートの取引件数は、パンデミック前後でも最低の224件でした。



シェルドン氏は、サービスアパートは従来、長期的な賃料収入を求める投資家に人気の物件であるため、住宅購入者の投資意欲が低いことを理由の一つとして挙げています。



ペナンで最も人気の住宅タイプはコンドミニアム・アパートメントで、2021年の取引件数は2,939件でした。シェルダン氏は、州内でアフォーダブル住宅が不足していたことが原因だと分析しています。



平米あたりの中央価格では、アパートメント/コンドミニアムが2018年の2,821リンギットから4.7%増の2,955リンギットとなりました。




■ジョホール:高層人気のKLと対照的に土地付きレジデンシャルが依然人気、新築高層物件への興味は低下


ジョホールでは、土地付きレジデンシャル転売物件が依然として人気だった一方で、新築高層物件への興味は低下しました。



テラスハウスの平米当たりの中間価格が、2018年の2,460リンギットから、2021年は11.6%増の2,745リンギットになりました。



シェルドン氏は、ジョホールのテラスハウスは比較的手ごろな状態が続いているので、住宅購入者は、価格が大きく上がらない限り、スペースの広さと快適さを求めてテラスハウス人気が続くと分析しています。




(出所:New Straits Times

(画像:Photo by V on Unsplash)